人材育成
三菱商事の人材育成の基本方針
当社にとって、時代のニーズを先取り・先読みし、高い志をもって常に社会課題解決にチャレンジしてきた「多彩・多才な人材」こそ「価値創出の源泉」であり、最大の資産と捉えています。
こうした「経営マインドをもって事業価値向上にコミットする人材」をこれからも継続的に輩出し続けるために、一人ひとりのキャリアステージに応じて、OJT・Off-JT両面から段階的にさまざまな経験を積む機会を提供しています。 具体的には、当社の未来を担う人材として不可欠な「リーダーシップ開発」・「グローバルでの経験」などを各キャリアステージに合わせて段階的に経験するための施策、さらにリスキリングを含めた「事業環境の変化への対応力強化」施策を展開しています。
キャリア自律の促進
三菱商事では、多彩・多才な人材がやりがいと誇りを持って仕事に取組み、能力を最大限に発揮しながら、継続的に成長・活躍できるよう、多様な個の就業観・価値観を尊重し、キャリア自律を後押しする取り組みを拡充しています。
成長対話
社員の自律的成長の実効性を高めることを目的として、年に1回、能力開発・キャリア開発にフォーカスした振り返りの機会を設け、上司との対話を行っています。
成長を支援するフィードバック
成長対話に先立ち、一定の組織を率いる社員は、上司・部下・同僚からの「360度マネジメントレビュー」、それ以外の社員は、部下・同僚による「周囲からのフィードバック」を実施し、本人の気付き・行動改善につなげる成長支援の機会を設けています。
タレントレビュープログラム
成長対話を経て確認した社員の能力伸長・キャリア希望などを、より広い母集団で共有し、複数の眼で、社員の能力開発・キャリア開発を促進する仕組みを設けています。
キャリア自律を促す仕組み
個人のキャリア希望、今後伸ばしていきたい能力・資質などを踏まえ、自らが挑戦したい組織への異動を後押しする「Career Choice」制度、社内複業を通じたスキル習得・成長機会を提供する「Dual Career」制度、国内外の大学・大学院への進学を通じた学び直しに自律的に取り組むことができる「サバティカル休職」制度を実施しています。
人材育成プログラム
三菱商事では、多種多様な人材育成プログラムを通じて、時代に合わせたリーダーシップのアップデートや、多彩・多才な人材を活かすためのダイバーシティマネジメント、DXの更なる推進のためのIT・リテラシー向上、キャリア自律など、内外事業環境の変化への対応力強化に重点的に取り組んでいます。
※その他、他社主催の研修にも社員を派遣。
新入社員研修
三菱商事の一員となった意識と自覚を醸成するとともに、三菱商事社員として必要とされる知識、スキルなどを身につけるためのプログラムを用意しています。環境・社会課題をビジネスに組み込む構想力強化に資するプログラムも実施しています。
ビジネスベーシックスキル/ビジネスアドバンスドスキル プログラム
入社1~3年目までの若手社員の基礎能力強化として、段階的な2つのプログラム「ビジネスベーシックスキルプログラム(BBS)」、「ビジネスアドバンスドスキルプログラム(BAS)」を実施しています。財務会計・簿記・M&A・英語力・リーダーシップ等、実務を担うプロフェッショナルとしての基礎スキルを総合的に習得します。
グローバル研修生
事業の更なるグローバル展開に対応するため、原則として入社8年目までに全職員に海外経験を積ませています。この方針を支えるのが「グローバル研修生制度」です。
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グローバル研修生(長期出張)
海外拠点や海外事業投資先等、日本とは異なる環境で実務研修経験を積むことによりビジネスパーソンとしての更なる成長を図るものです。環境に溶け込み、派遣国をよりよく知るために、派遣前・派遣期間中は、派遣先公用語も学習することとしています。
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グローバル研修生(地域)
事業のグローバル化が進む中、各国・地域に根差した事業を展開するには、ビジネススキルのみならず、その国や地域を深く知ることが重要です。言語の習得をはじめ、当該国・地域の知見を深めるため、インドネシア、タイ、ブラジル、ロシア、メキシコ等、様々な国で1年半~2年間の語学研修・実務研修を実施しています。
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グローバル研修生(ビジネススクール)
最新の経営管理手法や幅広い問題解決能力を持つ人材の育成のため、欧米やアジアのビジネススクールへ研修生を派遣しています。派遣後は学んだ知識・スキルを活かして事業投資先の経営に携わるなど、様々な場所で活躍しています。
イノベーション研修
事業価値向上に必要な構想力の涵養のために、スタンフォード大学教授陣等の協力を得たプログラムで構成されるイノベーション研修を実施しています。デザイン思考などのイノベーションを生み出すための思考プロセスを中心にシリコンバレー企業の急成長の背景・メカニズムを学ぶ場となっています。
