三菱商事

海外プロジェクト探検隊

Vol.7 夏休み「香港・華南インフラプロジェクト」体験ツアー

2008年10月21日 読売新聞掲載

目覚ましい成長が続く中国経済を牽引する香港と華南地域を今年8月、日本の高校生8人が4泊5日の日程で訪問した。高校生たちは、電力、住宅開発などインフラ(社会資本)整備の現場を訪れ、最前線で働く三菱商事社員から様々な事業を取材した。現地の高校生たちとも交流し、文化も体験した8人は、たくさんの刺激を受けたようだ。

都市基盤整備の最前線へ 環境・省エネ分野にも注力

高校生たちが香港到着後にまず訪れたのは、高層ビルが林立する行政、経済の中心地・香港島にある香港三菱商事のオフィスだ。早速、木下真一社長から香港の歴史や経済などの説明を受けた。

2日目も同オフィスで、三菱商事の現地での取り組みを学んだ。香港や中国、インド出身の社員らから、三菱商事が建設に携わった下水処理施設の概要などについて、英語も交えた説明を受けた。今後は、環境や省エネビジネスの分野により注力するとの方針が示されると、高校生たちは「環境とビジネスのバランスをどう考えるのか」などと積極的に質問。奈良学園高校1年の横田友貴さん(15)は「インフラ整備の際にプランを提案し、事業に結びつけるという大切な役割が理解できた」と、商社ビジネスの奥深さを感じていた。

次の日は、バスで香港北部にある馬ふんリサイクル施設を訪れた。8月に開かれた北京五輪では香港が馬術競技の会場になり、競技馬の馬ふんの処理用として香港政府が整備した。今後は生ゴミなども処理する予定だ。高校生たちは、発酵した馬ふんが有機肥料に生まれ変わる工程を見学し、異臭がほとんど残らない肥料を実際に手に取ったりした。三菱商事の仲介で、日本の環境プラントメーカー「トムテック(販売=ヤマト産研)」の技術が海外で初めて導入されており、肥料は香港でのガーデニング用のほか、農業用として東南アジアにも輸出されている。桜蔭学園高校2年の堀綾香さん(16)は「捨てられていたものが生活に役立つように生まれ変わるのがすばらしいです」と感心しきりだった。

深センで進む住宅開発 香港の電力担う大発電所

午後からは、中国本土への通関手続きを経て日帰りの深セン視察を行った。香港に隣接する深センは1980年に経済特区に指定されて以来、急速な都市化が進み、随所で高層ビルや住宅の建設現場が目にできる。香港三菱商事深セン事務所を訪問後、深センに本社がある中国最大手の住宅開発会社「万科企業」が進める高級住宅団地の開発現場を見て回った。東京ドーム約10個分に当たる44万平方メートルの敷地に、戸建て住宅やマンションなど約5000戸を建設する大プロジェクトだ。三菱商事はプロジェクトの中で、現地で人気が高いというダイキン工業社製の空調機を万科企業に納入している。

一行は、約150平方メートルで4000~5000万円するという、コンドミニアムタイプのモデルルームを見学。慶應義塾湘南藤沢高等部1年の松原舞さん(16)は「自分でも住んでみたいと感じた。深センがどんどん豊かになる様子を実感できた」と驚いた様子だ。

4日目は、フェリーで香港南部のラマ島に移動し、電力会社「香港電燈集団」の火力発電所を訪れた。香港島とラマ島の全55万世帯への電力供給を一手に担っており、78年以降、発電機やボイラーなどの発電施設のほぼすべては三菱重工と三菱電機製で、三菱商事が納入している。06年には重油などの代わりに天然ガスを燃料にしてタービンを動かす新しい設備が導入され、環境により配慮した発電が可能になった。

