三菱商事株主通信 - 2020年11月 No.51
4/24

 2016年の社長就任以来、外部環境の変化に合わせて事業ポートフォリオの入れ替えを進め、4年間で総額約2兆円の資産売却・回収を行いました。『中期経営戦略2021』を通じ構築してきた当社の事業ポートフォリオは、今期こそコロナ禍の影響を受けていますが、当社の持続的な成長につながっていくと確信しています。引き続き「川下」領域や「サービス」分野に注力し、事業系・市況系のバランスが取れた収益構造を実現していきます。 当社は、中長期で取り組むべき戦略として、「産業構造を変革するDX」及び「低・脱炭素社会へ移行する中でエネルギー分野から産業全体を変革するEX(Energy Transformation)」に挑戦しています。いずれも、当社が長期間にわたってさまざまな業界に関わってきたことによる総合力と、実行力、構想力を最大限活用できる分野です。 DXについて、世界は、いわゆるデジタル化、人口知能(AI)などに象徴される、第4次産業革命の真っ只中にあります。当社の強みである産業知見と、昨年12月に業務提携したNTTのデジタル知見とを融合させ、DXを通じた産業界全体の変革に取り組んでいきます。まずは食品流通の分野において、AIを活用した需要・在庫予測の高度化で物流効率を改善し、年間約1兆円規模ともいわれる食品ロス問題の解決につなげていきます。また、NTTと共同出資したオランダの位置情報サービス大手のHERE Technologiesも活用しながら、プラントや鉱山等の操業、スマートシティの開発・運営など、幅広い分野で取組を加速していきます。 EXについては、今年3月に買収したオランダの総合エネルギー会社Enecoが、8月に大手メジャーと共同で洋上風力案件を落札するなど、再生可能エネルギーの事業基盤を着実に拡張しています。その一方で、日本のエネルギー供給を長年担ってきた当社として、低・脱炭素社会への移行に現実解を提供することも重大な責務と考えています。再生可能エネルギー事業との両輪で、火力発電の低炭素化などに全社横断で取り組んでまいります。 時代の変化を捉えたDXやEXといった取組を通じ、引き続き経済価値・社会価値・環境価値の三価値同時実現を目指してまいります。 今後とも、皆様のご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。4中長期的な持続的成長を目指して

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る