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30歳で社長、仕事と家庭を両立し、海外赴任で培った経営トップの視点

TACHIBANA KANO

橘 香乃

橘 香乃

30歳で社長、
仕事と家庭を両立し、
海外赴任で培った経営トップの視点

橘 香乃
たちばな かの
2007年入社 ヘルスケア・食品流通本部 食品流通部
(2019年9月時点)

三菱商事では、若くして事業会社の経営に携わるケースもある。
30歳で夫と4歳の娘を伴い社長として香港に赴任した社員に、仕事をしながらの子育てや海外赴任のやりがいなどを語ってもらった。

“普通は”を突破し、家族連れの海外赴任で経営のおもしろさを知りました。

私が大切にしているのは、時として可能性を奪う「普通は」という言葉に捉われないこと。そのモットーと、会社の体制や周囲の人たちの理解によって、夫と子どもを連れての海外赴任が実現しました。


育児支援制度や周囲の協力で仕事と子育てを両立

2007年の入社以降、食品本部の飲料・缶詰ユニットに所属し、タイで加工した缶詰を日本に輸入して販売する貿易実務と商品開発を担っていました。プライベートでは2010年に結婚し、翌年に娘が誕生しました。
保育園探しの苦労を経て、無事に復職はできたものの、子どもの病気は突発的。そんなときは、会社の制度や、突然の休みにも快く応じてくれた周囲の協力に支えられました。三菱商事は仕事と育児を両立しやすい環境が整っていて、出産後も復職する社員が多いんです。


夫の理解を得て家族を同伴し念願の海外赴任を実現

さまざまなサポートを受けつつ、出産後もフルタイムで働き、月に1回はタイに出張していました。子どもを寝かしつけた後、夜中の便で飛び、早朝に到着して工場に向かうという強行スケジュールのときもありましたね。

それはやはり、「海外で働きたい」という入社時からの思いがあったから。出産後も機会があれば、海外勤務をしたいと口にしていました。家庭もあるので、上司も判断が難しかったと思いますが、2014年10月、ついに香港勤務のGOサインが出ました。夫に知らせると、すぐに「行こうよ」という返事が。日頃から海外で働きたいと伝えていたとはいえ、決断の早さに驚きつつも背中を押されました。比較的治安のいい香港なら、子育て面でも安心でした。私自身、中高生の頃にホームステイや短期留学などの海外経験で積極性や行動力が身に付いたので、子どもにとってもいい経験になると信じ、家族を連れての赴任を決めました。

2015年1月、赴任したのは香港で飲料や加工食品の輸入販売、マーケティングを手掛ける事業会社です。経営に関連する経験は皆無で、しかも、日本人社員は私のみという環境で約30人の社員を率いることになりました。当時も家族同伴で海外赴任をしていた女性社員はいましたが、私のように30歳で社長というのは珍しいケース。私の熱意とガッツが認められたのではと勝手に思っています(笑)


経営トップに立ち組織を動かす醍醐味を知る

事前に経営に必要な財務などの研修を受け、準備はしていたものの、現場に来て改めて「社長の役割」というものを体感しました。私のすべきことは、会社が目指す方向に社員が向かっているか確認しつつ、予算や利益などすべての数字をチェックして会社の舵取りをすること。商品の売上管理や販売促進の効果的な施策などを、それぞれの部門長と相談しながら進めていました。

社員とのコミュニケーションは英語だったため、専門用語などには苦労しましたし、社員はみんな意見をはっきり言うので議論が白熱することもしばしば。私自身、社長(私)に対する現地社員の評価アンケートで、「自分の意見を曲げない」と書かれるような性分ですが(笑)、本気でぶつかり合うことは会社を前進させるために有益だったと思います。また、みんなが同じ方向を向くには連帯感が大事。小さなことですが、社員一人ひとりとコミュニケーションを図るために全員の誕生日をカレンダーに記し、「おめでとう」と声をかけて会話をするなどして距離を縮めるよう心掛けました。

こうした日々の積み重ねと、現地社員や周囲の三菱商事社員の助けもあり、徐々に「経営とは何か」ということが明確になったように思います。それは「会社が5年先、10年先も成長を続けるための土台をつくる」ということ。それに気づいてからは「将来を見据え、今はこうしよう」と、大きな視点で物事を考えられるようになりました。このような機会を与えてくれた会社と当時の上司、お取引先の方々ほか、駐在期間中に支えていただいた方々には感謝してもしきれません。

日々鍛えられた4年半の任期を終え、帰国したのは2019年8月です。起きたことはすべて自分の責任になる社長の立場を経験したことで、今後もそうした覚悟を持って日々の業務に臨めるようになったと思います。経営という仕事は、会社の方向性を自分の手で決めること。もちろんプレッシャーはありますが、その半面非常に大きなやりがいがあり、とてもおもしろいものです。また海外で経営トップとしてチャレンジしたいですね。

「経営」の一番のおもしろさって?

「一つの会社の方向性を自分で決断できること、そしてその決断が数字となって結果に反映されることが、経営のおもしろさです。30代前半で経営者目線を意識できるようになったのは、今後の業務にも大きく役立つと思います」

「経営」の一番のおもしろさって?

仕事と家庭のバランス、どう考えてる?

仕事と家庭のバランス、どう考えてる?

「家族がいてこその仕事だけれど、子育てを理由に手は抜きたくないと思って仕事をしています。娘に『ママってすごいよね。私が生まれたときから働いてるんだから』と言われたときは、ジーンときました。娘にもらった絵をスマートフォンケースに入れて、今日も頑張っています!」

家族での香港赴任の収穫は?

「娘は香港の幼稚園にもすぐになじんで、物怖じもしなくなりました。夫も現地で大学院に通い、新たな学びを得たようです。業務で助けていただいた現地の方々やそのご家族との出会いも、わが家にとっての大切な財産になっています」

家族での香港赴任の収穫は?