三菱商事

海外プロジェクト探検隊

Vol.4 冬休み「オーストラリア石炭採掘プロジェクト」体験ツアー

2007年3月5日 読売新聞掲載

中国やインドの経済成長によって、世界の鉱物資源や食糧資源を巡る情勢が厳しさを増す中、世界有数の資源供給国として好調な経済成長を続けるオーストラリアを今年1月、日本の高校生8人が5泊6日の日程で訪れた。高校生はメルボルンのオーストラリア三菱商事で、最前線で奮闘する三菱商事社員から数々の事業について説明を受け、クインズランド州では実際に石炭の採掘現場を視察するなど、日本では味わえない貴重な体験をした。

オーストラリア三菱商事を訪問 多彩な分野で事業展開

豪州が発展するきっかけとなった街、メルボルンに到着した8人は早速、オーストラリア三菱商事のオフィスを訪れた。田名眞一社長が、「オーストラリア三菱商事の歴史は羊毛の調達に始まり、現在では石炭や鉄鉱石、アルミなど天然資源の開発に比重が移ってきています」と説明すると、足立学園高校2年の季平圭太郎君(17)が、「現存するエネルギー資源には限りがあると思いますが、将来に向けてどのようなことを考えていますか?」と質問。田名社長は、「20年、30年先のエネルギー資源を考えて、太陽光発電など、代替エネルギーへの取り組みも行っています」と、中長期的取り組みも着々と進めていることを強調した。

田名社長の概要説明の後には、アルミなどの非鉄金属、乳製品を中心とした食品、自動車部品、金融と、各分野のプロジェクトリーダーが、現在、進めている事業について解説した。八王子東高2年の鈴木拓君(17)は、「いろいろな事業を展開していて、三菱商事と豪州にすごく興味を持てた」と、興奮気味に語った。

オフィス訪問を終えた8人は、オーストラリア三菱商事のスタッフとともにメルボルン市内を流れるヤラ川沿いを30分程度かけて散策し、ガーデン・シティと呼ばれる美しい街を堪能した。

翌日はメルボルンからブリスベーンに飛行機で移動した。2時間のフライトで着いたブリスベーンの街は高層ビルディングの建設で活気にあふれ、好調な豪州経済を象徴しているかのようだ。時差調整のためにメルボルン時間から1時間、腕時計の針を遅らせた高校生たちは、広大な豪州の国土を実感した。

圧倒の大規模炭田 自然復元技術に感動

次の日にはさらにプロペラ機とバスに約3時間揺られて、内陸部にある「ブラックウオーター」炭田を訪れた。三菱商事と世界最大の資源会社であるBHPビリトンが共同事業体を組織して開発する同炭田は、1967年に生産を始め、今も鉄鋼メーカーが使う原料用の石炭や火力発電に使われる燃料用の石炭を年間1400万トン産出している。日々600人もの人々が働き、全長100メートルを超える「ドラッグライン」と呼ばれる巨大な重機8台をフル稼働して石炭を掘っても、今後数十年にわたって枯渇しないとされている大規模炭田だ。

豪州の炭田は地表近くに石炭層が広がっているのが特徴で、このため、採掘には坑道を掘らずに表土をいったん脇へよけて石炭層をあらわにさせた上で、石炭を採る「露天掘り」という方法を取る。宇部高校1年の上田志於理さん(16)は、「地下に潜って石炭を掘るのが炭田と思っていたが、実際は全く違っていた」とスケールの大きな採掘作業に驚きを隠さなかった。

ブラックウオーター炭田では、石炭を掘り終えた後に、脇によけておいた表土を覆い戻し、植物を植え直して原状に近い形で自然の復元を図っている点も特筆される。一目見ただけでは覆い戻したとは分からない精巧な復元ぶりに、富山東高2年の田中絵理さん(17)は、「技術は人に対しては冷たい印象を持っていたが、人に優しい技術もあることが分かって感動した」と話していた。

作業現場では、このブラックウオーター炭田で開発されたクレーン車操作の安全装置が豪州の基準として採用されたエピソードも披露された。足立学園高校2年の加藤翔平君(17)は、「地元の事業体を通じて日本企業が、このような安全面で豪州に貢献していることはすばらしい」と胸を張った。

現地学生と文化交流 動物たちにも大接近

最終日に高校生たちはブリスベーン郊外にある「ノースサイド・クリスチャン・カレッジ」を訪れた。8人が招かれたのは、壁にドラえもんのイラストや、富士山、力士の写真などが所せましと飾られた日本語を学ぶ教室で、高校生たちは地元の学生を前に、緊張した面持ちで英語による自己紹介に挑戦した。富山東高2年の丸山絵理さん(17)は、雪の壁がそそり立つ間を観光客が行き来する地元の立山の春を撮った写真を持参して、富山の良さをしっかりピーアール。「緊張したが思いを伝えられた。英語を勉強してこれからも世界の人たちと話をしたい」と意欲を見せていた。

8人はこの後、仲良しになった地元学生たちと連れだって、近くにあるチャームサイドヒルズ保護区に移動し、豪州に生息するヘビやトカゲに触れて英語で感想を述べあった。昼食には、豪州特産の肉を使った肉団子や、地元の木の実を使ったジュースが振る舞われ、日本では日ごろ経験できない味に舌鼓を打った。

午後にはアルマパーク動物園を訪れた。豪州にしか生息しないワラビーやエミューを思い思いに見学。最後はコアラを抱いて地元の学生たちと記念撮影に臨んだ。地元の学生との交流を終え、宇部高校1年の高橋昌子さん(16)は、「同じ年齢の豪州の学生と和気あいあいと交流できてとてもよかった」と述べ、明治大学付属明治高校1年の高木豊君(17)は、「放課後の過ごし方など、私生活の話もしっかり出来た」と、自らの英会話能力に自信を深めた様子だった。

“海外プロジェクト探検隊” 三菱商事の海外事業や現地の文化を体験しよう

“海外プロジェクト探検隊”とは

このプロジェクトは、一般から公募した高校生をリポーターとして海外に派遣し、現地で体験した内容をヨミウリ・オンラインで発表してもらうシリーズ企画。

現地では、三菱商事が海外で展開しているプロジェクトの現場を訪問するほか、現地の学生との国際交流や生活文化など、さまざまなプログラムを体験。未来の日本を担う高校生たちに、総合商社の仕事や異文化への理解を促し、今後社会で活躍するための糧としてもらうことを目指している。

現在までに「ブルネイLNGプロジェクト」「タイ自動車プロジェクト」「中国繊維・物流プロジェクト」の“探検隊”を実施しており、今回の「オーストラリア石炭採掘プロジェクト」は4回目となる。次回は、8月に実施する予定。詳細が決定し次第、読売新聞の紙面で高校生リポーターを募集する。

体験ツアー報告会

2月24日、「オーストラリア石炭採掘プロジェクト」体験ツアーの報告会が開催された。2人1組でツアーに参加した高校生たちは、体験したプログラムのツアーリポートを作成。オーストラリアで展開する三菱商事のプロジェクトを中心に、現地で学んだことや感じたことなどを発表しあった。

続いて行われた懇談会には、“探検隊”Vol・1~Vol・3に参加したメンバーも合流。自己紹介や近況報告、自分が参加した際の体験談、今回のリポートの感想などについて話が弾んだ。

詳細情報参照

海外プロジェクト探検隊 Vol.4に参加した高校生のリポート

海外プロジェクト探検隊 Vol.4の動画

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