三菱商事

海外プロジェクト探検隊

Vol.8 「ベトナム産業インフラプロジェクト」体験ツアー

2009年5月19日 読売新聞掲載

海外投資の受け入れ推進策などを背景に経済発展を続ける新興国ベトナムを、今年3月、日本の高校生8人が訪れた。総合商社の三菱商事がかかわる発電所などの産業インフラ開発事業の取材が目的だ。現地のスタッフや学生とも交流した8人は、首都ハノイと商都ホーチミンの2都市の活気の中で多くのことを感じ取ったようだ。

高まるスーパーの需要 「食の安全」支える取り組み

高校生たちはまず、三菱商事ハノイ事務所でベトナム総代表の唐沢裕一さんから、ベトナム社会の様子や日本との関係について説明を受けた。

翌日は同事務所の河内俊夫さんの案内で、三菱商事が現地企業と台湾企業と共同出資するスーパーマーケット「ユニマート」1号店を見学した。日本人向けにゴボウなどの食材も販売されているが、来店客の8割以上はベトナム人だ。肉や魚を店内で加工して個別包装するなど、食の安全を第一に配慮するのは日本では当たり前の光景だが、街の市場が台所を支えるベトナムではまだ浸透していない。しかし、生活水準が上がるに従ってスーパーの需要も拡大しているという。埼玉県立浦和高校2年の大沼英明さん(17)は「ベトナムではまだ足りない商品管理や食品衛生について、日本のスーパーマーケットの知識や技術も反映されている」と感心した様子だった。

「ユニマート」社内の会議では、ベトナム語や中国語も飛び交う。河内さんがベトナム語で和やかに意見を交わす姿に、鴎友学園女子高校1年の土屋美樹さん(16)は「現地のニーズをくみ取り、同じ目線でビジネスを展開している姿が新鮮だった」と目を輝かせた。

深刻な電力不足に貢献 ODA活かしインフラ整備

次に訪れた三菱商事ホーチミン事務所では、事務所長の柏木利夫さんから、ベトナム南部での取り組みや南北の文化の違いについて話をうかがった。

翌日、中心地からバスで2時間ほど離れたベトナム最大規模の発電所「フーミー1号発電所」を訪問した。同施設では日本のODAが生かされ、熱効率の高い「ガスタービン複合火力発電所」を三菱重工と三菱商事が共同で建設し、2002年4月から稼働している。巨大な発電施設を巡り歩き、神奈川県立湘南高校1年の塚本大志さん(16)は「商社は貿易の仲介役というイメージが強かったが、海外のインフラに投資している姿に驚かされた」と率直な印象を語った。

急速な経済発展に伴い、ベトナム国内の電力不足は深刻だ。国営の発電所だけでは足りず、民間発電施設からの電力供給も取り入れている。和歌山県立桐蔭高校3年の小南友紀さん(18)は「日本では電気を当たり前のように使い、どこでも明るい照明があるのに、まったく異なるベトナムの状況を目の当たりにした」と、驚きの表情を見せていた。また、政府は不足する電力を補うために発電所建設を推し進めており、原子力発電所建設も議論されているという。鎌倉女学院高校2年の高本汐里さん(17)は「ベトナムは思った以上に発展の途上だった。日本企業が電力事業に貢献できる余地はまだありそうで、5年後、10年後の発展が楽しみだ」と語った。

次に訪れたコーヒー精選所のヴィナコフ社と三菱商事は、日本向けに一部上質品の独占販売契約を結んでいる。日本の消費者の嗜好に応えるため、豆の重さや大きさを選別するほか、高速で色彩を識別して上質品だけを残す装置も導入されており、品質管理が行き届いている。国立筑波大学付属高校1年の筆谷尭さん(16)は「普段自分もコーヒーを良く飲むが、日本の消費者や買い手の立場に立って、細かくチェックされていることがわかった」と、感慨深い様子だった。

最終日には、三菱商事が出資する工業団地「ベトナムシンガポール工業団地(VSIP)」を訪問。メーカーを中心に367社が進出し、約6万5000人の雇用を生んでいる。現在約4分の1を占める日本企業の誘致は、三菱商事も担っている。VSIPでは日本語を含めた5か国語での応対や、通関や行政手続きのサービスが充実。敷地内には見慣れた企業ブランドが散見され、各国企業のベトナム進出に高校生たちも関心を深めていた。

未来担う若い力と交流 見習おうハングリー精神

ツアー中、様々な出会いと交流があった。ハノイ国家大学外国語大学付属高校では、日本語を学ぶ高校生との交流会が行われた。日本の高校生が自分たちのくらしや歌を紹介すると、ベトナムの生徒は日本語劇や民族舞踊などで歓待してくれた。終始、現地高校生の歓声とパワーが会場を包み、桐光学園高校2年の末吉由佳さん(17)は「彼らのハングリー精神があれば、きっと世界で活躍しそう。私たち日本人も見習いたい」と話した。さらに、ベトナムの菓子や果物を食べながら会話がはずみ、連絡先を交換しあうなど、盛り上がる中で別れを惜しんでいた。群馬県立高崎高校1年の土屋健斗さん(16)は「交流を通して、ベトナムの高校生は勉強熱心な面を持っていると感じた」と感想を語った。

また、ベトナムでボランティア活動をする眼科医の服部匡志さんとの懇談の機会もあった。服部さんは2002年から、医療費が払えない患者には無報酬で手術をし、現地の医療スタッフの技術向上にも力を注いでいる。高校生からは「どのような苦労がありますか」「何が原動力ですか」など質問が相次ぎ、服部さんの答えのひとつひとつに感銘を受けていた。

このほか、在ベトナム日本大使館の表敬訪問や民族衣装「アオザイ」製作の講座など、2都市での6日間はあっという間に過ぎていった。

“海外プロジェクト探検隊” 三菱商事の海外事業や現地の文化を体験しよう

“海外プロジェクト探検隊”とは

このプロジェクトは、一般から公募した高校生をリポーターとして海外に派遣し、現地で体験した内容をヨミウリ・オンラインで発表してもらうシリーズ企画。

現地では、三菱商事が海外で展開しているプロジェクトの現場を訪問するほか、現地の学生との国際交流や生活文化など、さまざまなプログラムを体験。未来の日本を担う高校生たちに、総合商社の仕事や異文化への理解を促し、今後社会で活躍するための糧としてもらうことを目指している。

これまでに「ブルネイLNGプロジェクト」「タイ自動車プロジェクト」「中国繊維・物流プロジェクト」「オーストラリア石炭採掘プロジェクト」「カナダ製紙原料プロジェクト」「シンガポール都市開発プロジェクト」「香港・華南インフラプロジェクト」を実施しており、今回の「ベトナム産業インフラプロジェクト」は8回目となる。

体験ツアー報告会

5月16日、「ベトナム産業インフラプロジェクト」体験ツアーの報告会が開催された。ツアーに参加した高校生たちは、体験したプログラムのツアーリポートを作成。ベトナムで展開する三菱商事のプロジェクトを中心に、現地で学んだことや感じたことなどを発表した。

続いて行われた懇談会では、“探検隊”第1~7回に参加したメンバーらとも交流。それぞれの自己紹介や近況報告、自分が参加した際の体験談、今回のリポートの感想などについて話が弾んだ。

詳細情報参照

海外プロジェクト探検隊 Vol.8に参加した高校生のリポート

海外プロジェクト探検隊 Vol.8の動画

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