三菱商事

Global Now

今、私たちはどのような社会に生きているのか。

世界中で起きている出来事をシリーズでお伝えします。

穀物

食糧危機の切り札

人口は制限しなければネズミ算のようにかけ算的に増えるが、穀物の生産は足し算的にしか増えず、やがて食糧不足に陥る。一人あたりの分け前が減ると疫病や戦争が起き、やがて人口は維持もしくは微増にとどまる。これはイギリスの経済学者トマス・ロバート・マルサスの唱えた「マルサスの罠」として知られる。人類は18世紀の産業革命まで、この罠にもがき苦しんできた。

第2次世界大戦後の東南アジアも同じような状況にあったが、多くの国がこの罠にはまることはなかった。その理由は1960年代末からの「緑の革命」にある。各国が穀物増産のために積極投資をし、より効率の高い農法の研究に取り組んだ。フィリピンではミラクルライスと呼ばれたコメの新品種「IR8」が開発されたほか、インドではメキシコで品種改良された小麦を使い、それぞれ大増産に成功した。いずれも単位面積当たりの収穫量が格段に改善し、自給率を押し上げた。

一方で肥料の大量投下や水質汚染など、環境破壊という負の側面も強く残った。

これからの世界に求められるのは、持続可能な穀物の生産であることはいうまでもない。環境との共存を図り穀物を安定生産することは、未来の食糧危機を救う大きな切り札となるに違いない。

世界の穀物消費量の推移

PROJECT

大豆輸出大国ブラジルで調達力強化

世界の穀物需要が拡大するなか、米国と並ぶ大豆輸出大国であるブラジルは、コーンを含めた輸出の増加が期待できる重要な穀物供給国です。三菱商事は、2012年1月にブラジルで大豆・コーンを中心に年間100万トン超の集荷販売規模を誇る穀物会社セアグロ社の株式20%を取得、2013年5月には同社株式60%を追加取得することに合意しました。今後、北米、南米における安定調達体制をさらに強化し、食の安定供給に貢献していきます。

2013年8月18日 朝日新聞「GLOBE」掲載
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