三菱商事

海外プロジェクト探検隊

Vol.1 夏休みブルネイLNGプロジェクト体験ツアー

2005年9月30日 読売新聞掲載

日本の高校生8人が8月、石油や液化天然ガス(LNG)で潤う東南アジアのブルネイを4泊5日で訪れた。
LNG事業でブルネイ経済と密接なかかわりを持つ三菱商事などを取材、日本に紹介するためだ。
高校生らは、LNGプラントや実験農場、熱帯雨林を訪ねたほか、現地の学生らとの交流会なども経験。
新鮮な驚きと発見から、多くのことを学んだようだった。

ブルネイ産LNGの9割が日本へ 生産現場をリポート

高校生らが最初に訪れたのは、ブルネイ西部の沿岸にあるLNGプラント。洋上ガス田で産出された天然ガスを冷却して液化し、工場沖合に停泊するタンカーへと積み込む施設だ。

ブルネイ政府や三菱商事が出資するブルネイLNG社が運営しており、東京ドーム約28個分の敷地で年産720万tを生産する。巨大なプラントの全工程はわずか5人の職員が常駐するコントロールセンターで集中管理されている。高校生らは、三菱商事からブルネイLNG社に出向している溝渕建樹(みぞぶちたてき)マネジャーらの説明を受けつつ施設を見学した。

プラントで液化されたLNGは、パイプラインを通って沖合に停泊するタンカーに積み込まれ、タンカーで日本や韓国に輸送される。高校生らは、パイプラインと並走する約4・5kmのトロッコに乗って沖合の桟橋に移動、タンカーを間近で見学した。

千葉県立佐原高2年の平山雄大(ひらやまたかひろ)君(16)は「このタンカーが遠く日本までLNGを運び、経済に欠かせない重要なエネルギー源をもたらしているのか」と感慨深げだった。

ブルネイ沖合でガス田が発見されたのは1963年のこと。三菱商事は70年に東京電力など国内3社とLNGの売買契約を結び、ガスの液化や輸送を一貫して手がけてきた。日本へのLNG累計輸出量は、6月時点でタンカー5000隻分を超えている。

山口県立徳山高1年の野村遥子(のむらようこ)さん(16)は「日ごろ何気なく使っているエネルギーのもとは、実は三菱商事が″縁の下の力持ち″的に運んでくれていたんだ」と感心していた。

また、現在、ブルネイの総輸出額の9割は天然資源が占めており、ブルネイにとってもLNG事業は″生命線″といえる。学習院高等科3年の保戸塚弘明(ほとづかひろあき)君(17)は「巨大プラントを目の当たりにして、ブルネイ経済を支えるLNG事業の重要性を実感した」と語っていた。

一方、同科1年の猪俣貴寛(いのまたたかひろ)君(15)は「商社というと、『ハードな仕事』とか抽象的なイメージだったけど、実際に働く人たちと会えたことで仕事の内容が見えてきた」と話し、具体的なイメージがわきにくかった商社の仕事や社員の生き様を、巨大プラントの見学を通じて文字通り″体感″した様子だった。

熱帯の農場「マクファーム」 日本企業の挑戦に感動

LNGプラントに続いて高校生らが訪れたのは、1978年に三菱商事が開設した実験農場、マクファーム。

ブルネイは、LNGなど天然資源による収入でインフラや国民サービスの充実を進めたため、生活水準は「東南アジア随一」とされる。反面、国民の人件費が周辺国に比べて高いため新たな産業が育ちにくく、新産業育成が急務となっている。マクファームは、ブルネイに畜産や農業を根付かせようと計画され、現在、野菜の水耕栽培やヒラメの陸上養殖を研究している。

野菜の水耕栽培は1986年から試みており、現在、トマトなどをブルネイ国内向けに出荷している。実家が農業という文教大付属高3年の鈴木望(すずきのぞみ)さん(17)は「土一つとっても、私の実家と随分違う。野菜が育ちにくそうな土地で、工夫を凝らして頑張っているのがよく分かった」と驚いていた。

一方、ヒラメの陸上養殖は2003年12月にスタートし、2004年末からシンガポールやブルネイ国内へ試験出荷している。高級魚で単価が高いほか、水槽で水を循環させて飼育するため、海での養殖に付き物の細菌被害などが防げる「安心、安全」が売りだ。

ただ、ブルネイの高い人件費など構造的問題もあり、水耕栽培も陸上養殖も、まだ商業ベースに乗る見通しはついていない。千葉県立佐原高2年の五十嵐光嗣(いがらしみつつぐ)君(17)は「魚を陸上で養殖しているのには驚いた。何とか産業を育てようと、挑戦する姿勢がすごい」と感心していた。

交流会、エコツアー、市内見学… 肌で感じた「ブルネイの今」

LNGプラントやマクファームの見学後、高校生らはブルネイの学生らとの交流会に参加。現地の料理に舌鼓を打ちながら、ゲームやおしゃべりで盛り上がった。

片言の英語でのコミュニケーションだったが、文教大付属高3年の杉浦茉奈実(すぎうらまなみ)さん(17)は「最近の日本の漫画なども知っていて、関心の高さに驚いた」と、ブルネイに意外な親近感を覚えた様子だった。

さらにツアーの後半では、高校生らはブルネイ東部に位置するウルトゥンブロン国立公園の熱帯雨林や、首都バンダルスリブガワンのモスク、ブルネイ川に浮かぶ世界最大の水上集落なども見学。

山口県立徳山高1年の藤井菜野子(ふじいなのこ)さん(15)は「自然も文化も日本と全然違い、とても刺激を受けた。異文化を体感できたことは、本当に貴重な経験だった」と、大きな収穫を得た様子だった。

詳細情報参照

海外プロジェクト探検隊 Vol.1に参加した高校生のリポート

海外プロジェクト探検隊 Vol.1の動画

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