高校生たちは、高さ約250メートルの煙突や内部が500度以上にもなる発電用ボイラーなどを次々と写真に収め、そのスケールの大きさに圧倒された様子。将来の目標はエンジニアという国立群馬工業高等専門学校2年の金澤推さん(16)は、「発電する際の熱気を間近で感じることができて興奮した」と述べ、慶應義塾湘南藤沢高等部2年の山田佳子さん(17)も「三菱商事がかかわる大きな発電所で、随所に環境への配慮があり興味深かった」と話した。

文化体験と学生交流 見識広がり大きな収穫

インフラ施設の見学の合間に、高校生たちは中国茶芸を体験できる「楽茶軒」を訪問した。香港在住の中国茶講師の中田有紀さんから歴史や作法などを教わり、聖光学院高校2年の山本直人さん(16)は「お茶の形は何種類ありますか」、「緑茶になると成分はどのように変化しますか」など、熱心に聞いていた。その後、みんなで自ら淹れたお茶を味わった。

さらに8人は公立の中高一貫校・順徳聯誼総会翁祐中学で、地元の高校生との交流会に臨んだ。英語やツアー中に覚えた広東語を交えて一人ずつ自己紹介をした後、香港で人気のスポーツというバドミントンを一緒に楽しんだ。

同校は中等部で日本語学習が必修となっていることもあり、聖学院高校1年の岡村潤さん(16)は「互いの国で人気のある俳優や芸能人、食べ物の話がたくさんできた」と、日本への関心の高さを実感したようだった。別れ際には携帯電話のメールアドレスを交換し、帰国後の交流を約束する姿も見られた。

また、ツアー前半には香港付近を台風が通過し、政府からは一時、「シグナル8」という外出の自粛を求める警報が出された。公共交通機関は一部運休し、ほとんどの職場が休みとなり、高校生たちも滞在するホテルで待機を迫られる一幕もあった。香港が亜熱帯地域に位置していることを、厳しい天候によって改めて認識させられた。

体験ツアー後、東京都立国際高校3年の鳥居哲弥さん(18)は、「実際の現場で多くの三菱商事や専門家の方の話を聞いたことで、見識が広がり、価値観がだいぶ変わった」と振り返り、大きな収穫を得た様子だった。

“海外プロジェクト探検隊” 三菱商事の海外事業や現地の文化を体験しよう

“海外プロジェクト探検隊”とは

このプロジェクトは、一般から公募した高校生をリポーターとして海外に派遣し、現地で体験した内容をヨミウリ・オンラインで発表してもらうシリーズ企画。

現地では、三菱商事が海外で展開しているプロジェクトの現場を訪問するほか、現地の学生との国際交流や生活文化など、さまざまなプログラムを体験。未来の日本を担う高校生たちに、総合商社の仕事や異文化への理解を促し、今後社会で活躍するための糧としてもらうことを目指している。

これまでに「ブルネイLNGプロジェクト」「タイ自動車プロジェクト」「中国繊維・物流プロジェクト」「オーストラリア石炭採掘プロジェクト」「カナダ製紙原料プロジェクト」「シンガポール都市開発プロジェクト」を実施しており、今回の「香港・華南インフラプロジェクト」は7回目となる。

次回は、春休みに実施する予定。詳細が決定し次第、読売新聞の紙面で高校生リポーターを募集する。

体験ツアー報告会

9月13日、「香港・華南インフラプロジェクト」体験ツアーの報告会が開催された。ツアーに参加した高校生たちは、体験したプログラムのツアーリポートを作成。香港・華南で展開する三菱商事のプロジェクトを中心に、現地で学んだことや感じたことなどを発表した。

続いて行われた懇談会では、“探検隊”第1~6回に参加したメンバーらとも交流。それぞれの自己紹介や近況報告、自分が参加した際の体験談、今回のリポートの感想などについて話が弾んだ。

詳細情報参照

海外プロジェクト探検隊 Vol.7に参加した高校生のリポート

海外プロジェクト探検隊 Vol.7の動画

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