三菱商事

海外プロジェクト探検隊

Vol.9 「タイ エネルギープロジェクト」体験ツアー

2012年10月23日 読売新聞掲載

三菱商事が海外で展開するプロジェクト現場を高校生が訪問・取材しリポートする「海外プロジェクト探検隊」。第9回の今回は、日本各地から集まった高校生10人が7月30日から5日間、アジアの中で成長を続けているタイを訪れた。三菱商事がかかわっているエネルギー事業の中から、火力発電所2か所と世界有数の大規模太陽光発電所(メガソーラー)を見学し、タイの電力事情について知識を深めた。

電力事業を中心とした 幅広い事業展開に驚き

飛行機で約6時間半かけて首都バンコクに到着した10人は早速、市内のホテルで三菱商事の現地法人・泰国三菱商事の川合史彦副社長から、同社の事業展開について説明を受けた。

三菱商事は食料や衣料など生活に身近な分野の原料・素材調達のほか、化学や金属資源、環境など多様な事業を手がけている。中にはあまり一般には知られていない仕事もあり、高校生たちを驚かせた。

早稲田大学高等学院2年の岩井俊樹さんは「総合商社(の三菱商事)が今までどんな仕事をしているかよく理解していなかったが、他の企業と連携して様々な事業を手がけているとわかった。電力プロジェクトにもより興味がわいた」と話していた。

翌日には泰国三菱商事の事務所を訪問。古澤実社長と機械・インフラ第一部長の坂口雄一郎さんから同様にタイでの事業について説明を受けた。父親が商社に勤める慶應義塾志木高校3年の宮裡弘樹さんは「三菱グループは電力などのエネルギー事業に強みがあると思っていたが、幅広く事業を展開していて詳しく理解できた」と話していた。

火力と太陽光で電力供給 環境負荷の低減にも貢献

三菱商事から説明を受けた後、10人はいよいよ発電所を見学。最初に、バンコクから約150キロ南のラヨーン県に移動し、電力会社「BLCP」社が運営するマプタプット火力発電所を訪れた。

同発電所は、タイで初めての本格的な大型石炭火力発電所で、三菱商事が三菱重工業と共同で受注、建設した。出力71万7000キロ・ワットの発電設備が2基ある。

一行は、敷地内の電力博物館でタイの電力の歴史を学んだ。また、電力についての知識を楽しみながら学べるパズルなど体験型設備にも挑戦し、充実した時間を過ごした様子だった。

横浜雙葉高校2年の若松恵加さんは「英語で説明を聞くのは難しかったけど、海にも空気にも配慮した発電所だと分かった」と話し、桐光学園高校2年の室賀元伸さんも「火力発電所はとにかく二酸化炭素(CO2)を出す汚いイメージだったが、見る目が変わった」と目を輝かせていた。

翌日は、バンコクからバスで北に1時間余り移動し、タイ国発電公社のワンノイ火力発電所を訪問した。三菱商事と三菱重工業が受注、建設しており、合計出力202万7000キロ・ワットの大規模な発電所だ。

同発電所の燃料は石炭ではなく、天然ガス。ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた複合火力発電を採用している。青雲高校1年の住吉瑞基さんは「複合発電による環境への影響の少なさなどを学べた。日本の発電所も逆に学べるところがあるのではないか」と話していた。

一行は、三菱重工業原動機事業本部の坂本佳織さんの案内で、中央指令室など発電所内をじっくりと見学。火力発電設備の規模の大きさに圧倒された様子で、青森県立青森南高校2年の毛利遥さんは「火力の熱気がすごかった。化石燃料を燃やすので二酸化炭素が出るとは思うが、複合火力にすることで効率よく発電し、環境への負荷を軽減している。水の再利用など様々な工夫がなされ、環境に真剣に向き合っていると感じた」と感心していた。

今回のツアーで最も高校生たちの関心を集めたのが、タイ中部の古都ロッブリーにあるメガソーラーだ。

タイは10年後までに、電力の約2割を太陽光発電などの再生可能エネルギーでまかなう目標を掲げている。同発電所はその一環で、三菱商事の子会社「DGA」がタイや香港の企業と主導して建設した。出力は7万3000キロ・ワットで、来春の完成を目指して、さらに約0・9万キロ・ワットの増設工事も進行中だ。

高校生たちは、敷き詰められた太陽光パネルを一望できるタワーに上って200ヘクタールの敷地の広さを実感した後、ワゴン車に分譲して発電所を一周。途中、案内役を務めたDGAの井上将平さんやシャープの吉見直輝さんに、発電効率や、太陽光発電のメリットとデメリットなどを尋ねていた。

日本では福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、再生可能エネルギーへの期待が高まっている。桜蔭高校3年の岩間優さんは「再生可能エネルギーの将来の可能性を体感できた。日本に帰っても、電力や発電について他人事ではなく自分のこととして考えたい」と話していた。

メガソーラーの見学を最も楽しみにしていたという湘南学院高校1年の樋口陸矢さんは「タイでは豊富な自然資源を利用した発電方法を考えている。すごいと感じた」と驚いていた。

英語で現地学生と交流 伝統のエールは「友の証し」

ツアー中、高校生たちは中高一貫教育の公立男子校であるスアンクラーブ・ウィッタヤライ・スクールの生徒たちとも交流した。それぞれ日本での学校生活を含め英語で自己紹介した後、タイの生徒とペアになって校舎内を見学。一緒に昼食を取る頃にはすっかり打ち解けていた。

別れ際には、タイの生徒たちが校庭で高校生たちを囲むように円陣を組み、「友達の証し」を意味する伝統的なエールを送った。

富山県立高岡高校2年の宗田千奈さんは「校内に歴史を学べる博物館があり、タイの生徒はとても自国について考えていると思った」と感銘を受けていた。京都産業大学附属高校1年の板垣華蓮さんも「コミュニケーションが取れるか不安だったが、英語で何とか意味が通じたときはうれしかった」と笑顔で話していた。

“海外プロジェクト探検隊” 三菱商事の海外事業や現地の文化を体験しよう

“海外プロジェクト探検隊”とは

このプロジェクトは、一般から公募した高校生をリポーターとして海外に派遣し、現地で体験した内容をヨミウリ・オンラインで発表してもらうシリーズ企画。

現地では、三菱商事が海外で展開しているプロジェクトの現場を訪問するほか、現地の学生との国際交流や生活文化など、さまざまなプログラムを体験。未来の日本を担う高校生たちに、総合商社の仕事や異文化への理解を促し、今後社会で活躍するための糧としてもらうことを目指している。

これまでに「ブルネイLNGプロジェクト」「タイ自動車プロジェクト」「中国繊維・物流プロジェクト」「オーストラリア石炭採掘プロジェクト」「カナダ製紙原料プロジェクト」「シンガポール都市開発プロジェクト」「香港・華南インフラプロジェクト」「ベトナム産業インフラプロジェクト」を実施しており、今回の「タイ エネルギープロジェクト」は9回目となる。

体験ツアー報告会

10月20日、第9回タイ体験ツアーの報告会が開催された。三菱商事の廣田康人執行役員によるあいさつの後、高校生たちは体験したプログラムをリポートし、タイで展開する三菱商事のプロジェクトを中心に、現地で学んだことや感じたことなどを発表しあった。

その後の懇親会では、三菱商事社員と高校生たちが交流。打ち解けた雰囲気の中、ツアーの思い出や発表したリポートの感想などを語り合った。

詳細情報参照

海外プロジェクト探検隊 Vol.9に参加した高校生のリポート

海外プロジェクト探検隊 Vol.9の動画

ページ上部へ