三菱商事株主通信 - 2019年11月 No.49
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「成長芽」のから「収益柱」のへ時代と共に変化する事業の形三菱商事は社会情勢や顧客ニーズの変化を捉え、事業モデルを変化させてきました。初めは売りと買いをつなぐ「仲介役」。その後マイノリティー出資を経て、「事業経営モデル」へと業態転換を図り、事業を拡大してきました。現在、「収益の柱」となっている事業も、事業開始当初は「成長の芽」であり、その後の業態変遷を通じて現在の事業規模に至っています。三菱商事には、「収益の柱」の他に130超の「成長の芽」と位置付ける事業があり、今後も、「総合力」「構想力」「実行力」でこの「成長の芽」を発掘し、「成長の柱」、「収益の柱」へと事業価値を向上させる循環型の成長モデルを構築していきます。今回は、三菱商事が「成長の芽」を発掘し、「収益の柱」へと発展させてきた事業の例をご紹介します。PART 11212南米の優良銅鉱山への経営に参画 経済発展のプロセスで、道路や鉄道などインフラの屋台骨を支えるのが「鉄」とすれば、「銅」は電力や通信、情報ネットワークを張り巡らすための血管の役割を果たす素材といえます。三菱商事の銅事業は日本の高度経済成長を支えるための輸入(トレーディング)から始まりました。地球上に遍在している銅の中でも、三菱商事は南米太平洋岸の「カッパーベルト」に着目。1980年代にはチリやペルーの銅鉱山にマイノリティー出資し、銅引き取りを通じた安定的な資源確保に加え、銅鉱山事業の知見を蓄えてきました。 その後新興国での需要増を背景に、積み重ねてきた銅事業への知見を活かして、2011年にチリのアングロ・アメリカン・スール社(AAS)の権益を取得。事業経営へとビジネスモデルを変革させました。そして翌年には世界最大級の未開発銅鉱山であり、高いコスト競争力が見込まれるペルーのケジャベコ銅鉱山の権益18.1%を取得、2018年にこれを40%まで引き上げ、開発に着手しました。新興国でのインフラ整備、建設需要増に加え、主に欧州・中国でのEV普及等により今後も需要増が見込まれる銅事業を原料炭事業と共に金属資源事業の中核と位置付け、主体的に事業経営に関わるため、経営の中枢に人員を派遣して、事業価値向上に注力しています。特集~トレーディングから川上へ。主体的に価値向上へ取り組む銅事業

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