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文化の違いを超えて周囲を巻き込め モザンビークで奮闘した現場改革

文化の違いを超えて周囲を巻き込め
モザンビークで奮闘した現場改革

加藤 光加藤 光

2015年入社。金属資源グループ アルミ部所属。

世界をフィールドにスケールの大きい仕事がしたいとの思いから三菱商事に入社。ブラジルや豪州の案件を担当後、アフリカのモザンビークの事業会社に出向。帰国後も同社の経営支援や投資管理を担当。(2021年3月取材当時)

注:新型コロナウイルス感染対策のため、密を避け、換気などに十分配慮して取材撮影しています。

「侍スタイルでは響かない」
思いを伝えるアプローチを模索する

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2017年8月から約2年間、アフリカ・モザンビーク共和国のアルミ製錬会社「モザール」に出向しました。同社は、1998年に三菱商事や英資源会社ビリトン(BHPとの統合、分社化を経て現在はSouth32)、南アフリカ開発公社などの共同出資で設立。設立当時のモザンビークは直前まで続いた内戦で疲弊し、同国初のアルミ製錬事業として、国の復興への期待を担う一大プロジェクトでした。現在、アルミ製錬は同国の主要産業となり、モザールは単独でも千人規模、同社を核とする工業地域全体ではその数倍の現地雇用を生み出す、存在感ある会社に成長しています。

現地で財務担当として働くうち、やり方を見直すべき業務がたくさんあることに気付きました。慣例化した業務の是正には手間も時間もかかります。しかし、外部からの期限付きの出向者として、社内の誰もがやらないことだからこそ取り組む価値があると考えました。例えば、月末にコストや在庫を確定させる業務では、複数ある保管場所や加工段階ごとの製品管理が複雑で、担当者間のコミュニケーションも不十分でした。そこで、担当者にチームワークの重要性や業務の意義を説明するとともに、誰もが理解でき、長く持続可能な仕組みにするべく、業務の体系化に取り組みました。

ところが、こうした取り組みが現地社員にはなかなか響きません。善かれと思ってやっているのになぜ、という思いが募るばかり。そんな時、現地の上司から掛けられたのが「ここは日本じゃない、侍スタイルでは響かないぞ」という言葉でした。文化も国民性も違う中、良くも悪くも何事も真剣に取り組む日本式のやり方を押し付けても、相手を動かすことはできないことに気付かされました。それからは現地社員とのコミュニケーションに力を入れ、気軽に話せる関係性を築いた上で、がむしゃらに熱く伝えるのではなく、情報を取捨選択して内容を絞り込むとともに、彼らにとってどのようなメリットがあるかを伝える工夫をしました。すると、徐々に思いを理解してもらえるようになり、一気に前進したのです。

上司からの言葉が大きな助けになり、壁にぶつかった時にうまく軌道修正して改革を実現できたことは貴重な経験となりました。今は東京から同社の経営支援に携わっていますが、導入した業務システムが根付いていることが感じられ、大変うれしく思っています。

加藤 光加藤 光

まず70点から始めてみる海外で働いたからこそ得られた学びまず70点から始めてみる海外で働いたからこそ得られた学び

まず70点から始めてみる
海外で働いたからこそ得られた学び

モザールでの経験を通じ、日本的なやり方の良さを活かしつつ、見習うべき海外の考え方は取り入れて、ハイブリッドしていく重要性を強く感じました。常に一から十まできちんとやり切るのは日本の素晴らしいところですが、限られたリソースで最大限の結果を出すために、時には取捨選択も大切です。取捨選択する以上は、初めから全部を100点にすることはできません。絶対に取り逃してはいけない重要な仕事は確実に押さえた上で、残ったリソースの範囲内で優先度の低い事柄に対応し、場合によってはやむなく断念することも是とする。30点足りないことをとがめるのではなく、合格点の70点を取れたことをまずきちんと評価した上で100点を目指していくという加点主義の考え方も、同社で働く中で得た大きな学びでした。

まさに海外で働いたからこそ養われた視点でしたが、そうした成長の機会が多くあり、経験を次の業務に活かしていけることは、現在の仕事の大きな魅力で、私にとって非常に大きなモチベーションになっています。今後も新たな場所で経験を積み、さまざまなバックグラウンドや考え方を持った人々と一緒に働き、その中で得られた発見やスキルを業務に還元していきたいと思っています。

金属資源事業は、産業の源流に近く、世界をフィールドに働くチャンスがあります。新たな産業が生まれたことで、モザンビークが内戦直後の状態を脱して豊かになっていったように、他の国や地域でも、発展に貢献できるような事業を展開していきたいと考えています。また、脱炭素への貢献も目標の一つです。例えばアルミニウムは、その軽量性から電気自動車をはじめ、鉄道車両や航空機などの燃費・電費効率の改善には欠かせない素材で、脱炭素社会の実現に重要な役割を担っています。こうした新しい社会の実現に寄与できるような仕事にも、ぜひ携わっていきたいと思っています。