Challenged Sports(障がい者スポーツ)
心の声で確かめ合って
2015年8月16日 朝日新聞「GLOBE」掲載

心の声で確かめ合って
直径21センチのバレーボールが、青い空の下を飛び交う。ときに潮風にあおられ、球速が増したり、球筋が変わったり。
そんな自然のいたずらをものともせず、砂地を大きく蹴って懸命にボールを追う2人のアスリートたち。転んでも起き上がり、コートの中を縦横無尽に動き回る。このダイナミックさがビーチバレーボールの魅力だ。
だが競技ルールは同じでも、デフビーチバレーボールは勝手が違う。
音が全く聞こえない、もしくは難聴など、「デフ」とは聴覚障がい者のことをいう。鍛え抜かれた身体の彼ら彼女たちには、審判のホイッスルも、歓声も聞こえない。音のない世界で、ボールの動きに全神経を集中させる。
「どんな攻撃をしかけるか」「サーブはどこを狙うか」──。プレー中に2人が交わすサインは、パートナーを見て行う手話や肩を
「デフビーチバレーボールは2007年から始まりましたが、最近は、世界の強豪と互角に戦える選手も出ています。多くの人にこの存在を知ってもらい、メジャーなスポーツへと押し上げたい」
と、日本デフバレーボール協会の大川裕二理事長は熱く語る。
その思いを後押しするように、インドアの6人制デフバレーボールの競技人口は1000人規模に。そしてビーチバレーボールへと転向するアスリートたちも100人を超えるほどに育ってきた。だが、社会人として仕事を持ち、生活環境の違う選手同士が練習に時間を割くのは容易なことではない。
7月にラトビアオープン北欧バルトデフビーチボールバレー選手権で優勝した小林奈々絵・澁谷裕香里ペアは、小林さんが静岡県、澁谷さんが北海道暮らし。それぞれに仕事と家庭を両立させる多忙な日々を過ごす。
なぜ、ビーチバレーボールを始めたのか?共通した答えは「昔からバレーボールが好きだから」、そして「仲間を作りたかったから」。
4年前に突然聴力を失い、手話が不慣れな澁谷さんを気遣う小林さんは、口を大きく開いて話す。プレーについては、試合の様子を動画や写真に撮り、SNSを通じて反省しあうという。
「ビーチバレーの技術は、バレーの基本ができていないと難しいからこそ面白い」(小林さん)
「練習を積んで、強くなりたい」(澁谷さん)
目指す視線はまだまだ高い。言葉を超えた信頼で結ばれたアスリートたちは、一歩、また一歩と前へと踏み出そうとしている。
DREAM AS ONE. ~ともに一つになり、夢に向かって~
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