三菱商事株主通信 - 2020年11月 No.51
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DXによる食品流通の変革食品メーカー機会ロスを回避するため生産量配送時間AI・あらゆる商流データを一つのシステムで分析現在供給網全体で無駄な在庫が積み上がっている三菱商事の狙い商流全体からデータ収集 かねてより三菱商事は食品流通事業において、これまでプラットフォーム構築のための「自己変革」と「デジタルテクノロジー」の準備を進めてきました。産業DXタスクフォースの立ち上げを契機として、さらに経営資源を投入して「オープン化」ステージも含めた、真の産業DXを目指しています。 具体的にはMCデジタル(三菱商事100%出資)が開発したアルゴリズムで受発注業務を最適化した場合、どれだけ在庫や物流コストが減らせるかを試算。既に相当な削減が可能だと見込まれています。これをNTTグループの持つインフラや技術知見と掛け合わせ、順次中間流通、食品メーカー、小売業等に幅広く展開し、最終的に新たなプラットフォームの構築を目指しています。物流コストのロス過剰生産・過剰在庫も欠品も出さない生産量と仕入れ量の予測・業界全体の無駄をなくし、食品ロス等の社会的課題を解決・企業グループの枠を超えた共同配送にも活用将来システムの外販小売からの注文を多めに見込んで仕入れ販売数量を多めに見込んだ仕入れく。一方、自ら戦う競争分野を特定し、そこに経営資源を集中的に投下していくという姿勢をひしひしと感じますし、私たちもそのプラットフォームの構築に一緒になって取り組んでいきたいですね。中西 電力会社は特定地域に圧倒的シェアを持ち、地域との信頼性もある一方で、この強みを当事者は気付きにくい。潜在ニーズをつなぎ、私たちが一緒になって、異業種を含めたパートナー戦略で次のビジネスを創出できたらと考えています。全産業を俯瞰し、業界との接地面が多い三菱商事グループだからこそ、業界の課題解決に役立つことができるはずです。京谷 携帯電話契約を持つ通信企業や電力、水道といった、消費者の大きな塊に接点を持つ企業と、Win-Winの関係をつくりながら、新たなビジネスを創出していくことが、今後のプラットフォーム構築の一つのきっかけになっていくとみています。中西 各世帯とつながる電力をきっかけに、今や社会インフラであるコンビニやスーパーなどと連携した事業が構想できれば、三菱商事グループの強みがまさに発揮できると考えています。電力分野のDX構想では、電力会社が持つ、地域の顧客基盤を活かした新たなサービスを提供することで、生活者・社会・産業への新たな価値の提供を目指しています。京谷 食品流通分野では、産業DXを進める一方、HERE(8~11ページ参照)を活用したユースケースの開発に全力で取り組んでいます。電力分野のDXと食品流通分野のDXの連携によって、大きなシナジーが生まれると確信していますし、そこにヘルスケア分野を掛け合わせていくと、さらに地場に密着したプラットフォームが形成できるのではないか、と期待しています。 産業DXタスクフォースのミッションは、「構想」にとどまらない産業DXの「実行」と「成功」です。「成功」とはまさに経済価値・社会価値・環境価値の三価値同時実現であり、中でも「稼ぐ」という経済価値が実現できない限りは持続できません。それを自らにも言い聞かせながら、デジタル技術を活用した産業レベルの変革、社会課題の解決を目指していきたいと思います。特集1食品卸小売出荷量販売量三菱商事のDX13食品流通DXの構想新たな価値の提供と、社会課題の解決に向けて

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