オンラインBS
オンラインで海外のトップビジネススクールのプログラムを受講できる制度を、管理職に登用された者を対象に展開しています。リーダーシップ、ストラテジー、ファイナンスなどの数あるプログラムの中から、自身に必要な要素を自律的に選択し受講する制度となっています。
短期ビジネススクール
米国、欧州、アジアのトップビジネススクールの短期プログラムに管理職層を派遣しています。これらの派遣は、マネジメントスキルの向上と、異文化・異業種から集う参加者とのネットワークの構築を目的としています。
事業経営プログラム
現在三菱商事社員のうち3割が、事業会社に出向し、事業経営を行っています。そのような社員向けに、事業価値向上や組織マネジメントを行う際に肝要な、リーダーシップ、コーポレートストラテジー、コーポレートガバナンス、組織開発などのスキルを身につけるためのプログラムを実施しています。
MC経営塾
幹部候補社員に対するプログラムとして、「MC経営塾」を2003年度より毎年実施しています。このプログラムの柱は、会社の経営課題についてグループで議論をした上で経営陣向けにプレゼンテーションを行う経営課題ワークショップです。多様な経験を持つ社員同士による意見交換、社内外経営者・有識者の講話等を通じて、一段高い視座、経営マインド、横のネットワークを得る機会となっています。
組織リーダー研修
部下の成長支援や組織運営等、組織を率いるために求められるダイバーシティマネジメントや成長支援マネジメント、パフォーマンスマネジメント等の知識・スキルの涵養を目指す組織リーダー研修を、組織を率いるポストの就任者約100名を対象に毎年行っています。
インストラクター研修
三菱商事では、新入社員の教育担当者として同じ職場の先輩社員をインストラクターに任命し、日常業務につき積極的に指導を行うと共に、三菱商事社員として必要な素養等について指導・教育を行う役割を担います。インストラクターには新入社員の指導方法や成長支援について学ぶ研修を実施しています。
社員の自律的な成長を支援するプログラム
社員の自律的成長を促し、自発的な学びや自己研鑽の機会の拡充のため、充実した自律型学習のプログラムを整備しています。また、事業環境変化への対応と多様な個に合わせた学習機会の拡充を狙いとして、全社員を対象としたオンライン研修プログラムを導入し、多様な学習コースの中から社員が自由に選び学習できる環境を整備しています。
オンライン学習プラットフォーム
学習内容の多様化および学習内容の最新化・最適化に向けた対応ならびに自律的学習を通じた個人の能力・スキル向上をサポートするため、オンラインで多数のコンテンツから学べる学習プラットフォームを導入しています。約9,500本の既存コンテンツのほか、社内コンテンツ動画75本以上を掲載し、年間一人当たり平均10時間以上視聴しています(2022年度実績)。
キャリアビジョン研修
三菱商事の人事制度・諸施策は、社員の成長と会社の発展が一体となることを目指しています。社員の成長のためには、社員一人ひとりが自律的に成長するという強い意思を持つことが重要なため、2022年度よりその支援の一環として、全職員を対象にキャリアビジョンに関する講座(e-learning)を提供しています。
自律的成長を続けるためのキャリアの考え方を学ぶとともに、自己の才能を可視化し、キャリアビジョン実現に向けたアクションプランを策定・実行することで成果の創出を目指します。
MCスキルアップ講座
MCスキルアップ講座では、専門性、構想力、実行力に繋がるスキル・能力を醸成するための講座を多数用意しています。
自己啓発講座
自己啓発講座は、業務に活かせるマネジメント・ビジネス実務・語学等の知識やスキル習得の為、会社が指定する講座の受講を奨励し、能力開発の機会を提供するものです。
能力開発支援制度
経営マインドをもって事業価値向上にコミットする人材に育つという社員の自律的な成長を促進するため、「現場のプロ育成ステージ」の行動要件を満たす為に相応しいと認められる講座の受講を支援するものです。
デジタル人材育成プログラム
さらなるDX加速に向けて、全社員が必要なデジタル知見を獲得するため、各レベルに応じた研修を展開しています。DX推進や新規事業立上の担当者向けのプログラミング研修とwebサービス立上のワークショップに加え、全社員のIT・デジタルリテラシー向上を目的とした必須講座や個々人のレベルに応じた講座を提供しています。
全社員向けIT・デジタルリテラシー講座
変化対応力を高めるリスキル、DX推進力の強化の一環として、三菱商事全社員が身につけるべきIT・デジタルリテラシーを、各人のレベルに応じて段階的かつバランス良く習得するためのオンデマンド型研修プログラム MC DX Advancement Programを新設し、データデザインやDXプロジェクト管理など約70時間、16講座を全社員向けに提供しています。
