減損テストに用いた回収可能価額は、将来キャッシュ・フローの割引現在価値を基に使用価値に基づいて見積られており、同社宛ての投資において認識した個別資産及び投資の帳簿価額と回収可能価額の差額を、それぞれ損失として認識しています。 アングロ・アメリカン・スール社 2022年度において、連結会社は、20.4%出資するチリ国銅資源権益保有会社アングロ・アメリカン・スール社(Anglo American Sur S.A. 、本社:チリ国サンチャゴ、以下「アングロスール社」)宛ての投資について、事業計画の見直しに伴い鉱山の開発スケジュールの遅延が判明したことなどを背景に、37,095百万円の減損損失を「持分法による投資損益」を通じて計上しています。これらの損失は、金属資源セグメントの連結純利益に含まれています。この結果、2022年度末のアングロスール社宛て投資の帳簿価格は144,863百万円となっています。 銅は、将来の脱炭素社会への移行に不可欠な資源であり、今後需要の拡大が期待される一方、供給は主に既存鉱山の生産量減少や、開発案件における開発難度の上昇及び操業中案件の品位低下等に起因し供給制約が高まる状況にあり、中長期的な需給はタイト化が見込まれます。 アングロスール社が保有する銅鉱山についても、将来的な銅資源量のポテンシャルは依然として高いと判断しているものの、2022年5月に開発に必要な環境許認可の申請が却下されたことを受け、事業計画への影響につき精査を行いました。その結果、一部の生産鉱区と未開発鉱区における開発スケジュールが遅延する見込であること、環境対策などのために経済性確保の観点で未開発鉱区の開発難度が従来の想定より高まっていることなどが判明したため、同社保有の銅鉱山について評価前提を見直し、減損を認識しています。 なお、環境許認可については、2022年6月に再審査をチリ国環境評価局(SEA)に要求しており、2023年4月に申請内容につき承認されました。減損損失の測定にあたっては当該申請内容を前提とした計画を使用しています。 (2)持分法で会計処理される投資の損失及び同社宛て貸付金等に対する引当金計上 2022年度において、当社は、20%出資する自動車製造販売事業会社GAC MITSUBISHI MOTORS(GMMC社)宛ての投資について、中国市場での競争が激化する中、販売計画未達が継続しており、収益性が低下する見込みとなったことなどを背景として、18,555百万円の持分損失を「持分法による投資損益」として計上しています。この金額には、同社に30%出資する三菱自動車工業で生じた関連損失に対する連結会社の持分相当額も含まれています。また、同社宛て貸付金及び未実行のローンコミットメントに対する引当金計上に伴う損失7,674百万円を「販売費及び一般管理費」、対応する税効果1,919百万円(益)を「法人所得税」として計上しています。これらの損失は、自動車・モビリティセグメントの連結純利益に含まれています。 (3)不利な契約に係る引当金計上 2022年度において、連結会社は、LNG販売事業における一部の契約において、調達コスト等の見直しを行ったことを背景として、IAS第37号に規定される不利な契約に係る引当金計上に伴う損失14,337百万円を「原価」として計上しています。これらの損失は、天然ガスセグメントの連結純利益に含まれています。IAS第37号に規定される不利な契約については、注記「1 連結計算書類の作成の基礎(2)新たに適用している主な基準書及び解釈指針」をご参照ください。 30
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