世界の工場とブランドをつなぐアパレル業界を支える「調整力」
世界の工場とブランドをつなぐ
アパレル業界を支える「調整力」
2013年入社。コンシューマー産業グループ所属。
グローバルなビジネスに携わりたいとの思いから入社。事業会社での経理業務を経験後、リテイル本部でアパレル事業に従事し、M&A案件やOEM取引※における生産管理業務などを担当。現在はアパレル会社に出向し、財務を担当。(2021年8月取材当時)
※Original Equipment Manufacturingの略。製造メーカーが他社ブランドの製品を製造すること。
注:新型コロナウイルス感染対策のため、密を避け、換気などに十分配慮して取材撮影しています。
トラブル対応に奔走、
ビジネスの重みに気付いた
2017年から約4年間、顧客であるアパレルブランドと生産工場をつなぐ生産管理の業務を担当しました。日々発生する大小さまざまなトラブルに迅速に対処しながら、顧客側、工場側それぞれの声を受け止め、調整する。商品を問題なく顧客に届けるためには、こうした潤滑油としての役割が欠かせません。中でも印象に残っているのが、大手アパレルブランド向けの製品で発覚した品質トラブルです。私が担当する海外の生産工場で製造した商品に品質上の懸念があることが分かり、国内各所の倉庫にある大量の製品を全て検品することに。販売開始が約1カ月後に迫る中、現場の責任者として対応に奔走しました。
倉庫ごと、品番ごとに緻密なスケジュールを立て、顧客や工場、検品作業に当たる会社、倉庫会社など、さまざまな関係者と密にコミュニケーションを取りながらの作業。少しでも遅れが出れば納期に間に合わないかもしれないというプレッシャーは非常に大きかったですが、万が一にも顧客の販売に影響が出るようなことがあってはならないと必死に取り組みました。時間に追われる中でも心掛けていたのは、顧客や工場、それぞれ異なる立場の関係者の声に耳を傾け、相手の目線に立って考えること。顧客からは厳しい言葉を掛けられることもありましたが、双方の着地点を探りながら、地道に作業を前に進めていきました。
無事納品にこぎ着けることができた時の安堵感と達成感は、今でも鮮明に覚えています。プレッシャーの中で粘り強く取り組み、トラブルを乗り越えられたことは、私にとって大きな自信になりました。一方で、生産工場との継続取引が難しくなるといった事態にも直面しました。目の前の仕事があることは決して当たり前ではないのだと気付かされると同時に、一つ一つの仕事の重みを改めて認識するきっかけにもなりました。
経験全てが成長の糧、
知見を深めて社会課題に挑む
この経験を通して学んだことの一つが、チームプレーの大切さです。数人のチームでしっかり情報を共有し、スピード感を持って動けたことが大きな力になりましたし、仲間の存在があったからこそ頑張れたと思っています。自分一人で仕事をやり抜くという気概も大切ですが、自分だけでは完遂できない仕事もたくさんある。だからこそチームプレーや、周囲への感謝の気持ちが大切だと実感しました。
顧客に迷惑を掛けかねない事態でしたが、真摯に向き合い対応する中で、顧客や工場との信頼関係が深まり、一人前の担当者として認めてもらえたと感じています。何か問題が起きた時、いかにして解決に導いていくか、交渉力や着地点を見いだすスキルも大いに鍛えられました。こうしたスキルはどんな仕事においても重要なもの。入社以来、財務経理の分野から営業まで、多岐にわたる業務を経験しましたが、その全てが今の糧となっています。これからも目の前の仕事に全力で取り組み、日々の経験を血とし肉として成長していきたいと思っています。
入社当初はアパレル事業に携わるとは思ってもみませんでしたが、仕事を通してさまざまなブランドに触れ、知識を得る中で、事業や服に対する関心はどんどん高まっています。今、アパレル業界が直面しているのが、過剰生産・大量廃棄という課題です。製造の現場を知る中で、私もこの問題を強く意識するようになりました。簡単ではありませんが、糸や生地の製造工場から消費者に近いアパレルブランドまで、幅広いプレーヤーとの接点を持つ三菱商事だからこそ、業界を俯瞰して解決を先導する役割を果たせるはず。現在出向中の会社では、日本製へのこだわりや受注生産といったビジネスモデルを通じて新たな学びを得ています。こうした経験や知識を積み重ね、業界・社会課題の解決に貢献できる仕事をしていきたいと思っています。