World Beat ~明日への鼓動~
未来を誰が照らすのか
2016年7月3日 朝日新聞「GLOBE」掲載

未来を誰が照らすのか
1882年、エジソンがニューヨークに世界初の大型火力発電所を設立したとき、一般の家庭にはまだソケットもなく、送電線も引かれてはいなかった。電球という新しい発明品の普及には、まずインフラ整備こそ急ぐべきという彼の考えは結果的に正しかったわけだが、それにしても電光石火、ずいぶん大胆な決断と行動だったといえる。
そんなエジソン以来の伝統か、米国では1990年代前半には早くも電力自由化に向け本格的に法整備が進み、発送電分離の制度化、再生可能(自然)エネルギーの実用化など、他国に先駆けた電力システム改革が進んできた。規制は年々緩和され、今では多くの民間事業者が電力ビジネスでしのぎを削り合っている。
三菱商事が業界の先駆者としてそこへ参入したのは、今から30年ほど前。従来手掛けていた小型タービンなどの機器販売ビジネスから発電事業の運営へとビジネスモデルの転換をはかっていった。99年に100%子会社のDiamond Generating Corporation(DGC)設立を足がかりに米国での事業範囲をさらに拡大。2012年には用地選定から施設の設計、建設まですべてを手がけたカリフォルニア州「マリポサ発電所」の操業を開始した。気象条件などに左右されがちな自然エネルギーの弱点を補う「ピーク電源」として、地域のなかで大きな役割を担っている。
「米国ではフェアにビジネス機会が与えられ、プランさえしっかりしていれば我々のような外国企業でも十分戦える。だから常に新しいことにチャレンジできます」。DGCの経営を管理する三菱商事米州電力事業部北米チームリーダーの黒沢周平さんは語る。現在、DGCは米国内に天然ガス火力発電所8カ所と風力発電所2カ所を保有。北東部の卸電力市場※1に参加し、同時に今後成長が見込まれる分散型電源※2に注目するなど、固定観念にとらわれず常に新しいビジネスに挑戦している。三菱商事では、米国で得た多くの知見と経験を生かし、グローバルに展開する電力事業の持続的な成長を目指している。
発送電の技術は常に進歩し続け、社会のニーズも日々変化していく。しかし、柔軟な発想とやり抜く意志だけが大きな仕事を成功に導くことは、エジソンの時代から何ひとつ変わってはいない。
※1 需要家が必要とする電力を必要な時に最適な形で供給できるように発電事業者を決める市場
※2 主に小規模な発電施設を消費地の近くに置き電力を供給すること
-“つぎ”を創る力




