三菱商事

Global Now

今、私たちはどのような社会に生きているのか。

世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。

海底送電

電力は国を越え、世界をつなぐ

イギリスの起業家ジョン・ブレッドは1850年8月、弟のヤコブ・ブレッドとともにイギリスとフランスを結ぶドーバー海峡に世界最初の海底ケーブルを敷設した。イギリス・ドーバー側の馬小屋のような建物の中でジョンが装置を動かすと、フランス・カレー側の小屋では文字が印字されていたという。

まもなくケーブルが絶縁不良になり使用できなくなったが、翌年の再チャレンジが成功し、世界最初の海底電信が始まった。両国は第2次百年戦争と呼ばれる戦争状態にあったが、この出来事は両国民に熱烈に歓迎され、実質的な戦争の終結を意味したという。

それから約160年、世界各国の海底には通信用ケーブル、さらには大容量の送電ケーブルが張り巡らされている。2010年には、イギリス、フランスを含む北海周辺の9カ国が「スーパーグリッド(高圧直流送電網)」の建設を目指すことで合意した。高性能の海底送電ケーブルを数千キロにわたりめぐらせ、再生可能エネルギーで発電した電気を効率よく送る計画だ。例えば、デンマークの海岸に打ち寄せる波や、イギリス沿岸の風力エネルギーでつくった電気を、ノルウェーの水力発電所に送電する。このようなことも可能になるという。

国境を越えて電気が行き交う大送電網が、自然エネルギーの未来を照らす。

100vの電圧をかけた場合、直流は一定なのに対し、交流は最大±141v(100×√2)まで変化する。同じ太さ、同じ電圧ならば交流より直流の方がより多くの電力を送れるため、海底など長距離では直流で送ることが多い。

PROJECT

欧州での海底送電インフラ事業

三菱商事は、イギリスやドイツで海底送電インフラ事業を展開しています。ドイツでは、2012年以降順次ボーウィン海底送電資産(送電容量合計1,200MW)が運転開始を予定しており、北海に建設予定の洋上風力発電所からの送電を担います。再生可能エネルギーである洋上風力発電による電力を陸上に送電するうえで、海底送電インフラは不可欠です。三菱商事では今後も、欧州での海底送電インフラ事業を通して、低炭素社会の実現に貢献していきます。

2012年8月19日 朝日新聞「GLOBE」掲載
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