世界の情勢にアンテナを張れ入社3年目、安定供給を支える新たな挑戦
世界の情勢にアンテナを張れ
入社3年目、安定供給を支える新たな挑戦
2018年入社。石油・化学ソリューショングループ所属。
中国と日本、二つのルーツを持ち、両国で暮らした経験から、世界の懸け橋になる仕事を志して三菱商事に入社。入社以来、一貫して化学品のトレーディング業務を担当。(2021年8月取材当時)
注:新型コロナウイルス感染対策のため、密を避け、換気などに十分配慮して取材撮影しています。
買うべきか買わざるべきか、
市況を見極めニーズに応える
入社以来、ペットボトルや合成繊維の原料となる化学品・エチレングリコール(EG)の三国間貿易※に携わっています。EGは世界で年間約3,300万トンの需要があり、中でも私が担当する中国は世界最大の需要地。数十社ある顧客とやりとりしながら、100万トン強のEGの安定的な供給を支えるのが私の役目です。EGはメーカーによる品質の差がほとんどなく、その分、どの売り手と買い手をつなぐのがベストか、輸送コストや世界情勢、市況変動など、さまざまな要素を勘案しながらの調整が腕の見せ所。難しさもありますが、この仕事の楽しさでもあると思っています。
そんな中、私にとって大きな挑戦の年になったのが入社3年目の2020年です。主要メーカーのプラントにトラブルがあり、中国顧客向けのEGが大きく不足する事態に。採算を考慮しながら不足分を補うべく、マーケットからEGを調達することになりました。私にとっては初めての経験、さらにコロナ禍の影響で、原料となる原油価格が急落したり物流が停滞したりとマーケットも混乱しており、顧客の要望や採算を考え、今買うべきか買わざるべきか、難しいかじ取りが求められる時期でもありました。
仕事を進める中で私が大切にしていたのは、どんなに忙しくても顧客と直接会話すること。やりとりの中で得られた生の情報は、マーケットの状況を見極める上で貴重な判断材料になりましたし、密にコミュニケーションを取る中で顧客の求めるものを理解し、それに応えていくことで、信頼関係も深まったと感じています。混乱するマーケットの中で要望通りにEGを届けられない場面もありましたが、積み重ねた信頼のおかげで顧客に次善の策を理解いただき、リカバーすることができたと思います。常に変動するマーケットではスピーディーな判断が求められ、判断を誤れば収益に影響が出るかもしれないという怖さもあります。日々のプレッシャーはとても大きく、1年間にわたる難局を乗り越えられた時には、「今後何が起きても怖いものはない」と思ったほど。苦労も多かったですが、マーケット情報の精査や採算を意識した調達など、それまで蓄えてきた知識が実地での経験を通して身になり、大きな成長につながったと感じています。
※輸出者、輸入者の間に第三国の仲介業者が入って取引を行う貿易形態。
困難な時ほど成長のチャンス、
前向きに仕事と向き合う
この経験を通して、仕事に取り組む姿勢や意識が大きく変わったと感じています。自分の判断の一つ一つが物事を大きく左右することを実感し、主体性や責任感をより強く持つようになりました。思うような調達ができない時もありましたが、その時の悔しさがあればこそ、うまくいった時の喜びもひとしお。自分事として取り組むことで、仕事の面白さにも改めて気付くことができました。
困難の中にある時こそ成長できるというのも今回実感したことの一つ。マーケットからの調達という挑戦の中では、今までにない大量取引ということもあり、新たな購買方法や輸送オペレーションの検討も必要でした。これまで取引のないメーカーからも知恵を借りたり、顧客への納入時期を調整したりしながら、採算性の向上につなげるべく頭をフル回転して模索し、実現にこぎ着けられたことは、私にとって大きな自信になりました。今では顧客の要望に応えながら、収益向上に貢献できるようにもなりました。また、困難に直面した時も「今が成長のチャンスだ」と考えられるようになったことで、より前向きに仕事と向き合えるようになったと感じています。
私は、仕事を通じて世界をつなげたいという思いを持って三菱商事に入社しました。三国間貿易は、まさに私たちが橋渡しとなって、世界の国々や企業をつなぐビジネス。自分がその一端を担えることは、働く上での大きなやりがいです。一方で、私の扱う化学品は、世界中のあらゆる国で利用されており、脱炭素をはじめとした環境負荷の低減という大きな課題が頭から離れることはありません。トレーディングは、顧客と一番近い立場で対面する仕事です。その中で化学産業に携わる現場の声や社会の要請をすくい上げ、事業に反映していくことで、脱炭素社会の実現をはじめとした課題解決に向けた推進力となれるよう取り組んでいきたいと考えています。