World Beat ~明日への鼓動~
答えは風に吹かれている
2016年11月6日 朝日新聞「GLOBE」掲載

答えは風に吹かれている
「風車の国」オランダの人々も、昨年7月に運転を開始した真新しい43基の風車には、さすがに驚きを隠せなかったに違いない。何しろその羽根は直径100メートルを超え、立っている場所は陸地から20キロ以上も離れた洋上なのだから。
北海に面したリゾート地、ノルドバイク。その沖合に、ルフタダウネン洋上風力発電所(通称Q10)はある。三菱商事とオランダの公営エネルギー企業Enecoが50%ずつを出資したプロジェクトは、予想以上の順調な進展で、運転開始は前倒しされた。出力は13万キロワットに上り、15万世帯の電力をこの1カ所で20年以上まかなえる計算だ。
1980年代から発電事業に取り組んできた三菱商事は、90年代以降、再生可能エネルギー(RE※)へのシフトを進める欧州各国の動きに着目。そこに可能性を見出し、2000年代半ばから欧州市場を中心に太陽光、太陽熱、風力などのRE事業に参入。12年には欧州でのエネルギー事業を統括する子会社としてDGE(Diamond Generating Europe)を設立した。
Q10においては、Enecoと三菱商事の発電事業開発・運営の知見を合わせ、それぞれのノウハウを生かした協力体制を築いている。三菱商事は欧州各国で現地企業とパートナーシップを組むが、なかでもEnecoとの信頼関係は、特に強固なものだという。
「REの推進に対する使命感やCSRの考え方で、両社には一致する点が多いんです」。三菱商事欧阿中東電力事業部・欧州チームの梅村寧さんはそう語る。
REにメリットが多いことは明らかでありながら、これまで普及のネックとなってきたもののひとつが発電コストの高さだ。しかし近年の技術革新と需要増による施設の大型化で、洋上風力発電のコストは従来型電源と十分競争できるまでに下がってきた。また、自然条件に左右される不安定性についても対策はある。複数の小規模電源を束ね、需要の変化に合わせて系統内で電気を融通し合う技術が利用可能になってきたからだ。DGEでは今後も洋上風力などの電源開発を進める一方で、将来はこうした需給調整(バランシング)サービスの展開も視野に入れているという。
強い海風を受けた風車の永遠にも思える回転は、社会が持続可能であるために人は地球とどう付き合うべきか、ひとつの答えを示しているようだ。
※Renewable Energy
-“つぎ”を創る力




