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三菱商事

World Beat ~明日への鼓動~

おいしさで世界を笑顔に

2016年8月7日 朝日新聞「GLOBE」掲載

おいしさで世界を笑顔に

インドネシア、ランプン州の市街地から道なき道を走ること約2時間。周囲をキャッサバの畑に囲まれた山間部に、ふいに現れる近代的な工場設備。その敷地面積約40万平米は、東京ドーム8.5個分に相当する。三菱商事の事業投資先、ファーメンテック・インドネシア(FTI)だ。

FTIの主要製品は二つ。一つは、おいしさをアップするうま味調味料の「リボタイド」。もう一つは、食品の物性や食感を整える増粘多糖類の「カードラン」。どちらも耳慣れない名前だが、私たちが日ごろスーパーやコンビニで手に取る多くの食品に、FTI製品は広く使われているという。

工場での日々の仕事は、微生物との「対話」。気温や水質、微生物のエサとなる糖液の質などがわずかに違うだけで、発酵の仕方はまるで変わってしまう。だからこそ、うまく発酵できた時の喜びはひとしおだ。

日本からの駐在員は、全員工場敷地内の宿舎で暮らす。不自由なことも多い環境で彼らが気持ちを切らさず仕事に打ち込めるのは、ほがらかな現地スタッフとの信頼関係に負うところが大きい。

「日本人とインドネシアのスタッフがとても良い関係で仕事ができています」
この2月から赴任したFTIの内田陽介社長はそう語る。

食品化学事業という仕事の可能性そのものが、やりがいにつながっているというのはFTIの菊野修副社長だ。高齢やアレルギーによる健康上の問題など、さまざまな理由で「食べられないもの」がある人は、世界に少なくない。食べやすくおいしい介護食、特定の原料が不使用でも食味を損なわない嗜好品。三菱商事グループでは、時代や地域のニーズに合わせて、今後そんな多様な商品展開を進める予定だ。

「食の選択肢を広げること、おいしさを届けることで、人々の健康と笑顔の輪を広げることができる。食を通じて人々の豊かさに貢献できればと考えています」
(菊野さん)

熟練の作業員が考えうるすべての条件を整えても、思うように発酵が進まないこともある。天然素材を扱う仕事には、忍耐が不可欠だよ。気まぐれな微生物のそんな言葉に耳を傾けながら、今日もスマトラ島の奥深く、日本の匠たちは汗を流す。

-“つぎ”を創る力

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