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日本の技術で水力発電開発を支える南米・ボリビアで奔走、信頼関係を築く

日本の技術で水力発電開発を支える
南米・ボリビアで奔走、信頼関係を築く

沈 安娜沈 安娜

2015年入社。総合素材グループ所属。

インフラ開発を通じて開発途上国の発展に貢献したいとの思いから入社。事業会社の経営サポートを経験後、鉄鋼の加工、販売、物流などを担う事業会社に出向し、トレーディングを担当。韓国での研修を経て、現在はDX(デジタルトランスフォーメーション)のプロジェクトチームに所属し、鉄鋼業界の課題解決に取り組む。(2021年7月取材当時)

注:新型コロナウイルス感染対策のため、密を避け、換気などに十分配慮して取材撮影しています。

トラブル発生、
解決の糸口を探し粘り強く取り組む

トラブル発生、解決の糸口を探し粘り強く取り組むトラブル発生、解決の糸口を探し粘り強く取り組む

 
 

水力発電は、再生可能エネルギーの中でも古くから活用され、長期間安定的に運用できる電源です。1960~70年代に水力発電開発を推し進めた日本は、世界の中でも先駆者的な立場。私は入社4年目、日本の高い技術力を活かし、南米・ボリビアでの水力発電開発に、部品となる鉄鋼製品を提供するプロジェクトを担当しました。ボリビアへの輸出は初めてでしたが、同国は国策として大規模水力発電の開発に注力しており、今後開発が見込まれる水力発電にも継続的に日本製品を輸出することを目指し、約1年間、担当者として奔走しました。

提供したのはハイテン材と呼ばれる硬い鉄板。これを溶接してパイプ状に加工します。ところが現地での加工がうまくいかず、亀裂が入ってしまうトラブルが発生。一報を受け、急ぎ現地に向かいました。結果的には鉄板そのものには何ら問題はなく、日本とボリビアで加工の規格が異なるために起きたトラブルでしたが、発生当初は何が原因なのかまったく分からない状態。何度も現地に足を運び、解決の糸口をつかもうと顧客の声を受け止め、粘り強く会話を続けました。私は日本の技術者と現地企業の間に立ち、技術的な知識も踏まえながらコミュニケーションを仲介する役割。日本とボリビアの加工の何が違うのか、技術者とともに朝から晩まで工場で原因究明にあたり、技術指導にも取り組みました。山間部での水力発電開発は、不具合があれば下流に住む方々の安全を脅かしかねず、大きな責任が伴います。解決策を見出し、問題なく加工できるようになるまでの数カ月間は、本当に心が休まる暇がないほど、必死に取り組みました。

初めての取引でお互いの関係性も十分ではない中のトラブル。信頼を失いかねない事態でしたが、真摯に向き合って対話を重ね、加工手順の共通認識をつくり上げていく中で、日本の技術力や知見への信頼を得ることができました。「この人たちがこんなに頑張っているのだから任せよう」と思っていただけたことは、解決への大きな原動力となりました。今も南米における大切な顧客としてお付き合いが続いていることは、担当者として大変うれしく、顧客と対峙する仕事ならではの醍醐味を感じられた貴重な経験になったと感じています。

沈 安娜沈 安娜

技術と産業の架け橋として、よりよい社会づくりに貢献する技術と産業の架け橋として、よりよい社会づくりに貢献する

技術と産業の架け橋として、
よりよい社会づくりに貢献する

トラブル含みのスタートでしたが、何か起きた時にまずスピーディに対応すること、そして相手の求めているものをキャッチして応えていくことの積み重ねが、信頼関係の構築につながっていくと実感しました。そうした対応ができたのも、私一人の力ではなく、技術者や現地スタッフなど、さまざまな方々の協力があったからこそ。周囲を巻き込み、力を借りながら、主体的に問題解決に取り組んでいく大切さを認識すると同時に、歯を食いしばって困難を乗り越えた経験は、私にとって大きな自信になりました。

対面する事業や技術に対する専門性を高める重要性も、プロジェクトを通して得た学びの一つ。知識に磨きをかけ、対応力を高めて、顧客と伴走できる存在になりたいと思っています。今回、技術者と現地企業をつなぎ問題解決に取り組んだように、技術と産業の架け橋になることも私の役割だと感じています。インフラ開発を通して開発途上国の発展に貢献したいという思いが私の原点。その中でも大切にしているのは、現在だけでなく、将来にわたってよりよい社会を作るために何ができるか、という視点です。

今回のプロジェクトでは、単に材料を輸出するにとどまらず、日本の技術をあわせて導入し、工期の短縮や開発時の環境負荷低減といった付加価値を提供できたことも大きな成果だと感じています。日本の技術がボリビアの水力発電開発を後押しし、再生可能エネルギー比率を高めることにもつながっていくように、技術の力を活用してサステナブルな開発を進め、よりよい社会をつくり上げていく、そんな仕事に今後も取り組んでいきたいと考えています。