三菱商事

歌の絆プロジェクト

ふるさとに咲く希望のひまわり

その日、自分はどこにいて何をしていたか、多くの人が今も鮮明に覚えているだろう。

2011年3月11日。ヴァイオリニストの葉加瀬太郎さんは、拠点を構えるロンドンで東日本大震災の一報を聞いた。遠く海を隔てた場所では、できることにも届く情報にも限りがある。それでも、いても立ってもいられぬ思いでチャリティー活動に奔走した。

そのころ日本では、葉加瀬さんの曲「ひまわり」が、傷つき不安を抱えた人たちの心を励まし続けていた。当時放送中だったNHK連続テレビ小説のテーマ曲。1週間の中断を経て番組が再開した時、「またあのメロディーが聴けてホッとした」と感謝の声が多数寄せられた。

「家族がいて、テレビで連ドラが流れる。そんな当たり前の光景がいかに尊いものか、あらためて実感しました。『ひまわり』は、多くの人にとって何げない日常の象徴だったんだと思います」。そう語る葉加瀬さんは、以来コンサートで欠かさずこの曲を演奏している。3月、福島県郡山市で開催される「復興支援音楽祭」の準備を進めるなかで、「この曲に言葉をのせて歌にすればもっと多くの人と共有できる」と、合唱として披露することを発案。被災地の小中高校生から歌詞のアイデアを募った。

「震災によって変わってしまった時間の流れ。でも、過去を取り戻すのではなく、未来へ向かっていかねばなりません。『ひまわり』が、がんばっている皆さんの心に寄り添う歌となることを願っています」。歌詞をまとめた作詞家の松井五郎さんは、音楽祭に向けてそうメッセージを寄せた。災害が奪ったものの大きさと、そこから前に向かって力強く歩き始めた子どもたちの姿。松井さんのもとに寄せられた言葉からは、そんな被災地の今が浮かび上がる。

あの年生まれた弟が6歳になりました、という心温まる近況報告や「家族や友達との思い出が詰まった宝箱」であるふるさとのために、自分にできることを探したいという決意表明。仲良しの少女をひまわりの花が助ける長編の物語を書き送った小学生もいる。

葉加瀬さん、ピアニストの西村由紀江さん、チェリストの柏木広樹さんの演奏と、松井さんの言葉。そして、ひまわりの花のように太陽へとまっすぐに伸びる地元高校生たちの歌声。その日ステージに咲く大輪の花は、きっと空の上からもよく見えるに違いない。

昨年の復興支援音楽祭の様子

復興支援音楽祭 歌の絆プロジェクト 2017

【日時】3月29日(水)16:00開演(開場15:30)

【会場】郡山市民文化センター(福島県)

【参加アーティスト】葉加瀬太郎、西村由紀江、柏木広樹

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2017年2月5日 朝日新聞「GLOBE」掲載

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