特集2 三菱商事が進めるサステナビリティへの取り組み
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※「主な取り組み」欄の[ ]内は関連する事業投資先、出資先などを示します。
全社開発部門
2009年度より、「機能」「分野」「地域」「顧客」の4つの開発を全社開発と位置づけました。「分野開発」においては、「新エネルギー」「環境・水」などの中長期的に成長が見込まれ、次世代の柱となる事業に取り組んでいます。

- ○ グリーンITへの取り組み[アイ・ティ・フロンティア、インフォセック、三鷹データセンター ほか]
- ○ バイオペレットへの取り組み[フォレストエナジー日田・門川 ほか]
- ○ 太陽光・太陽熱・風力発電事業
- ○ バイオエタノール・ディーゼルへの取り組み[北海道バイオエタノール ほか]
- ○ リチウムイオン電池の開発・製造・販売事業[リチウムエナジージャパン]
- ○ 排出クレジット創出事業
- ○ 上下水道事業[マニラウォーター、ジャパンウォーター]
- ○ 食品廃棄物によるバイオマス発電事業[バイオエナジー]
- ○ 廃棄プラスチックから物流パレット製造[エム・エム・プラスチック]
世界規模での温室効果ガス排出クレジット創出ビジネス
三菱商事は、早くから排出クレジットに着目し、排出クレジットビジネスに必要となるインフラ整備に取り組んできました。温室効果ガス削減プロジェクトには、事業性調査・提案から、関連手続や承認取得、ファイナンス、プラントの設置、モニタリング、排出クレジット販売とさまざまなステップがあり、当社ではこれらすべてのサービスをワンストップで提供できる体制を整えています。2009年7月現在、当社がかかわる案件は、国連登録済が30件、申請中50件、日本政府承認取得済30件、そのほか検討中のプロジェクトが40件以上と、すでに100件を超えており、世界第3位の排出クレジットデベロッパーとなっています。
循環型社会の実現に向けて
三菱商事の事業投資先のエム・エム・プラスチック(本社:千葉県富津市)は、家庭から出る廃棄プラスチック製容器包装を回収・再資源化し、サンドイッチ成形技術による物流パレットなどを製造しています。廃プラスチックを焼却処理し、新しい材料で製造する場合と比較して、重さ20kgのパレット1枚当たり27kgのCO2削減効果が期待できます。プラスチックのリサイクルを通じ、循環型社会の構築に貢献していきます。
新エネルギーの取り組み
三菱商事は、2009年3月、世界トップの総合新エネルギー事業会社であるアクシオナ社(本社:スペイン)が開発した太陽光発電事業に参画しました。第1号案件として、ポルトガルのモーラ地区において、太陽光発電では世界最大規模となる45.8メガワットの発電を行います。
また、当社の出資先である北海道バイオエタノール(本社:北海道札幌市)では、規格外小麦と余剰テンサイを原料としてバイオエタノールを生産しています。2009年3月、同社の生産工場が稼働を開始しました。
当社の事業投資先であるフォレストエナジー日田(本社:大分県日田市)、フォレストエナジー門川(本社:宮崎県東臼杵郡)は、余剰化した樹皮(バーク)を主原料に、石炭の代替燃料となるバイオ(木質)ペレットを製造しています。
新産業金融事業グループ
アセットマネジメント、バイアウト投資などの投資金融、リース、不動産ファンドなどの産業金融、不動産の開発・保有・運営、物流・保険などの分野において商社型産業金融ビジネスを展開しています。

- ○ 排出クレジットによるCO2オフセットリース[三菱UFJリース、三菱オートリース]
- ○ 自然エネルギーで動く設備リース[三菱UFJリース]
- ○ ESCO 事業[日本ファシリティ・ソリューション、三菱UFJリース、省電舎]
- ○ 施設コンバージョンへの取り組み
- ○ 環境面と積載効率を追求したK2(軽い・重なる)パレットの販売[三菱商事ロジスティクス]
- ○ ラック・パレットのリターナブル運用[三菱商事ロジスティクス]
- ○ コンピュータ・OA機器のリユース・リサイクル[三菱UFJリース]
- ○ 排ガス規制対応ディーゼルエンジンの搭載[三菱鉱石輸送]
オフィスや病院などさまざまな施設の省エネを実現
三菱商事の事業投資先の日本ファシリティ・ソリューション(本社:東京都新宿区)は、高効率設備の導入や改善、制御により、オフィスや病院、商業施設、工場などの省エネやCO2削減を実現し、エネルギーコストの削減に貢献するESCO(Energy Service Company)事業を展開しています。東京都立広尾病院や東京都立墨東病院、調布市庁舎など日本各地において約80件の案件を手掛けています。
エネルギー事業グループ
石油・ガスのプロジェクト開発および投資を行うほか、原油、石油製品、LPG、LNG、炭素製品などの取引業務を行っています。

