三菱商事株主通信 - 2019年11月 No.49
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4,5003,5002,5001,500500(千トン) 19851990輸出入日本市場をベースとしたポートフォリオ投資2011年 サザン・クロス・シーフード社を設立2012年 サルモネス・フンボルト社を買収2014年 セルマック社を買収通じ、加工業を組み合わせた業態に転換。主にチリで養殖された鮭鱒をタイへ輸送し、国や市場のニーズに合わせて切り分け、日本などの消費国へ販売するサプライチェーンを構築。安定的な成長を続けました。 2000年代後半になると、新興国の経済成長等により水産物需要が増加、市場価格は長期的な上昇基調に転じました。「獲る漁業」から「育てる漁業」がますます重視される中、特に環境負荷の低い養殖鮭鱒の優位性に着目していた三菱商事は、この機を逃さずに鮭鱒養殖事業に参入。2014年には世界有数の生産量を誇るセルマック社を完全子会社化し、三菱商事グループが手掛ける養殖鮭鱒生産量は世界第2位(当時)となりました。また、ノルウェー、カナダ、チリの三大生産拠点から世界の2010出典:「水産物パワーデータブック2018年度版」1990年以前天然魚主体天然から養殖へトレーディング缶詰・加工品の養殖鮭鱒時代の到来1990〜2010年事業投資天然・養殖鮭鱒の生産量グローバル需要拡大養殖鮭鱒のグローバル化事業経営生産・販売のグローバル展開養 殖天 然2010年〜PART 2鮭鱒事業14■ 事業モデルの変遷ニーズの変化を捉えた業態転換 三菱商事グループが伝統的に強みを持つ分野の一つが「水産物」です。1950年代、商社の中でいち早く紅鮭缶詰の英国向け輸出を開始した三菱商事は、その後欧米向け鮭・カニの缶詰輸出を軌道に乗せ、日本の輸出シェア40%を獲得するまでに成長します。また、日本の食生活の変化に合わせ、鮭の切り身やスモークサーモンなどの輸入を開始し、順調に拡大を続けました。 しかし2000年代に入り、天然魚の漁獲量が伸び悩む一方で、養殖魚の生産量が急増し、市場価格が下落する事態に。従来のトレーディングによる利益追求は難しく、輸入・販売中心の鮭鱒事業は曲がり角を迎えます。この変化を予見していた三菱商事は、サプライチェーンの利益の源泉を加工事業に見いだし、タイの水産加工会社への出資を~グローバルな需要拡大への次の一手は養殖事業

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