(1)ロシア・ウクライナ情勢の影響 ロシア・ウクライナ情勢の経済環境に与える影響は、公的機関等が発行する経済見通しなどのとおり、情勢の緊迫化や各国のロシアに対する金融・経済制裁の継続や拡大、それに対するロシアによる国際送金規制や輸出規制などの対抗措置により、物品の供給制約、エネルギー価格の高騰に起因したインフレなどを介して経済成長見通しの下方圧力となることが想定されます。 このような環境下、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、業種や地域によって直接・間接の影響も異なりますが、2025年度も継続し、金融・経済制裁の解除、国際送金規制・供給不足の解消や貿易・サプライチェーンの正常化には時間を要する前提としています。 連結会社のロシアにおける主たる事業は、モビリティセグメントにおける販売金融事業、及び地球環境エネルギーセグメントにおけるLNG関連事業への投資です。2024年度末における連結会社のロシアにおける事業に関する資産総額は140,808百万円(内、国際送金規制の対象となる現金及び現金同等物の残高は66,267百万円)です。 (ロシアにおけるLNG関連事業) 連結会社は、ロシアでLNG関連事業を行うSakhalin Energy LLC(以下SELLC)に対して10%持分を有しており、その他の投資(FVTOCIの金融資産)として会計処理を行っています。2024年3月23日付けのロシア政府令(第701号)により、SELLCの全ての出資者が承認されました。会社定款及び出資者間協定書の条件など事業運営に係る詳細については協議が継続されており、当該投資に係る不確実性は依然として継続しています。連結会社は、当該状況を勘案し、確率加重平均による期待現在価値技法を用いたインカム・アプローチで当該投資の公正価値を測定しており、測定に用いる割引率はロシアのカントリーリスクプレミアムを考慮した上で決定しています。 SELLCへの投資を通じて当該プロジェクト期間にわたる配当収入を見込む一方、その他シナリオも加味し、2024年度末における当該投資の公正価値(レベル3)を55,010百万円として測定しています。 なお、今後の更なる状況の変化により、その他シナリオで加味してきた不確実性が一部解消することで、確率加重平均による期待現在価値技法に用いるシナリオの再評価が必要となり、これによりSELLC宛て投資の公正価値は増加又は減少する可能性があります。 (2)気候変動による影響 気候変動及び脱炭素社会への移行による連結計算書類への影響は、非金融資産の減損、金融商品の公正価値、有形固定資産の耐用年数、資産除去債務等の会計上の見積りにおいて考慮されています。連結会社が2021年10月に策定した「カーボンニュートラル社会の実現に向けたロードマップ」は、パリ協定等で示された国際的な目標達成に貢献することを目指して策定されており、外部機関が公表するパリ協定に沿った脱炭素シナリオはこれらの会計上の見積りにおける重要な参照情報の一つとなります。一方で、脱炭素シナリオは需給等に関する市場全体の傾向を仮定するものの、連結会社の保有資産の優位性あるいは劣後性や、売買契約等の特殊性により、市場全体の傾向と連結会社の事業への影響が一致しない場合もあります。加えて、脱炭素シナリオを用いたシナリオ分析では数十年単位の超長期的な影響を分析するのに対し、連結計算書類における資産及び負債の測定においては、数年から十年といった中長期的な時間軸の影響が大きく、足元の事業環境がより強く反映されることとなります。そのため、仮に脱炭素シナリオ分析において、連結会社の事業に関連する資産の価値毀損等あるいは負債の増加等の兆候が示された場合にも、それらが直ちに連結計算書類における資産及び負債の測定に影響を及ぼすとは限らないと考えられます。会計上の見積りの設定においては、脱炭素シナリオに加え、連結会社の方針、各国の政策、外部機関の分析結果、及び各事業における固有の状況等を総合的に勘案し、合理的な見積りを行っています。ただし、将来における気候変動リスクに対する連結会社の戦略の変更や世界的な脱炭素化の潮流の変化は、これらに重大な影響をもたらす可能性があります。 連結会社では、気候変動関連のリスク及び機会が連結会社の事業に与える影響や事業戦略のレジリエンスを検討する一環として、地球温暖化を産業革命前に比べて1.5度以下に抑制するシナリオ(1.5℃シナリオ)を用いたシナリオ分析を行っています。同シナリオ分析におけるリスクサイドの分析対象事業として、気候変動の移行リスクが高く、かつ資産規模が特に大きい地球環境エネルギーセグメントのLNG関連事業、及び金属資源セグメントの豪州原料炭事業が選定されています。
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