- ○ バイオマス燃料への取り組み
- ○ 石油精製会社排出の使用済触媒を主原料としたレアメタル回収による合金鉄製造事業[メタルテクノロジー]
- ○ 省エネ機器普及促進、LNG 販売、燃料電池や水素利用の研究・開発など[アストモスエネルギー]
- ○ ブルネイにおける太陽光発電実証プロジェクトへの取り組み
ブルネイにおける太陽光発電実証プロジェクト
三菱商事は、1972年にブルネイ液化天然ガスプロジェクトに参画し、以来、日本へのエネルギーの安定供給に努めてきました。ブルネイ国とのさらなる関係強化を目指し、当社の資金拠出による太陽光発電実証プロジェクトの実施を決定、2008年8月、ブルネイ政府との間で覚書を締結しました。
本実証プロジェクトは、東南アジア地域で最大となる定格出力1.2メガワットの太陽光発電設備を設置し、運転開始から3年にわたり、同国政府と共同で実証研究・運用評価を行うものです。得られたデータやノウハウは、同国の人材育成を含めた太陽光発電の普及・実用化に大いに役立つと考えられ、当社は2010年の運転開始に向け、全力で取り組んでいます。
金属グループ
薄板、厚板などの鉄鋼製品、石炭、鉄鉱石などの鉄鋼原料、銅、アルミなどの非鉄金属原料・製品の分野において、販売取引、事業開発、投資などを行っています。

- ○ クリーンコールパワー研究所(国内電力会社10社が株主)への石炭供給
- ○ アルミ再生塊ビジネス[日軽エムシーアルミ]
- ○ 白金族(PGM)リサイクル
- ○ 金属スクラップの取り扱い[メタルワン ほか]
- ○ 金属・自動車・家電品のリサイクル・廃棄物処理事業[メタルワン]
- ○ 採掘跡地の自然環境修復[Mitsubishi Development Pty Ltd ほか]
世界最大級の原料炭炭鉱における採掘跡地の自然環境修復
三菱商事の事業投資先であるMitsubishi DevelopmentPty Ltd(MDP、本社:豪州シドニー)を通じて50%の権益を保有するBMA炭鉱※1は、年間5,000万トンの高品質な原料炭※2を生産しています。露天掘りによる操業を行っている当炭鉱では、石炭の採掘のために表土をはがして別の場所に保存、採掘後にその表土を埋め戻し、採炭前に保存しておいた草木や周辺で採取した種子を使って植栽をする「リハビリテーション」(自然環境の修復)を行っています。修復後も定期的にモニタリングして、草木がしっかり根付いているか、生物が戻ってきているかをチェックしています。また、同炭鉱では徹底的な水質管理や作業員の安全面に十分に配慮した操業体制を構築し、近隣地域のインフラ整備や文化財の保護、大学への寄附講座など、地域社会への貢献にも積極的に取り組んでいます。
今後もHSEC※3への取り組みを経営の最重要事項として、環境や社会、安全衛生に対する取り組みを引き続き進めていきます。
- ※1 MDPとBHPビリトンがそれぞれ50%を出資する石炭合弁事業体
- ※2 製鉄の際に鉄鉱石と一緒に高炉に投入して、還元剤として使われるコークスのもととなる石炭
- ※3 Health, Safety, Environment, Community
機械グループ
電力・ガス・石油・化学・製鉄などの主要産業素材の製造にかかわる大型プラントから、船舶・鉄道・自動車などの物流・輸送機器、宇宙・防衛産業向けの機器、建設機械・工作機械・農業機械などの一般産業用機器まで、幅広い分野の機械の販売取引、事業開発、投資などを行っています。

