自動車販売の最前線で得た生の知見成長著しいインド市場で販路拡大に挑む
自動車販売の最前線で得た生の知見
成長著しいインド市場で販路拡大に挑む
2018年入社。自動車・モビリティグループ所属。
自分に限界を設けずチャレンジし続けられる環境で仕事がしたいとの思いから入社。インドや中国向け自動車部品の出荷業務などを経験後、インドにおける自動車(ピックアップ、SUV)の製造・販売・輸出を手掛ける事業会社の支援業務を担当。インドでの研修を経て、現在も同社の事業支援に携わる。(2021年11月取材当時)
注:新型コロナウイルス感染対策のため、密を避け、換気などに十分配慮して取材撮影しています。
ディーラー倍増、
信頼関係を築き高い目標を目指す
私が所属する自動車・モビリティグループは、自動車の海外現地生産や販売、アフターセールスなど、自動車に関連するバリューチェーンに深く関わり、グローバルに事業を展開しています。中でもインドの自動車事業は、入社以来携わる思い入れのある事業。2019年、そのインドにグローバル研修生※1として派遣、自動車(ピックアップ、SUV※2)の製造・販売や輸出を手掛ける事業会社での業務を経験する機会を得ました。インドは自動車需要が世界第4位(当時)と高く、一人当たりGDPの伸びも顕著で、今後の成長が見込まれる市場です。特に18~19年は販売台数が大きく伸びた時期。その機を捉え、さらなる販売拡大を目指して取り組んだのが、1年間でディーラーを倍増する計画の策定です。50拠点から100拠点に、という非常にチャレンジングな目標ですが、商用車として使われるピックアップは、故障時にすぐに修理できるよう、ディーラーネットワークの充実度も顧客が重視するポイントの一つ。需要の分析や候補となるディーラーの選定など、倍増を実現すべく奔走しました。
国土の広いインドでは地域それぞれに需要も異なります。まずは事業会社の上司や各地域を担当する現地スタッフから、市場の知見を吸収することからスタートしました。現場に出れば、私は若手の研修生という立場。いかに信頼関係を築いていくか、当初は悩む部分もありましたが、自分のやるべきことを徹底する「凡事徹底」を肝に銘じ、現地スタッフからの依頼には小さなことでもすぐに対応する、逆に何かお願いする時には背景も含めてきちんと説明し、事後のフォローも忘れないといった丁寧なコミュニケーションを心掛ける中で、次第に信頼関係が深まったと感じます。
現地スタッフやディーラーと密に連携しながら計画を練り上げ、いざ具体的な候補選定を始めようとした矢先、コロナ禍に見舞われました。事業環境が悪化して計画が白紙になってしまったこと、私自身も研修途中で帰国せざるを得なくなったことは、本当に悔しく残念な思いです。しかし、日本でできることもたくさんある、と気持ちを切り替え、引き続き同社の事業サポートに注力しています。まだ先行きが見えない部分もありますが、現地スタッフとつくり込んだディーラー拡大計画のスキーム自体は、事業環境が好転した時に役立てられるもの。さらに、ディーラーの収益拡大策として、計画策定と並行して試験的に立ち上げた新たなサービスも軌道に乗り始めています。既存のディーラー網を活用し、幅広いメーカー車を対象に、部品販売や整備などのアフターセールスを提供するサービスで、インドの自動車産業においては初の試み。約5カ月という短期間ではありましたが、こうした面でも新しいチャレンジができたことは、大きな収穫だと感じています。
※1 グローバル研修生…若手社員を対象に、海外での実務研修、海外のビジネススクールへの派遣、世界各国の文化と言語を習得するための語学研修を実施。年間100人前後を派遣。
https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/about/resource/training.html
※2 ピックアップ(ピックアップトラック)は、運転席の後ろに開放型の荷台がある小型貨物自動車。SUVはスポーツ用多目的車(Sport Utility Vehicle)の略で、未舗装の道でも走行できる性能や荷室の広さなどが特徴。
実力が試される時、
挑戦を続け豊かな暮らしに貢献したい
研修での目標の一つが、インド市場や顧客への理解を深めること。コロナ禍で思うように各地を訪れることはかないませんでしたが、販売の現場を知り尽くした現地スタッフやディーラーからは多くの学びを得ることができ、生の1次情報を入手することが何より重要だと実感しました。東京にいても、数字の裏にある背景や現地の努力が分かるようになったことは大きな変化です。自動車メーカーと現場をつなぐ立場として、より深く事業や現場を理解し、自分だからできる価値提供をしていきたいと考えています。
インドでは仕事のスピード感や進め方が日本と異なることもしばしば。どうすれば相手を動かしていけるか試行錯誤する中で、伝え方一つで前進もすれば止まってしまうこともあると実感し、相手に寄り添うコミュニケーションをより強く意識するようになりました。相手のニーズを理解し応えていくことは、信頼関係にもつながります。コミュニケーションの重要性を再認識するとともに、今後も相手と愚直に向き合い、信頼を築いていく姿勢を大切にしたいと思います。
自動車業界は今、100年に1度の変革期にあります。その中で仕事ができることに大きなやりがいを感じると同時に、実力が試される時だとも感じています。今年から新しい挑戦としてデジタルマーケティング強化に向けた所属本部内の分科会に参加し、知見を深めつつ、各国の事例や課題、ノウハウの共有に取り組んでいます。こうした学びや他国担当者との横の繋がりは、インドでの事業にもぜひ活かしていきたいと考えています。また、カーボンニュートラル実現に向け、自動車業界から脱炭素化に貢献することも重要なミッション。インドでは、EV化に向けて政府が思い切った政策を打ち出すなど、事業環境も変化しつつあります。環境規制に適合した自動車の販売を通じ、ヒト・モノの移動を支えながら脱炭素化に貢献し、豊かな生活を実現していく、そうした事業に今後も取り組んでいきたいと考えています。