三菱商事

Starting Point ~その思いが未来へつながる~

Starting Point ~その思いが未来へつながる~ Vol.2 インドネシア自動車事業 未知の世界に挑む喜び Starting Point ~その思いが未来へつながる~ Vol.2 インドネシア自動車事業 未知の世界に挑む喜び

地図を眺めているのが好きな子どもだった。生まれ育ったのは、外国人と接する機会などまるでない九州の地方都市。それでも、知らない国やそこで暮らす人たちにいつも関心があった。「同じ人間なのに、文化や考え方が全然違うなんて面白いなと思って」

三菱商事に入社して28年。うち20年を、近藤恭哉は海外の赴任地で過ごしてきた。自動車の販売・マーケティングひと筋。商品の中身は変えずに情報の伝え方を変えただけで、昨日まで積み上がっていた在庫が今日はヒット商品になっている。そんなことを何度か体験して、仕事の面白さにのめり込んだ。

三菱商事はインドネシアで、1970年から「三菱車」のビジネスを展開している。インドネシアの人口は世界第4位の2億5千万人。経済が着実に発展を続けるなか、自動車の保有率はまだ低く、伸びしろの大きな国だ。さらに近年、市場構造は変わり、乗用車の需要が伸び始めている。それに合わせたビジネスモデル改革の中で、今年4月、三菱自動車と三菱商事、そして現地パートナー「クラマ ユダ」が、インドネシアのジャカルタ市郊外で、新たな乗用車生産工場の操業を開始した。同時にスタートした販売会社「MMKSI」で、プレジデントダイレクター(社長)に就任したのが近藤だ。商用車販売では同国でシェア5割を占める「三菱車」にとっても、乗用車の販売が成功するかはまったくの未知数。近藤にかけられた期待は大きい。

「課題達成のために努力していく過程で、私が大切にしているのは『自己満足』なんです。本当に高い目標を設定しているか、そのために最善を尽くしているか、一番知っているのは自分ですから、自分自身を満足させるというのは、実はとても難しい。変化や達成は外に求めるのでなく、自分のなかから生み出していくもの。だから目的があるなら自分自身がまず動け。いつもそう思っています」

フィリピン駐在だった20代のころのことだ。チームの仲間達と共にマーケティングの知恵を絞った新型車の販売開始日、「うちのディーラーに人があふれるなんて初めてのことだ」と、感激したオーナーから電話がかかってきた。誰かが喜んでくれる、仕事を通して人の幸せに貢献できるというのは、こんなにもうれしいことなのか。その思いが近藤の原点だ。

未知の市場に挑戦する不安がないわけではない。しかし今は、それを楽しむ気持ちが上回る。「知らないというのは、それだけで面白いという意味なんです」。未来という名のまっさらな地図を開いて、近藤はまた目を輝かせる。

Think Big, Act Honestly

2017年6月4日 朝日新聞「GLOBE」掲載

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