12 「挑戦が社員の成長を生み出し、それが会社の力になる」。こう語るのは、DREAM代表取締役社長の辻 貴史。ただ、2012年に社長に就任した時は、全く別の考えだったと明かします。辻の念頭にあったのは、歴代社長の路線を踏襲すること。好調な業績を維持するためには、既存の戦略に沿ったかじ取りが最善だと考えていたからです。 しかし、社員の思いは違いました。「辻さんがトップになり、会社がどんなふうに変わるのかワクワクしていたのに」。親睦会の席での若手社員の何気ないひと言が、胸に刺さりました。会社をさらなる成長軌道に乗せるための新社長のチャレンジに、多くの社員が期待を寄せていたのです。 「社長就任当初の考えは、自信がないことの裏返しだったかもしれない」。自分が社長に就いた意味は何なのか、辻は改めて自らに問い掛けました。その時思い出したのは、物流ビジネスに打ち込んできたこれまでのキャリアでした。 三菱商事入社後、「物流業界に革命を起こすような仕事がしたい」という夢を抱き、米国で培った物流オペレーションやベンチャー投資ビジネスの経験をダイヤモンド・リアルティ・マネジメント(DREAM)代表取締役社長 辻 貴史つじ たか し 胸に刺さった社員のひと言 三菱商事の経営人材常に挑戦する姿勢を忘れない三菱商事グループの企業価値向上を支える、経営者の奮闘ぶりを紹介します。
元のページ ../index.html#12