三菱商事株主通信 - 2020年11月 No.51
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各産業でDXの重要性が認識される中、そのソリューション開発において重要な役割を果たすのが、ヒト・モノがどこにあり、どう動くのかを示す位置情報です。三菱商事が2020年5月に資本参画したHERE Technologies(HERE)は、位置情報サービスの第一人者であり、多業種連携で非自動車領域のプラットフォームビジネス拡充を目指しています。Amazon貨物追跡 × ルート探索HEREの位置情報とルート探索機能を活用し、Amazonで購入した商品が顧客へ届くまでの正確な追跡が可能に。Amazonのシステムと連動することで、配送中の商品の位置や商品到着時間の事前通知を行います。10軒前に通知が来るため、配送に合わせて自宅に戻ったり、不審者の訪問と区別したりできます。Jarek Kilian / Shutterstock.comハンブルク交通状況 × AI交通流量予測HEREはドイツのハンブルク市とパートナーシップを結び、同都市の交通改善をサポートしています。ハンブルク市から提供された交通関連のデータとHEREのAI交通流量予測技術を組み合わせることで、道路工事に伴う渋滞の正確な予測や、道路計画変更による交通流量シミュレーションが可能になりました。アムステルダム・スキポール空港屋内地図 × 携帯電話位置情報オランダの玄関口となる同空港では、空港アプリと連携したゲートまでの歩行時間計算に加え、レストランやショップへの誘客などをスムーズに実施。乗客の空港滞在を快適にするHEREの技術は、他にも緊急事態が発生した際には警備員が駆け付けるためのルートの探索や、空港内の人流管理にも活用されています。9非自動車領域におけるHERE導入実績搭載車1億5,000万台超 1985年に米国シリコンバレーで創業したHERE。北米と西欧で販売されるカーナビ搭載車の5台に4台が同社のデジタルマップを採用している他、近年は運送・物流、都市交通、マーケティング等、位置情報サービスでヒト・モノの移動に関する事業を幅広く展開する、世界的リーディングカンパニーです。 2020年5月、三菱商事は日本電信電話(NTT)と共同で設置した在蘭持株会社(出資比率50%:50%)を通じ、HEREの株式30%を取得しました。目指すのはHEREが提供する最先端の位置情報サービスと、三菱商事の多様な産業知見を掛け合わせたDXの推進です。要求されるのは、誤差10㎝未満の正確性 HEREの位置情報サービスの特徴は、世界最大規模の位置情報データベース。次世代通信規格5G網の拡大に伴い急速な発展・普及が予想される自動運転の領域では、誤差10㎝未満の非常に高い正確性が求められる他、渋滞等の交通状況や障害物、信号、歩行者の情報など刻一刻と変化する「動的」な情報をリアルタイムに取得する必要があります。HEREはこうした高度な位置情報の提供を強みとし、大手自動車メーカー各社と連携して自動運転向け位置情報システムの構築に必要なデータの収集・統合・分析を主導しています。

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