自分だからこその付加価値を追求する鰹鮪トレーディング事業にまい進
自分だからこその付加価値を追求する
鰹鮪トレーディング事業にまい進
2018年入社。食品産業グループ所属。
大きなフィールドで自分の可能性に挑戦したいとの思いから、グローバルに幅広い事業を展開する三菱商事に興味を持ち入社。入社後は魚や米といった生鮮食品や加工品を扱う農水産本部にて、マグロやカツオの輸出入や三国間貿易を担当。(2021年10月取材当時)
注:新型コロナウイルス感染対策のため、密を避け、換気などに十分配慮して取材撮影しています。
地道な努力で知見を深め、
プロの世界で築いた信頼関係
入社以来、缶詰原料用のマグロ、カツオのトレーディング業務を担当しています。世界各地で漁獲された魚を東南アジアの缶詰業者向けに輸出したり、国内の缶詰・かつお節業者向けに海外から輸入したりと、さまざまな形で魚の流通に携わっています。その中で強く意識しているのは、漁業者や加工場と缶詰業者の間をつなぐだけでなく、プラスアルファの価値を発揮する、ということ。三菱商事だからできること、私だからできることは何か。非常に難しい課題であり、日々模索しながら取り組んでいます。
仕事で対面するのは、国内外の漁業者や缶詰事業者など、数十年のキャリアを持つその道のプロの方々。商談では専門用語が飛び交い、話についていくのが精いっぱいという時期もありました。しかし、プロの方々を前に、知識不足を言い訳にはできません。現場を知り、生の知識を得ることが信頼関係につながると考え、各地の水揚げ現場や加工場を何度も訪れ、専門的な知見を蓄えてきました。時には飲食を共にしながら深く話をし、必死に食らい付く中で関係性も深まっていったと感じます。中でも印象的だったのは、入社直後、加工場の製造ラインに10日間入った時のこと。魚の品質や鮮度といった知識に加え、現場で何が課題になっているのかなど、さまざまな気付きを得ることができました。また、作業の大変さも知り、現場で働く方々への尊敬とともに、その商材を扱う責任の大きさを実感するきっかけとなりました。
事業面でも付加価値を発揮すべく取り組みを進めています。天然魚の調達は、漁獲量や缶詰需要の変動に左右される難しさがあります。そこで、世界各地の事業会社や取引先から最新の情報を入手。顧客に先々の需要状況を踏まえた買い付けを提案し、安定的で競争力ある調達を支援しています。またコロナ禍では、缶詰の需要が急増する一方で、海外の加工場では十分な稼働が確保できず、大きな需給ギャップに直面。これを乗り越えるべく、両者の間に入り、綿密な需要予測を基に製造計画の調整に奔走しました。こうした場面は、まさに三菱商事の腕の見せどころだと感じます。こうした積み重ねを評価いただけたのか、ある時、顧客から掛けられたのが「山田君の言葉を信じるよ。今回の交渉は任せる」という言葉。担当者として信頼を得られたという手応えとともに、今までの努力が報われたように感じられ、本当にうれしかったことを覚えています。
「三現主義」を大切に、
自分の可能性を広げ社会課題に挑む
入社直後の加工場での経験から、仕事をする上で大切にしているのが、現場、現物、現実を深く知る「三現主義」です。まだ知識も経験もない中、必死に現場と向き合ったからこそ得られた学びも多く、その後の大きな糧となりました。三つの「現」を知っている人の言葉には説得力があります。仕事は一人ではできないからこそ、周囲を巻き込んでいける説得力が重要。そのためにも、「三現主義」にこだわっていきたいと思っています。
同じように大事にしているのが、人とのつながりです。現在、デジタル技術を活用し、経験に頼りがちだった買い付けの判断に、データ分析による客観的な市場予測モデルを取り入れるべく取り組んでいますが、これも社内のデジタル担当者とのつながりがあってこそ実現したもの。社内外に限らず、いろいろな方々とのコミュニケーションを通じて自分の視野が広がりますし、それこそが新たな事業アイデアの源泉になると感じています。
私は、仕事を通じて自分の可能性にチャレンジし、社会に貢献したいとの思いを持っています。コロナ禍での缶詰の例もそうですが、自分の仕事が社会に直結していることを実感でき、大きなやりがいを感じています。食品産業は今、世界人口の増加に伴う食糧需要への対応という命題を抱えています。私が扱う天然魚は限りある資源であり、一匹の価値を高める取り組みが重要です。最近では、魚の可食部のみならず、可食部を加工する過程で発生する副産物を有効活用する取り組みも進めており、こうした一つ一つの積み重ねが大切だと考えています。幅広い事業と関わりを持つ三菱商事には、産業全体を俯瞰し、課題解決に向けて業界をリードする役割が求められていると感じます。そのためにも、まずは自分が対面する顧客や社会のニーズを拾い上げ、課題解決に向けて挑戦していく、そんな仕事に取り組んでいきたいと考えています。