三菱商事

歌の絆プロジェクト

僕らで作ろう新しい故郷を

「あふれる涙が/見ていた海の色」。ヴァイオリニスト葉加瀬太郎さんの楽曲「ひまわり」に、作詞家の松井五郎さんがつけた歌詞はそんな一節から始まる。アイデアのもとになったのは、東日本大震災で被災した東北3県の小中高校生から寄せられた言葉。ふるさとの誇りである美しい海を、以前と同じ気持ちではもう見ることのできない切なさ。それまで一度も体験したことのない怖さ。まだ幼さの残る文字が伝えるものに、松井さんの胸は締めつけられた。

歌として新たな命を得た『ひまわり』は、今月末に福島県郡山市で行われる「復興支援音楽祭」の舞台で初披露される。演奏はプロの音楽家、歌うは地元高校の合唱部だ。編曲を担当したチェリストの柏木広樹さんは、「過去を思わせる冒頭の描写が、メロディーの展開に合わせて未来を語る言葉へと変わる。その転換が、パッと視野が開けるようで素晴らしい」と歌詞の印象を語る。

2月、郡山市内で行われた音楽家たちと高校生による合同リハーサル。柏木さんとともに参加したピアニストの西村由紀江さんは、「みなさんと同年代の人たちが感じたこと、体験したことから生まれた歌詞です。気持ちを込めて歌ってください」と呼びかけた。限られた時間のなか、夏の花が力強く水を吸い上げるように、音楽家の教えをひと言も漏らさぬ集中力で吸収していく生徒たち。みるみる上達する歌声に、柏木さんと西村さんは演奏中、何度も顔を見合わせうれしそうに笑みを交わした。

「忘れないで/顔を上げれば/誰もみんなひまわりになれる」。一番の歌詞はそう結ばれる。6年前のあの日、必死で大人にしがみつき震えていただろう子どもたちが今、こうして伸び伸びと自分の好きなことに打ち込み歌っている。いつも太陽に顔を上げ、光だけを見る花の歌をこうして子どもたちが歌うことは、必然にすら思えてくる。

「歌には、話す言葉以上に多くのことを伝える力があると思います。私たちの復興への思いを、是非歌で伝えたいです」。練習を終え、合唱部長の生徒はそう語った。音楽祭当日は、音楽家と高校生たちによる「ひまわり」に乗せて、彼らの「思い」が会場を訪れる人に届くことだろう。

ふくしま逢瀬ワイナリー

ともに前へ、ともに明日へ。

東日本大震災からまもなく6年。三菱商事は、三菱商事復興支援財団を通じて、被災地域の産業復興・雇用創出を支援しています。福島県郡山市と連携し、果樹農業の6次産業化を支援する“ふくしまワイナリープロジェクト”をはじめ、さまざまな活動に取り組んできました。これからも同じ空の下、ふるさとの未来を信じる人々とともに歩み続けること。それが私たちの変わらぬ誓いです。

2017年3月5日 朝日新聞「GLOBE」掲載

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