MC Innovation Lab(MIL)
新規事業やデジタル事業を担当する社員が、プログラミングや事業開発に関する講義を受けながら、ウェブサービスを開発するプログラムを実施しています。成果はコンテスト形式で評価し、一部は事業化に向けて動き出しています。
マネジメント向けIT・デジタル講座
DX推進やIT活用におけるより適切な判断や部下への助言を行えるよう、マネジメント層向けの講座を実施しています。DX時代のリーダーに必要な技術導入時の特性、適切なコミュニケーション法、意思決定のタイミング、及び判断のポイント等の理解を深めることを目的としています。
MCグループの価値観共有
三菱商事では、MCグループ約8万人としての総合力強化を図ることを目的とし、価値観の共有、強固なネットワークの構築に取り組んでいます。
MC Group Gateway Program
2010年度より、三菱商事の理念・価値観の共有やMCグループの理解を深めることを目的として、海外拠点・国内外のグループ企業の社員を対象に導入研修「MC Group Gateway Program」を開催しています。東京にて、日本語・英語で実施しており、累計約4,600名以上が参加しています。さらに、各海外地域でも同様の導入研修を展開しており、当社グループ全体での価値観の共有を推進しています。
【参考データ】
三菱商事が実施する研修の概観(単体、2022年度)
年間研修受講者数(注1) | 10,988名 |
1人あたり平均研修時間(注2) | 21.8時間 |
教育・研修費総額(注3) | 24.2億円 |
1人あたり研修費(注4) | 44.5万円 |
- (注1)本店人事部主催研修のみ
- (注2)年間延べ研修実施時間を全従業員で割り一人あたりになおしたもの
このほかに会社が提供するオンライン学習プラットフォームを利用した自己啓発時間あり - (注3)教育研修費+外部研修機関への研修業務委託料
- (注4)教育・研修費総額を全従業員で割り一人あたりになおしたもの
各研修の受講者数・研修時間(本店人事部主催研修のうち一部を抜粋、2022年度)
名称 | 対象 | 受講者数 | 研修時間 |
事業経営プログラム Ⅰ | 国内・海外事業会社で事業経営に携わる職員 | 70名 | 15時間 |
事業経営プログラム Ⅱ | 国内・海外事業会社で幹部として事業経営に携わる職員 | 36名 | 18.5時間 |
イノベーション研修 | 事業構想 、デジタル戦略 、新規事業立案等の役割期待を担う職員 | 92名 | 77時間 |
組織リーダー研修 | 新任内部組織責任者(チームリーダー等) | 122名 | 43.5時間 |
オンラインBS | 管理職昇格者 | 147名 | 平均41.2時間 |
新任M2研修 | 管理職昇格者 | 151名 | 36.5時間 |
インストラクター研修 | インストラクター(新入社員指導担当) | 141名 | 17時間 |
キャリアビジョン研修 | 入社6年目職員 | 107名 | 10時間 |
ビジネスアドバンスドスキルプログラム | 入社3年目職員 | 124名 | 73時間 |
新入社員向け研修 | 入社1年目職員 | 121名 | 184.5時間 |
キャリアデザイン関連研修 | 48歳以上職員 | 1,646名 | 19時間(注1) |
A職キャリアビジョン研修 | 一般職掌 | 239名 | 24.5時間 |
オンライン学習プラットフォーム(Udemy) | 全社員 | 登録者数5,596名 | 平均視聴時間10.4時間 |
MCスキルアップ講座 | 全社員(講座毎に自由応募) | 639名 | 平均5.9時間(注2) |
- (注1)総合職マネジメント層の標準的な受講時間
- (注2)全21講座の平均時間
最適配置の実現に向けた職務と人材の可視化の取り組み
職務と人材の可視化状況
当社ならではのさまざまな経験を経て、連結ベースで重要な役割を担う人材「重要職務就任者※」約700名が、循環型成長モデル・EX・DX一体推進等の経営戦略の実現に向け、国内外のさまざま拠点・地域、事業会社において事業経営に取り組んでいます。これら、重要度・難易度の高い職務と、それを担い得る人材の可視化に注力し、当該職務への適任者の最適配置に向けたマッチングを図っています。
※当社の役員、本部長・部長、国内・海外全拠点長、当社社員が担う当社グループ企業の経営幹部など。
人材可視化の取り組みとデータの活用
最適配置に向けて、重要職務に当たる人材の可視化を行うべく、当該機能を人事子会社に具備、当社出身の専任のアセッサー7名体制を構築し、可視化に取り組んでいます。アセッサーが対象者一人ひとりにインタビューを行い、適性検査の結果等のデータも踏まえ、フィードバックと対話を行う形式で、これまで累計約350件の面談を完了しました。年齢・性別にかかわらず、能力・意欲のある人材と職務とのマッチングを図るための取り組みとして、今後も推進していきます。また、これらデータを分析し次世代のリーダーを担う人材育成にも活用していきます。