三菱商事

The Next ~未来を創る人たち~

The Next ~未来を創る人たち~ 当社所属池崎選手による 雑誌「AERA」での対談企画「The Next ~未来を創る人たち~」 The Next ~未来を創る人たち~ 当社所属池崎選手による 雑誌「AERA」での対談企画「The Next ~未来を創る人たち~」

車いすラグビーの日本代表選手である池崎大輔が
ゲストを迎えてさまざまなことを語り合う本企画。
今回は元ラグビー日本代表選手で、現在は俳優業をはじめ様々なことにチャレンジしている廣瀬俊朗さんに話を聞いた。
ゲスト:元ラグビー日本代表主将 廣瀬俊朗さん 聞き手:車いすラグビー日本代表 池崎大輔さん

「自分らしい未来を切り拓いていきたい」

ゲスト:元ラグビー日本代表主将 廣瀬俊朗

池崎車いすラグビー同様、ラグビーも激しい競技ですよね。僕らは車いすでぶつかりますが、ラグビーは生身の体じゃないですか。怖くないですか?

廣瀬怖いですよ、痛いですし(笑)。でも、プレーしている時は、仲間からの信頼を失くすことの方が怖かった。挑戦して失敗するより、自分の能力を出さないことのほうが恥ずかしい。仲間のため、チームのために一生懸命体を張ってプレーする、ラグビーは信頼関係で成り立つスポーツなんです。

池崎ラグビーの魅力はそこですか。

廣瀬そうですね。ポジションの多さも魅力です。約10種類のポジション、役割があり、それぞれが自分らしさを発揮し、リスペクトしあう。みんなが自分のポジションで活躍して初めていいラグビー、いいチームになれます。

池崎車いすラグビーも、様々な障がいがあったり男女混合だったりと、それぞれの役割の中で厳しいぶつかり合いがあるところが魅力です。そこは共通ですね。廣瀬さんは2012年から2年間、ラグビー日本代表のキャプテンを務められましたが、チームをまとめるうえで大事にしていたことはなんですか。

廣瀬リーダーシップの形は様々。まずは自分を理解することが必要だと思っています。僕はプレーで引っ張るタイプではなかったので、いかに周りの人がチームを好きになれるか、この仲間のために頑張りたいと思えるチームを作れるかが僕への課題だと思っていました。チームメイトが多国籍なので、各人のバックボーンも違います。なんのために勝つかWHYは掲げましたが、HOWやWHATをあまり強制すると嫌がられる。ここは強制しない、でも最後のゴールは一緒にしよう、という方針を打ち出したことで、結果的にうまくいったと思います。

池崎何をどう伝えるか、ということを大切に考えていたんですね。

廣瀬ずっとキャプテンをやってきたからこそ、より深く考えるようになったのかもしれません。リーダーだって常に百点は取れないけれど、学んでいる姿勢を絶えず見せることはすごく大事だと思うんです。うまくいかなくても「この失敗を次にこうやって生かすから」と言えればみんなもついてきてくれます。

「今しかできないこと」それが行動の基準

聞き手:車いすラグビー日本代表 池崎大輔

池崎日本代表のキャプテンともなると、プレッシャーも大きいですよね。

廣瀬2014年にキャプテンとして2シーズンを終えて外れるときは、寂しい反面、ホッとした気持ちも大きくて、改めて自分にとって重責だったんだなと感じました。監督は競技の指導はしますが、リーダーシップに関して体系的に教えられる方は少ない。キャプテンはチームメイトに弱音を吐きたくないから、一人で抱え込んでしまうことが多いんです。

池崎そうですよね。周囲の期待や、課された責任があるからこそ、自分でなんとかしなくてはいけないと思ってしまうんですよね。

廣瀬だから引退した今、今度はそういうキャプテンをサポートする制度を確立したいと思っているんです。キャプテン同士が悩みを打ち明けたり、互いに解決策を共有できるようなプラットフォームを作りたい。例えばそこに、池崎さんのような違う競技の方にもたまに参加してもらい、それぞれの現場にフィードバックするというのもいいですよね。そうした場をつくることで、いいキャプテンが育ち、いいチームができていくのではないかと。

池崎それはキャプテンにとって心強い取り組みですね。その組織づくりは、ビジネスの場でもニーズがあるのでは?

廣瀬実際、このメソッドは様々な場で応用できると思うので、今後、具体的な活動につなげたいなと考えています。

池崎ドラマ「ノーサイド・ゲーム」(TBS系)では、俳優業にも挑戦されていましたね。

廣瀬思いもよらないお誘いで最初は躊躇したんですが、ラグビーの素晴らしさを伝えられる物語で、かつ、観る人に元気を与えられるようなドラマだったので、チャレンジしてみようと思ったんです。

池崎廣瀬さんの、様々なことに挑戦される、その行動力と決断力はどこからくるのですか?

廣瀬もともとチャレンジすることが好きなんですが、僕は死ぬ時に「あの時ああすればよかった」と後悔しないようにという基準で考えることにしています。そう考えれば少し不安があっても、「これは今しかできないからやってみよう」と思えるんです。

池崎最後に、廣瀬さんが人生で大切にしていることを教えてください。

廣瀬「今しかできないことはなにか」と「本当に自分らしいかどうか」ですね。この2つが重なる領域で挑戦し続け、人に喜んでもらえることができたら最高だなと思っています。

池崎なるほど。僕も大きな国際大会を控えているので、今できることに全力で取り組もうと活力が湧いてきました。今日はありがとうございました。

車いすラグビーの競技用車いすに乗って車いす同士のコンタクトプレーを体験。「すごい迫力ですね!」(廣瀬)

廣瀬 俊朗 / ひろせ としあき

1981年生まれ、大阪府吹田市出身。

慶應義塾大学卒業後、東芝ブレイブルーパスに入団。ラグビー日本代表のキャプテンも務めた。現在はラグビーワールドカップ2019のアンバサダーのほか、俳優としても活躍中。

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池崎 大輔 / いけざき だいすけ

1978年、北海道生まれ。

車いすバスケットボールから2008年、車いすラグビーに転向。10年4月、日本代表に選出。16年、リオパラリンピック銅メダル。18年、世界選手権優勝。

三菱商事所属。

AERA 2019年10月7日発売号 掲載

企画:朝日新聞社メディアビジネス局 制作:朝日新聞出版カスタム出版部

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