- ○ クリーンコール技術(IGCC= 石炭ガス化複合発電、CCS=CO2回収・貯留)への取り組み
- ○ 木質系バイオマスによる発電事業[神之池バイオエネルギー]
- ○ バイオエタノールへの取り組み[北海道バイオエタノール]
- ○ 風力ファンドへの取り組み[グリーンパワーインベストメント]
- ○ NAS電池(ナトリウムと硫黄で構成される長寿命・大容量の電池)への取り組み
- ○ エコドライブ推進につながる車両管理システムの開発[ジクー・データシステムズ]
- ○ 電気自動車普及に関する取り組み[三菱自動車(i-MiEV)]
- ○ 製鉄所への省エネ支援
- ○ 鉄道事業への取り組み
- ○ 海水淡水化プラントの取り扱い
- ○ 廃水処理・排煙脱硫・脱硝装置の取り扱い
CO2回収機能を備えた発電設備建設豪州のクリーンコール事業に参画
三菱商事は三菱重工業と共同で、オーストラリアのゼロジェン社が開発主導する環境配慮型発電事業に参画し、その一環としてフィージビリティ・スタディ(実現可能性調査)を受注しました。環境負荷が低く発電効率の高い石炭ガス化複合発電(IGCC)と呼ばれる方式に、CO2の回収・貯留(CCS)機能を組み合わせることで、CO2の排出量を従来の石炭火力発電より大幅に削減できる見通しです。CCS機能を備えた商業規模のIGCC発電所は世界初の試みで、2015年の運転開始を目指します。
電気自動車の普及に向けて
三菱商事では、三菱自動車が開発する新世代電気自動車「i-MiEV(アイ・ミーブ)」(2009年7月販売開始)に搭載するリチウムイオンバッテリーの開発・生産を行う「リチウムエナジージャパン」に出資しています。
また、当社では国内では地方自治体や取引先、関連企業と連携し、電気自動車(EV)の普及に欠かせない充電インフラ整備に積極的に取り組み、EVの使用環境を整備しています。加えて、海外ではEVの普及が各国の環境対策に大きく貢献することをアピールして、欧州を中心とする各国政府、自治体に対し、各種助成制度の拡充を働きかけています。
化学品グループ
石油化学品、オレフィン・アロマ、メタノール、アンモニア、クロールアルカリ、肥料、無機原料などの汎用化学品や、合成樹脂、機能材料、電子材料、食品素材、医農薬などの機能化学品分野において、取引業務および投資などを行っています。

- ○ CO2ポリマーへの取り組み
- ○ EDC(土壌・地下水汚染改良剤)の取り扱い
- ○ 生分解性プラスチックの取り扱い
- ○ 環境保全用触媒への取り組み
- ○ 純水製造・海水淡水化・再生水などの水処理膜への取り組み
- ○ 環境対応型塗料用原材料への取り組み[三菱商事ケミカル]
- ○ 太陽光発電関連資材への取り組み[三菱商事プラスチック]
- ○ プラスチックのリサイクルシステムへの取り組み[三菱商事プラスチック]
- ○ 遮熱塗料・省エネOAロールなど環境配慮型商品の取り扱い[MC山三ポリマーズ]
CO2を原料とするプラスチックの開発
三菱商事は、帝人、住友精化、住友化学と東京大学などとの産学連携により、原料の約半分にCO2を使用したプラスチックの開発に2007年より取り組んでいます。このプラスチックは、従来の石油由来のプラスチックと比べ、LCA※4でみるとCO2排出量を約30%減らせることが特長です。早ければ2012年度にも実用化される見通しで、太陽電池パネルの部材など、幅広い用途で活用が期待されています。当社は販路開拓の役割を担う予定です。
※4 Life Cycle Assessment= 製造、輸送、販売から使用、廃棄、そして再利用までの各段階での資源の消費、排出量を計量して、製品やサービスの環境影響を評価する手法
化学物質の安全性情報収集「Japanチャレンジ」の取り組みに協力
「Japanチャレンジプログラム」は、厚生労働省、経済産業省、環境省と産業界が2005年から共同で取り組んでいる「官民連携既存化学物質安全性情報収集・発信プログラム」です。さまざまな化学品の輸入を行う三菱商事は、プログラムの開始当初からスポンサーとして積極的に参加。関係各社と共にコンソーシアムを形成してデータを収集し、これまでにソルビトール、キシロース、マルチトール、シュウ酸(二水和物)の4つの化学物質について「安全性情報収集報告書」を国に提出しています。
これらのデータは、化学物質の安全性情報として国を通じて広く発信され、社会に提供されることとなります。
生活産業グループ
衣食住の分野を主体に、医療分野やメディアの活用も含めて、原料調達から消費市場に至るまでの幅広い領域で、食料品、衣料品、紙・包装材、セメント・建材、医療材料などの商品を取り扱い、さまざまなサービスを提供しています。

