植物を密植・混植方式で植林
土地本来の森の主木種群を的確に把握した混植・密植が、強い熱帯林を生み出す
植物は根で勝負し、根は土で勝負する。熱帯林の特性を生かした植栽法を実施
宮脇博士が20年以上にわたって、日本国内で積み上げてきた環境保全林の手法が、熱帯林の再生にどこまで可能か。この命題を実証すべく、1990年に海外で初めて実践されたのがマレーシア熱帯林の再生プロジェクトであった。ここでも残存自然林を手掛かりに、地域固有樹種の幼苗を高密度に植栽していく手法が採用された。だが、一見豊かな大地に見える熱帯林の土壌は、想像以上に貧困だ。また、1年を通して高気温のため落ち葉や折れた枝、小動物の糞などが短期間に分解され、土壌層が浅い。植物は根で勝負する。そこで、十分根群の発達した幼苗を育成する目的で、容器内での育苗植栽からプロジェクトは始まった。
ポット苗を既存林に戻して、約1週間から1カ月の間、自然環境に慣らしておく
生物的な多様性を積極的に回復・創造するために宮脇博士は、地域固有樹種の種子(多くはウィングをもつ)を採取してポット苗を育成。その数、数十万本。多くの時間を費やし、たくさんの人々の手によって集められた種子は、落下後2週間を越えると発芽能力が低下するので、すぐにナーサリー(苗床)に播種する。発芽後2~6葉程度開葉した幼苗を発芽床からポットに移植する。そして根がたっぷりと容器内に充満し、高さ30~50cmになったところで、1m2あたり2~3本の混植・密植を行う。
しかし、育ったポット苗をすぐに植えることはしない。熱帯林では50m以上の大木の1本1本に、1,500本くらいの後継樹の幼木がひしめきあっており、また下から見上げると太陽エネルギーが効率よく利用されているのが分かる。こうした自然環境に苗木を順応させるために、その時の天候や樹木の種類によって、約1週間から1カ月の間、種子を採取した既存林などのそばにポット苗をおいて、自然環境に慣らしていくのだ。






