

日本製タイヤの躍進
現在ウクライナでトップの日本ブランド、東洋タイヤの当地における歴史の始まりは、三菱商事と東洋ゴム工業の視察団が訪れ、ウクライナ市場を調査した2002年末にさかのぼります。その結果、ウクライナの工業地帯をベースに全国規模のディーラー網を誇る新興のAutoland社と提携しました。
当時のタイヤ市場は、ミシュランやグッドイヤー、コンチネンタルなど大手の寡占で、“TOYO”ブランドは全くの無名。このため、2003年度の販売目標は、控えめに約2,000本でしたが、Autoland社はこの目標をはるかに上回る6,000本を販売。2006年には、各種自動車関連イベントに参加するなど、Autoland社とTTE社(東洋ゴム/三菱商事のJ/V)一体となった積極的マーケティング活動が功を奏し、売り上げは16万本を突破しました(約1,000万ドル)。
自動車市場のハンドルを握る
2006年、現地ディストリビューターのNIKO社による三菱自動車販売台数は1万4,000台。同社が販売開始した1993年には、ソビエト連邦崩壊に続く不況の中で、わずか120台しか販売できませんでした。
三菱商事本店や独国三菱、キエフ事務所からの支援で、難局を乗り切ったNIKO社は、ついにはトヨタなどのライバルを抑え、輸入車販売で三菱自動車をナンバーワンに押し上げるディストリビューターに成長。すでに3年間トップの座を維持しています。ウクライナでは、2000年に始まった爆発的な経済成長とともに自動車販売台数も増え続けており、2007年、NIKO社は2万5,000台の販売を目指しています。


皆さん、ウラル以西の地図をよーく眺めてみてください。ウクライナが欧州の中心にあり、西はEU、東はロシア、南は黒海を挟んでトルコ、と地政学的に非常にユニークな位置にあることがお分かりいただけると思います。首都キエフは、1,500年を超える歴史を有するきれいな古都(京都と姉妹都市)で、10−11世紀には、東スラブ最初の統一国家“KIEV RUS”(キエフ公国)の都として、欧州で最も栄えた街でした。中世の欧州人はウクライナ産の小麦を食しており、“ヨーロッパのパン籠”と呼ばれていたそうです。1240年のモンゴル帝国の侵入以降、KIEV“RUS”は衰退し、後に北東に建国されたモスコー公国が“RUS”SIAという大帝国に発展しますが、ウクライナはこの“RUS”の源流とも言えるでしょう。
1991年にソ連が崩壊し、念願の独立を果たしましたが、90年代はGDPが半減するほど苦しみました。2000年に入ってからようやくGDPが上昇に転じ、2004年末のオレンジ革命までは、あの中国さえも上回る成長率を記録、無血革命で自由をおう歌する民主国家に生まれ変わりました。2005年こそ、ロシアとのガス紛争などで2.6%と低成長に終わりましたが、昨年は高騰するエネルギー価格下でも7.1%の伸び率を示し、当国の底力を改めて印象付けました。
強みは、農業(肥沃な“黒土”)も、工業(製鉄/重機械/宇宙航空)も、資源(ウラン/鉄鉱石/石炭/マンガン/優秀な人材)も有し、国内に4,700百万人、両隣のEUとロシアに7億人の市場を抱え、黒海からはトルコ、中東、インドをにらむ位置にあることです。今、黒海の大陸棚に眠る石油・ガスの掘削が始まろうとしており、広大な穀倉地帯では“畑の油”バイオエタノールの増産に走り出しているので、エネルギーをロシアに依存せずに済む日も来るでしょう。
三菱商事は、当国で、輸入車販売(三菱自動車)3年連続第1位をはじめ、タイヤ販売は第2位、化学品/非鉄/合金鉄の買い(数千万ドル)、高機能樹脂/繊維の販売(数百万ドル)、製鉄分野での協業(ウクライナ技術購入、共同研究)など活発にビジネスを展開中で、2007年の成約高は5億ドル突破(2001年比50倍)が確実です。


遠く離れた日本ですが、スシ、自動車、家電など、ウクライナでもポピュラーな“メイド・イン・ジャパン”。子育てもその中の一つです。今、規則と罰が中心のソビエト流の厳格な子育てをやめ、子どもの意志や感情を注意深く見守り、穏やかに話して聞かせ、子どもの人格を尊重する“日本流子育て”を行う親が急増しています。この日本の素晴らしい教えを生かし、さらに豊かで幸福な社会を築いていきたいと思います。


日本ブームが始まったのは、ひと昔前。ウクライナでは、日本食から邦画、村上春樹の小説まで、日本文化は幅広く親しまれています。中でも、今脚光を浴びているのが日本語です。日本語を学ぶ人はおよそ2,000人。三菱商事は昨年、日本政府の資金協力を得て、ウクライナ屈指の伝統校キエフ大学に日本語学習ラボを整備しました。もっとたくさんの若者にラボを活用してもらい、ウクライナと日本のかけ橋となるプロフェッショナルに育ってほしいと思います。


国内では珍しく温暖なクリミア半島から山と森が広がるカラパチア地方まで、豊かな自然環境はウクライナの最も貴重な財産の一つ。かけがえのない自然を次の世代へ受け継いでいくことは私たちの使命です。キエフ事務所では、「三綱領」の一つ“所期奉公”(事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する)の精神の下、アスベストの代替品であるPVA(ポリビニルアルコール)繊維など環境に優しい建築資材の供給や、排出量削減プロジェクト、地域の上水道の整備などさまざまな活動を行い、21世紀の企業にふさわしい努力を続けています。
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