るリスク/機会。*2 自然災害の激甚化や気温・降水変化等、気候変動が進んだ場合に企業が直面するリスク。(1)移行リスク・機会及び物理的リスクの分析、開示 当社は、気候変動が重大なリスクをもたらすものである一方で、イノベーションや新規事業の実現を通じ新たな事業機会をもたらすものであるとの認識の下、当社が事業活動を通じて解決していく重要な社会課題であるマテリアリティの一つに「脱炭素社会への貢献」を掲げ、持続可能な成長を目指す上での対処・挑戦すべき重要な経営課題の一つとしています。また、ポートフォリオの脱炭素化と強靭化の両立に向けて、各事業についての気候変動のリスク・機会を適切に把握し、それらを踏まえた事業戦略を策定することが重要であると考えています。 その観点から、2019年度より気候シナリオを用いたシナリオ分析を実施しています。具体的な取り組み内容は以下のとおりです。• 移行リスク・機会を把握・管理するため、「天然ガス/LNG」「原料炭」「再生可能エネルギー」の3事業を対象に、2050年ネットゼロ実現を前提とした1.5℃シナリオ分析を実施し、各事業に対する影響及びそれを踏まえた事業方針・取組み等を開示しています。• 物理的リスクを把握・管理するため、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が定める最も温暖化が進むシナリオ(RCP8.5シナリオ)等を用いてポートフォリオを分析し、物理的リスクの影響を受ける可能性が高いと判断された資産において現状の対策及び今後の対応方針を開示しています。 また、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)及びその本邦における基準であるサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の開示基準に沿った開示を行うべく準備を進めています。当該開示においては、既に開示済みの上記分析も含め、気候変動リスクの財務的影響についての開示を一層拡充していく予定です。 定款は会社法に従って会社を運営する上での基本的な事項を定めるものであり、各種リスクに起因する財務的影響の見通しや、これが将来における資本支出に影響を及ぼす度合いに係る定量的評価の開示といった個別具体的な事項を規定することは、経営環境の変化に応じた機動的かつ迅速な業務執行や方針の策定・変更の重大な支障となり、当社の企業価値の毀損につながるおそれがあるため、適切ではありません。(2)当社業務執行に対する制約以上の理由から、当社は本議案に反対いたします。当社取締役会の意見37 本議案に反対いたします。 当社は、以下(1)に記載のとおり、本株主提案で求められている気候変動に関する移行リスク・機会*1及び物理的リスク*2に起因する財務的影響の見通し及びこれらの影響の度合いについては、遅くともサステナビリティ基準委員会(SSBJ)の開示基準の適用開始時期までに開示を行うべく、既に準備を進めています。それに先立ち、上記リスク・機会に関するシナリオ分析も実施し、その詳細内容を開示しています。加えて、以下(2)に記載の当社業務執行に対する制約に鑑みると、本議案の内容を定款に規定するべきではないと考えています。*1 気候変動対策が進み、世界の平均気温の上昇幅が産業革命以前に比べて2℃又は1.5℃以内に抑えられる世界に移行した場合に企業が直面す
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