17ていきます。資材在庫をよく調べ、ニーズに見合う商品を目利きするなど、多くの社員が農家への提案力を磨いていきました。社員はもちろん、業界慣習を変えたくないサプライヤーにも「必要な時に必要な分だけ随時仕入れる」ことが長期的メリットになることを粘り強く伝え、次第に理解を得た結果、在庫一掃に成功したのでした。 「国の違い、世代の違い、産業の違いなど、違いはいくらでも存在する。しかし、“違い”を理由に諦めるのではなく、相手を理解し、公明正大に議論する空気をつくってゴールを共有し、そこに向かってまい進することで“違い”は乗り越えられる」と語る川俣。過剰在庫により経営破綻や支払いが滞サイロの前で出荷状況を社員と話し合う川俣1994年設立。アジアを中心とした穀物需要に対応するため、2012年に三菱商事が経営参画し、翌年子会社化。ブラジル北部で農業資材(種子、肥料、農薬など)の販売事業及び大豆やトウモロコシなど穀物の集荷販売・輸出事業を展開しています。る同業がいる中、Agrex do Brasilは途切れることなく取引を続けたことで、「信じてよかった」と言葉を掛けてくれたサプライヤーも多く、最終的には彼らとの信頼はより強固なものとなりました。また、社員たちも自信を深め、今では既成概念にとらわれないチャレンジにやりがいを感じるようになってきています。 「当時議論を交わした社員たちが、今では会社の方針を理解し、伝道師的な役割を果たしてくれている。それが会社風土・文化の改善につながっていることが何よりもうれしい」と川俣は確かな手応えを感じています。「これからも環境変化はあると思う。それに対し、社員一人ひとりが自分で考え、話し合い、能動的に会社を変革していく組織にしたい」。川俣は社員たちと共に業界に新風を吹き込むべく挑戦を続けていきます。いを乗り越え一丸となる
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