三菱商事

The Next ~未来を創る人たち~

The Next ~未来を創る人たち~ 当社所属池崎選手による 雑誌「AERA」での対談企画「The Next ~未来を創る人たち~」 The Next ~未来を創る人たち~ 当社所属池崎選手による 雑誌「AERA」での対談企画「The Next ~未来を創る人たち~」

ウィルチェアー(車いす)ラグビーの日本代表選手である池崎大輔が
ゲストとさまざまなことを語り合う本企画。
今回は、日本で初めてクラウドファンディングサービスを始めた米良はるかさんを訪ねた。
聞き手:ウィルチェアーラグビー日本代表 池崎大輔さん ゲスト:READYFOR株式会社 代表取締役CEO 米良はるかさん

「夢がある人の背中を押したい」

ゲスト:READYFOR株式会社代表取締役CEO
米良はるか

池崎米良さんはなぜ日本初のクラウドファンディングを立ち上げようと思ったのですか。

米良理由は2つあります。1つはやりたいことがあって才能もある友人が、夢を追わずに就職したりする姿を見て、一歩踏み出せない理由はなんだろうと感じたこと。「これをやりたい」というアイデアがあるのは素晴らしいことなのにチャレンジする前に諦めてしまうことに違和感があったんです。もう1つが、そんなことを思っていた学生時代に、パラノルディックスキー日本チームの荒井秀樹監督と出会ったこと。強いチームだけど資金がない、もっと練習環境を整えれば結果に結びつくのに……というお話を聞いたんです。

池崎スポーツの世界ではよくあることですね。

米良それはすごくもったいないことだなと感じました。応援したい人はたくさんいるはずなのに、と。そこで、少しずつみんながお金を出し合えばそれなりの金額になるのではと思い、インターネットで投げ銭みたいなシステムを作って周りに呼びかけたんです。結果、スキーのワックス代100万円を集めることができました。その体験から、「共感」や「応援」の力で、チャレンジを後押しするというやり方があるんだなということを実感したんです。

池崎学生時代からすごいなあ。

米良それなら小さな声を世の中に届けることができて、新しいお金の流れができるのではないかと考えました。そして、お金というハードルを超えられたら、もっとやりたいことに挑戦しやすくなるのではないかと。その後、アメリカ留学中にクラウドファンディングのサイトを発見してこれだ!と思ったんです。これを日本にも広めたい、と。

池崎でも、そういう新しい発想を広めて根付かせるというのは大変ですよね。

米良はい。最近やっとクラウドファンディングという言葉は知られてきましたが、まだまだ認知度は低いなと感じています。

池崎今日、こちらのオフィスに入ってすぐ、壁に書かれた「誰もがやりたいことを実現できる世の中をつくる」という言葉が目に留まりました。とてもいい言葉ですね。「応援」や「共感」が、その人の環境を整えたり挑戦する機会を作れるシステムというのは、本当に素晴らしい。この取り組みをもっとたくさんの人に知ってもらいたいなと思いました。

「人と人がつながると強い力になる」

聞き手:ウィルチェアーラグビー日本代表 池崎大輔

池崎米良さんがクラウドファンディングの会社を立ち上げて7年。昨年「悪性リンパ腫」で半年間の闘病生活をされたとお聞きしました。

米良はい。会社は3期から4期目に入るタイミングで、やっと組織らしくなってきた大切な時期でした。でも、自分の病状がどうなるか見えず心が不安定になり、未来を考える余裕がなくなりました。そこで役員に相談すると、彼らが「大丈夫、会社のことは自分たちがやるから任せて。自分のことに集中したほうがいい」とサラッと言ってくれたんです。私がいなくなったらこの“子供(会社)”をだれが育ててくれるのかと思っていたけれど、安心して経営を任せて治療に専念することができました。

池崎復帰された時の会社はどうでしたか。

米良それが前よりすごく“いい子”になっていて(笑)。目指す世界に向かってみんなが会社の価値を大切に伸ばしていこうと思っているいいチームだと改めて思いました。私はこの会社を、100年後も500年後も社会に必要とされるような立派な会社にしたい。だから、私がいなくても会社が回っていく仕組みが作られたことは、結果的にとても良かったんです。

池崎強いチームになっていたんですね。それは米良さんがリーダーとしてつくりあげた成果でもあるんじゃないかと思います。チームワークとして気をつけていることはありますか?

米良会社としてやりたいことはたくさんありますが、一人でやれることには限界があります。私自身、欠点もたくさんありますし(笑)、人それぞれに違った長所や得意分野があるもの。メンバーの強みがしっかり発揮され、チームのパワーで新しいものをどんどん生み出していけるようになりたい。そうした力を引き出すために、日頃からコミュニケーションをとるように心がけています。いま会社がうまくいっているのは、弱みも強みも互いに知って、信頼感があるチームだからだと思っています。池崎さんは?

池崎僕もコミュニケーションは大切にしています。チームメンバーの居住地域がバラバラだったりもするけれど、プレーはもちろん、なるべく一緒に過ごす時間を増やすようにしています。そうすることが、信頼関係を築く近道になると思っているので。人と人がつながりあって生まれる力というのは本当に大きなものになるし、大切にしていきたいですね。

米良 はるか / めら はるか

1987年、東京生まれ。慶應義塾大学卒業後、スタンフォード大学へ留学。

帰国後に日本初のクラウドファンディングサービス「Readyfor」の立ち上げを行った。

2014年7月よりREADYFOR株式会社代表取締役を務める。

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池崎 大輔 / いけざき だいすけ

1978年、北海道函館市生まれ。

車いすバスケットボールから2008年、車いすラグビー(ウィルチェアーラグビー)に転向。10年4月、ウィルチェアーラグビー日本代表に選出。16年にリオパラリンピックに出場。

現在、三菱商事所属。

「Readyfor」とは?

2011年3月29日に開始された、日本初・国内最大規模のクラウドファンディングサービス。Readyforが集めた支援総額は2018年7月までで65億円以上となる。
詳細はオフィシャルHPへ(https://readyfor.jp/

AERA 2018年8月27日・9月3日発売号 掲載

企画:朝日新聞社メディアビジネス局 制作:朝日新聞出版カスタム出版部

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