Challenged Sports(障がい者スポーツ)
かすかな鈴の音。静寂のなかのかけひき
2014年12月21日 朝日新聞「GLOBE」掲載

かすかな鈴の音。静寂のなかのかけひき
「クワイエット・プリーズ!」─審判の声に、会場は水を打ったような静寂に包まれる。目隠しをした選手たちが、鈴の入ったボールや相手の動きを見極めようと、全神経を集中させる。その緊張感が、見る者にもひしひしと伝わってくる。
視覚障害者のリハビリプログラムとして始まったゴールボールの魅力は、他のスポーツにはない独特なものだ。ゲームは3人対3人で行われ、サッカーゴールを低くしたような横長なゴールにボールをころがして入れ、ゴール数を競う。目が見えない状態ゆえのかけひきや戦略が、このスポーツの大きな魅力になっている。
パラリンピックの日本代表として活躍した高田朋枝さんは次のように語る。
「始めは球技が怖くて苦手意識があったのですが、やってみると面白く、いつの間にかすっかり夢中になっていました。鈴が鳴らないようにボールを投げたり、相手に気づかれないように他の選手にボールを渡したり。攻撃においては様々なテクニックが使われます」
守る側は、相手の気配や鈴の音などを頼りに、ボールの位置や動きを想像し、ゴールを阻止するために体を投げ出すようにして寝転がる。ボールは重さ1.25キロと重く、世界の男子トップクラスの選手となると時速70キロにもなる。それを体で受けとめる激しさゆえ、「沈黙のなかの格闘技」とも呼ばれる。
ゴールボールは、1976年にパラリンピックの正式競技となった。2012年のロンドン大会では日本代表女子チームが金メダルを獲得し、多くの人に知られるようになった。国際大会の大半は視覚障害者のみが対象だが、国内大会では健常者もアイシェードという目隠しをして参加できる。
「目が見えないと相手の気配や動き、声に敏感になります。練習を重ねると、状況がありありと思い描けるようになってきます。プレーするにも観るにも想像力が必要なこのスポーツの魅力を、多くの人に知ってほしい。誰もが遊び感覚で楽しめるようになるといいですね」と高田さん。
障がいがあるからこそ味わえる感動や喜びがあることを、このスポーツは教えてくれる。
DREAM AS ONE. ~ともに一つになり、夢に向かって~
11月19日、三菱商事ビル内のMC FORESTで「障がい者スポーツボランティア養成講座」が開催されました。東京都障害者スポーツ協会の協力のもと、障がいとは何か、障がいの種類や必要な配慮、サポートについて、また障がい者スポーツの意義を皆で学びました。三菱商事ではこのような障がい者スポーツを支援するプロジェクト「DREAM AS ONE.~ともに一つになり、夢に向かって~」に取り組んでいます。




