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ロボットとつくるあしたのオフィス

RPA(Robotic Process Automation)

ソフトウェア型ロボットによる業務自動化。入力や計算、情報収集などオフィス業務を代行する。効率化や生産性向上への期待から急速に普及している。

会社ごとに違う書式で送られてくる注文のFAXを読み取り、自社の販売管理システムに入力する。相手方の記載内容に不備があれば、会社名をネット検索し住所などの情報を補足。入力を終えたら元のFAXと照合し、受注伝票を作成して顧客にメール送信する。

「パターン化された事務作業」と思われがちな仕事でも、その作業工程は多く、機械に代替させることは容易ではない。従来こうした業務は自動化が難しいうえ、仮に実現してもコストに見合わないと考えられてきた。それを変えたのがRPAだ。

プログラミング知識のない人でも手軽にロボットを自作しやすいツールが登場したことや、技術の進歩でRPAの応用範囲が広がってきたこともあり、近年は日本でも導入事例が増えている。

2017年に31億円だった国内のRPA市場は、21年には100億円規模に達する見込みだ。世界では2020年に50億ドル(約5,500億円)市場となり、25年には1億人の労働者に相当するロボットが働く世の中になるという。

少子高齢化による労働力不足が深刻化する日本で、RPAに期待されることは少なくない。人為的ミスの防止や働き方に対する職場の意識改革はもちろん、業務効率化で余裕が生まれれば、人間はよりクリエイティブな仕事に専念することもできるだろう。

将来はAI(人工知能)と組み合わせることで、RPAはさらに複雑な業務をこなせるようになるかもしれない。人とロボットが互いに補い合う未来のオフィスは、可能性に満ちている。

"ロボコン"でRPA導入を推進

三菱商事グループの鉄鋼総合商社メタルワンでは、働き方改革の一環としてRPA導入に積極的に取り組んでいます。利用を促すため、アイデアを募るコンテストを実施し、現在は、支払明細表自動作成など80台以上のロボットが稼働。年間6,000時間相当の業務が自動化されています。三菱商事グループ全体としても、RPAによる業務効率化や働き方改革に取り組んでいきます。

2019年7月7日 朝日新聞「GLOBE」掲載