2010年1月4日

2010年 社長年頭挨拶

新年明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。
さて、本朝、三菱商事丸の内オフィスにて行われました、当社社長 小島順彦による「2010年 年頭挨拶」を下記の通りご報告します。
 
 
皆さん、あけましておめでとうございます。
新たな気持ちで2010年を迎えられたことと思います。
新年を迎えるに当たり、ご挨拶申し上げます。
 
 
【2009年を振り返って】
 
ご記憶かと思いますが、昨年の年初、私は、この場で皆さんに、「原点に戻ろう」とのお話をしました。
所謂リーマンショックの影響で世界経済が混迷の度合いを深める中で、わが社は、もう一度足元をしっかりと固め、商権基盤を磐石なものにしよう、その一方で、商社の原点であるチャレンジ精神を失うことなく、しっかりと前を向いてチャンスをうかがって欲しい、そういうことを皆さんには申し上げました。
 
その後世界経済は、各国政府による景気下支え策もあって持ち直しの様相を見せていますが、力強い回復というところまでには至っておらず、今日を迎えております。
 
先進国経済は不透明感が拭えず、わが国においても、民需の回復や雇用情勢にも今一つという感がありますし、また、米国の不動産市況や個人消費からも目が離せません。
昨年11月のドバイショックのように局地的な金融市場の混乱が、世界全体に波及し、実体経済にマイナスの影響を与えるという可能性も否定出来ません。
 
その一方で、中国やインドなど底堅い成長を維持している新興国は、様々な場面でその存在感を高めてきました。
世界経済はまだら模様といいつつ、世界の多極化の流れや、保護主義やナショナリズムの動きを背景に、新たな秩序が模索された1年でもありました。
 
このような環境下、私自身も「原点」に戻って、わが社の経営をもういちど見つめ直してみました。
経営戦略会議は毎年12月に開きますが、昨年は4月にも、臨時で経営戦略会議を招集しました。予想以上に先行きの不透明感が強くなる中で2009年度を「是正の年」と位置づけて、あらためて足場固めに取り組むことを宣言した次第です。
そして、投資計画の見直しや経費の削減をはじめとする「緊急施策」を打ち出し、皆さんのご協力も得て、これらを実行致しました。
その一方で、激動する世界の潮流をとらえ、新しい時代も見据えた成長戦略として、私が直掌する「全社開発」を立ち上げました。
 
皆さんの早急なる対応のおかげで、金融危機のわが社への影響を、最小限に留めることができ、数字の面から言っても、2009年度の通期見通しを上期決算時に上方修正したことは、ご存知の通りです。
また、全社開発という、新しい体制も順調にスタートを切ることができ、成長に向けた新しい芽も息吹始めています。
この場をお借りして、まずは昨年1年の皆さんの努力に対し、心から感謝したいと思います。
 
 
【2010年~「INNOVATION計画」締め括りの年として~】
 
さて、2010年という新しい年を迎えるに当たって、ひとこと申し上げたいと思います。
 
現在の中期経営計画INNOVATION 2009は、この3月末をもって終了致します。
 
INNOVATION 2009、そしてその前のINNOVATION 2007も含め、わが社は過去6年にわたり、INNOVATIONという言葉を経営計画の名称とし、また、「新・産業イノベーター」というビジョンを掲げて、イノベーション、すなわちビジネスモデルの変革に取り組んでまいりました。
 
そのイノベーションを実現するための枠組みとして、
「変化を捉えて未来を拓く」、
「人を活かし人を育てる」、
「足場を固める」、
という3つの基本コンセプトを設定し、グローバルなベースでさまざまな取り組みを行ってきました。
 
この2010年という年は、まさにこの6年の締め括りの年であると同時に、次の経営計画がスタートする年、その移行の年ということになります。
 
昨年12月に開催した「経営戦略会議」においても、この6年の計画全体を振り返り、その総括を行うとともに、次期経営計画への課題を整理して、それを経営陣で共有致しました。
 
この6年間の取り組みの結果、皆さんの大いなる努力が結実し、わが社の強みである中核的なビジネスはますます強化されましたし、足腰としての財務基盤もいっそう強固なものとなりました。
また、各グループや全社開発部門、各国内外場所においては、既存事業にとどまらず、新しい取り組みに対しても、着々と手が打たれていることも確認できました。
 
一方で、課題がないわけでもありません。
リーマンショックは、ある意味で、われわれが足元を見つめ直す良い機会であったとも言えます。
冷静な目で過去の経営施策をもう一度洗い直し、その課題を整理することもできました。
また、経営戦略会議の中では今後のわが社のあり方に対する指摘も多くなされ、その対応についても討議を行いました。
これらの課題についても、今回の総括も活かしながら、次期経営計画の中でしっかり対応していくことが大事だと思っています。
 
