三菱商事

The Next ~未来を創る人たち~

The Next ~未来を創る人たち~ 当社所属池崎選手による 雑誌「AERA」での対談企画「The Next ~未来を創る人たち~」 The Next ~未来を創る人たち~ 当社所属池崎選手による 雑誌「AERA」での対談企画「The Next ~未来を創る人たち~」

ウィルチェアー(車いす)ラグビーの日本代表選手である池崎大輔が
ゲストを迎えてさまざまなことを語り合う本企画。
今回は、シンガーソングライターとして活躍する秦 基博さんを招いた。
ゲスト:シンガーソングライター 秦 基博さん 聞き手:ウィルチェアーラグビー日本代表 池崎大輔さん

「人生のすべてが、音楽につながっている」

聞き手:ウィルチェアーラグビー日本代表 池崎大輔

池崎映画「STAND BY MEドラえもん」の主題歌「ひまわりの約束」をはじめ、素晴らしい楽曲を数多く発表されてますよね。アーティストの道を目指した理由は何だったのでしょうか。

プロになろうと強く思ったのは高校3年の時ですが、社会に対してメッセージを発したいといった気持ちというよりは、曲を作ること、歌うことが純粋に好きだったんですよね。

池崎プロになって感じたことや、苦労されたことなどは?

自分が生み出した曲を介して、リスナーのみなさんとコミュニケーションできるのがすごく楽しいです。なかなか曲が書けなかったり、満足のいくパフォーマンスができないこともありますが、根本には“楽しいから音楽をやっている”という気持ちがある。だから、それを“苦労”だと感じたことはないですね。

池崎素敵ですね!スポーツは勝たなければいけないのでそこが大変なところです。プロの音楽の世界でいえば「売れる」ということかと思いますが、秦さんは、そこを意識することはありますか?

ありますね。ある程度商業的にも成功しないとプロとして続けられないので。ただ「こうすればヒットする」という答えはないし、結局は自分から湧き出てくるものを表現するしかないんですよね。

聞き手:ウィルチェアーラグビー日本代表 池崎大輔
ゲスト:シンガーソングライター 秦 基博

池崎昨年はデビュー10周年の記念イヤーでしたね。実は僕もウィルチェアーラグビーを始めて10年なんです。あっという間でしたが、とにかく頑張ってここまできたという感じです。秦さんは、節目を迎えて何か変化はありましたか?

最初は「まだまだ10年。大々的な活動をする必要もないのかな」と思っていましたが、ベストアルバムを出したり、横浜スタジアムで記念ライブを開催したことで、これまでの自分の歩みを確認することができました。音楽を通してこんなにもたくさんの人たちと関係を築いてきたんだなと改めて思ったし、もっともっといい曲を作っていきたいという気持ちも高まりましたね。

池崎ウィルチェアーラグビー日本代表のメンバーも、いつも秦さんの曲に力をもらっています。

ありがとうございます。自分の曲が力になれていたとしたら、これほど嬉しいことはないです。

池崎曲を作るために、努力していることはありますか?

楽曲を生み出すためには、いろいろな刺激を受けることが大事だと思っています。どんな音楽が流行っているか知ることもそうだし、感覚を研ぎ澄ませて、どんな出来事に対して自分が反応しているかを認識することも必要なので。本やマンガを読んだり……、今こうやって池崎さんとお話をさせてもらうことも何かのヒントになるかもしれないし。嬉しい時も悲しい時も、どこかで「この経験は曲にできるかも」と思っている自分がいるし、人生のすべてが音楽につながっているというか。そういう考え方がクセになっているので、努力しているつもりはないんですけどね。

池崎その感覚、分かります。僕も、遠征でよく飛行機に乗るんですが、座席に着いてからフライトの時間までその場で筋トレしているので(笑)。

ストイックですね!(笑)

ゲスト:シンガーソングライター 秦 基博

目標はあえて決めず音楽は自由でありたい

池崎3月に仙台で開催される「復輿支援音楽祭」に出演が決まっていらっしゃいますね。東日本大震災は秦さんの音楽にも何か影響しましたか?

当たり前のことがいつまでも当たり前に続いていくとは限らない、ということを目の当たりにして、価値観や考え方も変わりましたし、自分から生まれてくるものも自然と変わったと思います。被災された方から「避難所のラジオで秦さんの曲を聴いて救われた」という言葉をいただいて、自分も何か役に立てることがあるかもしれないと感じたこともありました。音楽は生きていくうえで必ず必要なものではないと思うんです。震災時は住居、食料の確保、水道などライフラインの復旧が最優先で、音楽の出番はその後ですから。ただ、ミュージシャンとしてできることがあればぜひ協力したいと思っているので、今回の「復興支援音楽祭」に参加できることも本当に嬉しいです。

池崎今後の目標などはありますか?

明確な目標は決めていないんです。たとえば目指している場所と違う場所にたどり着いて、それが結果的にいいこともある。音楽はその自由さがいいと思っています。頭で考えすぎず、自分の中から湧き出てくるものを表現できたらなと。池崎さんの目標は?

池崎やはり世界一になること、それが目標です。同時に、パラスポーツをもっと知ってもらい、困難があっても前に進めるんだ、障がいがあってもアスリートとして挑戦できるんだ、ということを伝えられたらいいなと思っています。

すごいなあ。僕はあまり大きなことは考えていませんが、自分の曲を聴いてくれる人のなかに、何かひとつでも残せたらいいなとは思います。僕の曲によっていろんな感情が芽生えて、それがその人の「生きていくこと」に結びついていってくれたら嬉しいですね。

秦 基博 / はた もとひろ

1980年、宮崎県生まれ、横浜育ち。

シンガーソングライターとして2006年11月にシングル「シンクロ」でデビュー。

「鱗(うろこ)」「ひまわりの約束」(映画「STAND BY MEドラえもん」主題歌)など多数のヒット曲を持つ。

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池崎 大輔 / いけざき だいすけ

1978年、北海道函館市生まれ。

車いすバスケットボールから2008年、車いすラグビー(ウィルチェアーラグビー)に転向。10年4月、ウィルチェアーラグビー日本代表に選出。16年にリオパラリンピックに出場。

現在、三菱商事所属。

AERA 2018年3月19日発売号 掲載

企画:朝日新聞社メディアビジネス局 制作:朝日新聞出版カスタム出版部

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