三菱商事

Starting Point ~その思いが未来へつながる~

Starting Point ~その思いが未来へつながる~ Vol.4 企業法務@カナダ 凛としてこころは熱く Starting Point ~その思いが未来へつながる~ Vol.4 企業法務@カナダ 凛としてこころは熱く

呼吸を整え、雑念を捨て、前方の的に神経を集中する。引き絞った弓から放たれる矢は、一瞬で張り詰めた空気を貫く。まっすぐ、ただ一点をめざして──。

高校時代、弓道に打ち込んだ南竹あゆみには、今もそんな凛とした空気が漂う。三菱商事法務部から、事業投資先である「Diamond Gas Management Canada」(DGMC)にリーガルマネージャーとして出向中。日本人の感覚でいえば、1年の3分の2近くは「真冬」と感じるカナダのカルガリーに、幼い2人の子どもを連れて1年前に赴任した。

「法務という仕事は、じっとしているだけでは情報が入ってきません。情報は現場にあるもの。だからずっと、事業投資先に出たいと言い続けていたんです」

彼女が現場にこだわるのは、ビジネスの実情を知らずに契約書の法的問題を指摘するだけなら、法務の仕事としては不十分と考えるからだ。「これはダメです、というのは簡単です。でもそれだと、現場の社員に頼ってもらえないし相談もしてもらえなくなる。それでは私が考える企業法務の仕事はできません」

弁護士をめざして司法試験の勉強をしていた学生時代の三菱商事法務部でのインターン経験が、彼女のその後を決定づけた。そこで学んだ何もかもが新鮮だった。法務部員は、新たなビジネスの立ち上げからかかわる重責を担うこと。弁護士の仕事は外部アドバイザーとしての関与であるのに対して、企業法務はビジネスにより近い当事者として問題を未然に防ぐ方策を考えること。「三菱商事には、特に決まったビジネスのかたちがありません。何もないところから新しいビジネスモデルをつくっていく。毎回が新しいチャレンジだから、難しいけど面白い。そこに充実感があります」

赴任先であるDGMCは、シェールガスの生産が事業の大きな柱。現在はそこに、液化天然ガス(LNG)の輸出というもう一本の柱を加えるべく準備を進めている。南竹が必要とされる場面は、今後ますます増えていくだろう。

「提携事業者、取引先、地域の人たち、誰に対しても誠実に接することが、私たちの仕事では不可欠です。ただ交渉で勝つこと、より多く取ることが目的ではありません。契約書にサインすることがゴールではなく、ビジネスはそこから始まる。だから、みんなが納得できるポイントを見つけ、その後の信頼関係につながるよう、知識と経験をもっと積んでいきたいと思います」

弓道では、気力・闘志を表に出さず、冷静に正確に、そして果断に弓を射ることが求められるという。南竹は今日も背筋を伸ばして自らのあり方という的と向き合いながら、矢を放とうとしている。

Think Big, Act Honestly

2017年8月6日 朝日新聞「GLOBE」掲載

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