- ○ 代替フロン・自然冷媒への変更[東洋冷蔵]
- ○ 海外植林事業
- ○ 省燃費タイヤの国内販売協力
- ○ 排水処理システム(中空糸膜)への取り組み
- ○ レジ袋削減・簡易包装、トレイやカップのリユース・リサイクル[ローソン、ライフコーポレーション、日本ケンタッキー・フライド・チキン]
- ○ 食品・食物残渣リサイクル[ローソン、日本ケンタッキー・フライド・チキン、東洋冷蔵、米久、サンエス]
- ○ 福祉用具リユース・寄贈[日本ケアサプライ]
- ○ 使用済みユニフォームの回収、リサイクルインフラの構築
- ○ 使用済み綿製品のエタノール化パイロット事業
- ○ パルプ事業における持続可能な森林管理[アルパック フォレスト プロダクツ]
- ○ ISSF(ツナ缶詰業者、科学者、及び環境NGOによる水産資源持続に関する科学的調査を支援する業界団体)への参加[Princes]
- ○ 水産資源管理・保全(大西洋クロマグロほか)
- ○ Rainforest Alliance認証コーヒーの取り扱い
- ○ FSC森林認証を保持
全社での取り組み
コーポレートスタッフ部門が中心となり、組織横断型で全社が一体となって、オフィスビルの環境配慮をはじめとする環境マネジメントシステムの活動、世界各地で継続して取り組む社会貢献活動などを積極的に進めています。
本店ビルに太陽光発電設備を導入


三菱商事では、本店(三菱商事ビル)屋上に、主要取引先である三菱電機製の太陽光発電設備を設置し、2008年12月に稼働を開始しました。年間発電量は約1万kW時となっています。また、これは当社が太陽光発電設備設置までを手掛けた最初の事例となり、2009年5月より業務を開始した丸の内パークビルにも太陽光発電システムを設置しました。
廃棄物処理の取り組みで、優秀賞を受賞


2009年2月、本店オフィス(三菱商事ビル)が、廃棄物処理に関する取り組みで、本店所在地のある東京都千代田区より、優秀賞を受賞しました。これは、廃棄物減量についての模範となる建物を区内の86カ所から選び、表彰したものです。三菱商事を含む同ビル内のすべての事務所・店舗で、再生処理を100%行うゼロエミッションに取り組んでいます。今後もさらにリフューズ、リデュース、リユース、リサイクルを推進し、身近なところから環境への意識を高めていくことを目指していきます。
熱帯林再生実験プロジェクト(マレーシア、ブラジル、ケニア)
種の宝庫といわれる熱帯林の減少は、深刻な地球環境問題の一つです。このプロジェクトでは、現地固有の樹種を密植・混植方式で植林することで、自然再生では300~500年かかる熱帯林の再生を、40~50年で自然林に近い生態系を蘇らせることを目的としています。三菱商事では、このプロジェクトを1990年のマレーシアを皮切りに、ブラジル、ケニアで展開しています。
サンゴ礁保全プロジェクト(沖縄、ミッドウェイ、セーシェル)
産・学・民が一体となったこのプロジェクトでは、さまざまな角度からサンゴ礁保全のための調査・研究を行い、サンゴ礁危機の原因究明と回復技術の確立・普及を目指し、沖縄、米国ミッドウェイ環礁国立自然保護区およびセーシェル共和国で研究活動を行っています。沖縄での研究への継続的な支援が評価され、2008年度に日本政府より紺綬褒章をいただきました。
三菱商事 千年の森(高知)
高知県が推進する「環境先進企業との協働の森づくり事業」に賛同した三菱商事は、2009年2月、三菱グループの創業者・岩崎彌太郎が生まれ育った高知県安芸市において、県と市、および地元森林組合と森林保全パートナーズ協定を結び、森づくり事業を開始しました。地域の環境保全に貢献することを目的に、同市の山林を社有林として保有するほか、市有林の一部を含めた212haを「三菱商事 千年の森(通称:彌太郎の森)」と名付け、将来にわたって間伐などの森林整備や地域住民や社員への環境教育の場として活用していきます。





