Challenged Sports(障がい者スポーツ)
日本の技術とアスリートの力でさらなる高みへ。
2015年1月18日 朝日新聞「GLOBE」掲載

日本の技術とアスリートの力でさらなる高みへ。
銀色の雪山を時速100キロほどで滑り抜ける。スリリングなターン、迫力ある大回転。遠くから見ていると、普通のアルペンスキーだと思うかもしれない。しかしよく見ると、選手は座席のついたスキー板に足をそろえて座っている。
世界大会の花形ともいえるアルペンスキー座位の部は、日本ではチェアスキーとも呼ばれている。下肢などが不自由な人のために開発されたチェアスキーという独特な用具を使う。座って滑るため、バランスをとるのが難しい。普通のスキーとほぼ同じ速度が出るが、雪面に近いためチェアスキーのほうが体感速度は速く感じる。
数々の世界大会で大活躍している狩野亮さんは小学校3年の時、交通事故で脊髄を損傷した。落ち込み、ふさぎ込んでいた彼を変えたのが、チェアスキーとの出会いだった。
「長野で開かれた世界大会の様子をテレビで見て、何てかっこいいんだと思いました。それから競技の世界に興味を抱き、のめり込むようになりました。大自然の中で自由になれ、障がいのあるなしがほとんど関係なくなる世界は、大きな魅力です」と狩野さんは語る。
現在、競技で使われているチェアスキーの用具は日本人が開発したものだ。車いすの人がスキーをするなんてとんでもないと誰もが思っていた1970年代、「得意なスキーをしたい」という障がい者の声に応え、神奈川県のリハビリ施設が開発を始めた。その後、車いす会社、義肢装具会社などが長い年月にわたって試行錯誤を重ねた末に、ようやく完成した。
競技でスピードを出すには、強度を保ったうえで軽量化を図ることが課題だった。鉄とアルミで作られるため重い海外製に対し、日本では溶接と加工の高度な技術により、アルミのみの軽くて強いフレーム作りに成功。昨年、ソチで開かれた国際大会の男子アルペン競技座位では全15個のメダルのうち11個の獲得選手が日本製を採用していたほど、世界から高い評価を得ている。日本の技術陣は、空気抵抗を減らすためさらなる改良を目指す。
「用具は特別オーダーなのでお金がかかり、海外遠征も多いので、企業のサポートはありがたいです。この競技のスピードと迫力、勝負の面白さといった魅力を多くの人に知ってほしい。きっと障がい者に対するイメージも変わるでしょう」と狩野さん。
日本のアスリートと技術、企業がタッグを組んでの挑戦から目が離せない。
DREAM AS ONE. ~ともに一つになり、夢に向かって~
東京都障害者スポーツ協会の協力のもと、三菱商事では「障がい者スポーツボランティア養成講座」を定期的に開催しています。障がいのある人もない人も、ともに参加することで、障がい者スポーツの理解を高めていきたいと考えています。
私たちは、このような障がい者スポーツを支援するプロジェクト「DREAM AS ONE. ~ともに一つになり、夢に向かって~」に取り組んでいます。




