World Beat ~明日への鼓動~
進化し続ける可能性の大国
2016年9月4日 朝日新聞「GLOBE」掲載

進化し続ける可能性の大国
1950年代以降一貫して人口は右肩上がりを続け、近年も毎年200万~300万人が増加している。今後30年以上はこの増加ペースが変わらず、2050年の人口は1970年時点の2倍にあたる4億人に達すると予想される。新興国の話ではない。先進国では異例の「人口増」社会を抱えたこの国は、名前をアメリカ合衆国という。
人が増えれば当然増えるのが不動産の需要だ。三菱商事子会社のDRI(Diamond Realty Investments)は、90年代半ばからロサンゼルスとテキサス州ダラスに拠点を構え、現地の不動産開発を手がけてきた。取り扱う物件は、賃貸マンション、学生アパート、物流施設の3タイプ。立地の選定から建物の建設、テナントの募集にまで携わり、収益性を確保したうえで機関投資家※に売却する。
単に建てて終わりではなく、投資家に価値をもたらす資産を提供するため、DRIスタッフは金融と不動産の両面でプロでなければならない。人口の都心回帰と持ち家比率の低下で変わりつつある住宅需要。eコマースの利用拡大に供給が追いつかない倉庫や配送センターなどの物流施設。アメリカ特有のこうした不動産事情に精通し、かつ投資家心理を理解する人材を育てるため、三菱商事グループでは業態の垣根や国境を超えた人材交流を積極的に進めている。
アメリカでは、不動産投資が日本よりも一般的で、投資家の見る目もそれだけ厳しい。DRIでは、立地や賃料の設定、建物仕様などについて厳格なルールを設け、投資家以上に厳しい目で自らの仕事を評価している。その厳しさは、事業パートナーである現地ディベロッパーに対しても同様だ。プランや工事が要求する基準に達していなければ、遠慮なく注文をつけ、妥協せず話し合いを重ねる。それができるのは、この地で長年実績を上げてきたDRIへのリスペクトと、両者の強い信頼関係があるからだ。
「アメリカという舞台では、現地スタッフの力を生かし、ローカライズしてマーケットに深く入り込んでいかなければ戦えない。大変ですが、面白い市場です」。東京の三菱商事でDRIをサポートする、酒井勝久・北米不動産チームリーダーは言う。社会に優良なインフラと、価値ある金融資産を提供する。そのビジネスのやりがいは、この国そのものと同じぐらい大きい。
※生命保険会社や年金基金、投資信託会社など、顧客から委託された資金を運用・管理する法人投資家。
-“つぎ”を創る力




