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中南米最大の風力発電所を始動せよ 現場で得た生の情報がプロジェクトを支えた

中南米最大の風力発電所を始動せよ
現場で得た生の情報がプロジェクトを支えた

本田 祐輔本田 祐輔

2015年入社。電力ソリューショングループ所属。

大学でエネルギー関連の研究に取り組み、電力に関わる仕事を志して入社。海外の発電所の資産管理業務、発電プラントの輸出業務などを経験後、メキシコでの風力発電開発を経て、現在は事業会社で新規事業の開発を担当。(2021年6月取材当時)

注:新型コロナウイルス感染対策のため、密を避け、換気などに十分配慮して取材撮影しています。

「何もできない」から一念発起、
地道な努力で信頼を得る

「何もできない」から一念発起、地道な努力で信頼を得る「何もできない」から一念発起、地道な努力で信頼を得る

 
 

2018年4月から1年間、メキシコ南部で132本の風車を建設、運転する風力発電開発のプロジェクトに取り組みました。発電容量は396MWと中南米最大規模。メキシコでは近年、風力発電の開発が進んでおり、その中でも同国肝煎りの大型案件です。初めて現地を訪れた時は、まだ風車の姿はなく、これから建設が進んでいく段階でした。私が任されたのは、建設工程の進捗管理と、発電所を安全かつ効率よく運転するための体制づくりです。いずれも重要な役割ですが、現場にいる日本人は私一人、風力発電建設の専門知識も十分ではなく、スペイン語も分からない状態でのスタート。周囲から「何のためにここにいるのか」と問われても返す言葉がなく、当初は自分の無力さを実感する日々でした。

転機になったのは、上司からの「君の役割は現場で頑張ること。それを全うしないとチームワークが成り立たない」という叱咤激励の言葉。弱音を吐いている場合ではない、と気持ちを奮い立たせました。言語の習得はもちろん、132カ所の風車の建設現場をできるだけ毎日訪れ、現場スタッフともジェスチャーを交えて積極的にコミュニケーションを取り、分からないことを言い訳にせずがむしゃらに取り組みました。現地にいる自分にしかできないことを、と現場を回り続けるうち、作業員や技術者との関係性が深まり、「なぜこんなに現場のことに詳しいんだ」と驚かれるまでに。そうした中で得られた生の情報は、工期の遅れや機器トラブルの解決といった場面で大いに役立てることができました。現場に身を置く大切さを実感するとともに、こうした地道な取り組みが、周囲の信頼にもつながったと感じています。

苦労の日々を経て2018年11月、運転開始の日を迎えました。みんなで伝統食を作って祝ったことは忘れられない思い出。現地の方々と一つになって喜び合えた、人生で初めての経験でした。長年プロジェクトを担当してきた先輩社員の涙する姿に、多くの関係者の想いや尽力があってプロジェクトが完遂できたことを強く感じ、胸が熱くなったのを覚えています。こうした大規模なプロジェクトに携わり、難しさもありますが、その分大きなやりがいを感じながら仕事に取り組めることは、三菱商事ならではの魅力だと感じています。

本田 祐輔本田 祐輔

謙虚さを忘れず主体的に取り組む、失敗から得た学び謙虚さを忘れず主体的に取り組む、失敗から得た学び

謙虚さを忘れず主体的に取り組む、
失敗から得た学び

上司の言葉と並んで印象深いのは、現地の建設責任者の存在です。当初はなかなか認めてもらえず、私の安直な発言で怒りを買ってしまったこともありました。猛省する中で、現場を理解することも同じ目線で考えることもできていないのに、分かった気になって口だけ挟んでいたと思い当たりました。自分から動いて情報を集め、分からないことは素直に教えを請う、そうした謙虚さや必死さが欠けていた――。この気付きが、仕事への向き合い方を見直すきっかけとなりました。

完成までの過程では、関係者との交渉など、難しい調整が求められる場面も多くありましたが、相手にしっかりと向き合い、信頼関係を築いていく姿勢や、情熱と愛情を持ってチームを動かしていく姿など、彼から多くの学びを得ることができました。こうした学びは、今後どんな仕事をする上でも、自分の軸として大切にしていきたいと思っています。

私は電力、特に再生可能エネルギーに携わる仕事を志して三菱商事に入社しました。大学で取り組んだエネルギー関連の知見を活かし、技術を社会課題の解決につなげていきたいと思っていたので、今回のプロジェクトはまさに思い描いていた仕事。チャンスをいただけたことは本当にうれしかったですし、全力で取り組む中で、現地の方々に受け入れられ喜ばれるようなプロジェクト、誰かの役に立つ仕事をしたいという想いを一層強くしました。エネルギー事業は、環境問題と切り離して考えることはできません。今後も、ビジネスとして成立するだけでなく、社会課題や環境問題の解決にも資する仕事に取り組んでいきたいと考えています。