「INNOVATION計画」は残り僅かですが、「画龍点睛を欠く」ことがないよう、気を緩めず、しっかりと計画の達成に取り組んで頂きたいと思います。
 
 
【コンプライアンスと謙虚さについて】
 
「INNOVATION計画」の総括に関連して、「コンプライアンス」と「謙虚さ」ということにも改めて触れておきたいと思います。
 
コンプライアンスについては、今さら言うまでもありませんが、ちょっとした気の緩みや意識の欠落が、三菱商事グループ全体への致命的な打撃に繋がる可能性がある、ということは、常日頃より、強く意識してもらう必要があります。
土台の積み上げには時間と努力を要しますが、崩れるのは一瞬です。
年頭にあたり、是非共、社員一人一人がコンプライアンス意識を高め、その遵守を再度徹底して下さい。
 
「謙虚さ」という点は、私自身が、最近強く感じていることです。
たしかに、会社の規模は大きくなりました。
6年前に比べて利益は2倍になりましたし、時価総額は3倍になっています。
しかし、会社に誇りを持つのは大変素晴らしいことですが、行き過ぎた誇りは奢りになります。
三菱商事グループの社員らしく、常に謙虚な行動、言動を心掛けて下さい。
 
 
【2010年~新たな経営計画が始まる年として~】
 
さて、2010年は、INNOVATION計画の締め括りであると同時に、新しい経営計画への移行の年でもあります。
 
この6年間のINNOVATION計画では、「変化を捉えて未来を拓く」というコンセプトを、成長戦略のテーマとして掲げてきました。
金融危機やその後の世界経済の混迷など、大きな環境の変化はありましたが、「未来の扉を開ける」というところまでは、何とか来たのではないかと思っています。
 
わが社のビジネスモデルもますます多様化し、敢えて言えば、「総合商社」という名前さえ、もはや実態を正確に表しているとは言い難い、そんな状況にもなってきています。
最近では、今まで余り接点が無かったお客様からも、新しい地域や分野で、新しいビジネスを一緒にできないか、といったご相談を頂くようになり、まさに、お客様と一緒になって成長のシナリオを構築する、「新・産業イノベーター」への手応えを感じています。
 
ここから先は、開けた扉の向こう側に、勇気をもって踏み込んでいく、その未来をみずから手にするために前進することが大事であろうと思っています。
まさにここから、新たに「未来への挑戦」が始まる。
私は、2010年という年を、そういう年だと思っています。
 
世の中の流れを見ると、経済構造そのものが大きく変化しつつあるなかで、新エネルギーや環境ビジネスの急速な成長、スマート化やクラウドコンピューティング等の技術イノベーション、新興国におけるインフラ需要の急拡大、などの新たなビジネスチャンスが生まれています。
一方、わが社では2012年度に導入を予定している国際会計基準など、今後のビジネス社会に大きな影響を与えうる変化も生じつつあります。
 
また、先般コペンハーゲンで行われたCOP15における議論からも見て取れるように、今日、我々が直面している地球環境問題は、地球という我々の生存空間そのものの「有限性」を、いやおう無しに意識させる状況にあります。
また、人権や貧困問題など社会問題への配慮が一層求められている状況にもあります。
 
今後、ステークホルダーとしての「地球」や「社会」の位置づけは、ますます高まっていくことでしょう。
環境・CSRの重要性が益々高まる中、われわれ全員が、グローバルカンパニーとして、社会のため、国のため、そして世界のために貢献できる会社を目指すことが大切です。
 
われわれを取り巻く外部環境は時々刻々と変化しています。
そういう中で、われわれの未来も一直線ではありませんが、すでにわれわれは引き返すことが出来ない未来へ前進し始めている。
言い古されたことですが、「大胆且つ細心」に、最善を望み最悪に備えながら、一歩一歩、前を向いて歩みを続けていくことが大事だと思っています。
 
皆さんも、既成の枠組みにとらわれず、連結ベースで、そしてグローバルな視点で、挑戦を続けて下さい。
時代の変化に伴って、新しい分野、新しい地域、を視野に入れることにより、必ずや次世代のビジネスチャンスに繋がる発見があると思います。
 
そして、新しい発見、気づきがあれば、どんどん発信してもらいたい。
それを受け止める体制も整えたいと思います。
 
未来への挑戦に当たっては、組織のあり方や人材の育成についても、時代の変化に柔軟に対応していく必要があります。
昨年も、一部組織体制の変更を行いましたが、今までもそうであったように、これからも、組織の改編や事業投資先を含めた人材流動化は必然となる、と考えています。
結果的にこれによって個人のバリューが上がり、ひいてはわが社の企業価値の向上に繋がる、と是非前向きに受け止めて欲しい、と思います。
 
「INNOVATION計画」は、間も無く終了しますが、「INNOVATION」という営み自体には終わりはない。
「未来への挑戦」はここから始まる。
これが、新年にあたっての、私から皆さんへのメッセージです。
 
最後になりますが、本年が、三菱商事グループ各社にとって飛躍の年となると共に、三菱商事グループ社員の皆さんの健康と益々の発展を祈念して、私からの年頭の挨拶と致します。
 
今年1年、新たなチャレンジに向かい、全員で手を携えて頑張りましょう。
                                                                    以 上
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