水素による新しい製鉄技術の実証プロジェクトへの参画について
三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)は、Primetals Technologies(本社:英 製鉄機械会社、以下「Primetals」)の戦略的パートナーとして、Primetals、Rio Tinto(本社:英・豪、資源会社)、voestalpine(本社:墺、製鉄会社)と共に、再生可能エネルギー由来の水素を用いて鉄鉱石から還元鉄を製造する新技術(以下、「HYFOR」)、および電気製銑炉(以下、「スメルター」)の開発に向けた実証(以下、「本プロジェクト」)を行う事に合意しました。
本プロジェクトは、オーストリア・リンツのvoestalpine製鉄所内で、新しい水素製鉄技術のデモプラントとして建設及び操業を行うもので、2027年中頃の稼働開始を予定しています。デモプラントは、Primetalsが開発するHYFOR及びスメルターを導入する毎時3トン規模のプラントで、還元鉄および溶銑を生産します。本プロジェクトで使用する鉄鉱石の70%はRio Tintoから供給を受ける予定です。
HYFORは、原料である鉄鉱石の事前処理を必要としない世界初の還元鉄製造技術で、幅広い種類の鉄鉱石を原料として活用する事が可能であり、Primetalsは2021年以降初期的なパイロットプラントに於ける数多くの試験を実施してきました。加えて、再生可能エネルギー由来の水素を用いる事で既存の製鉄プロセスと比べ大幅にCO2排出量を削減する事ができます。再生可能エネルギーを電源とするスメルターは、還元鉄の溶解、及び最終還元を行い、溶銑を生産します。また、本プロジェクトは、オーストリア連邦政府、及び欧州連合より補助金の提供を受けています。
還元鉄は製鉄プロセスにおけるCO2排出量が少なく、中長期的に需要が増加することが予想されており、本プロジェクトによってこれらの技術が実証されれば今後の鉄鋼業界の脱炭素化において重要な役割を担っていくと考えています。本プロジェクトの推進を通じて、三菱商事は今後も脱炭素社会の実現に向けて貢献して参ります。
(本プロジェクトのイメージ図)

フェストアルピーネ
フェストアルピーネは、材料と加工に関する専門知識の独自の組み合わせを持つ、世界有数の鉄鋼技術グループです。グローバルに事業を展開するフェストアルピーネグループは、約500のグループ会社を有し、5大陸で50カ国以上に拠点を構え、 1995年からウィーン証券取引所に上場しています。 その優れた製品とシステムソリューションにより、自動車産業、消費財産業、航空宇宙産業、エネルギー産業において主要な存在となっています。 また、鉄道システム、工具鋼、特殊断面鋼の世界的なマーケットリーダーでもあります。世界的な気候変動適応目標にコミットしており、グリーンテック・スチール・プログラムによって鉄鋼生産を変革する明確な計画を立てています。 2023/24年度のグループ売上高は167億ユーロ、営業利益(EBITDA)は17億ユーロで、全世界での従業員数は約51,600人です。
リオ ティント
リオ ティントは35カ国で事業を展開しており、60,000人の従業員を擁して世界が必要とする素材を提供するより良い手段を模索しています。 製品ポートフォリオには、鉄鉱石、銅、アルミニウムをはじめ、人々、地域社会、国家の成長と繁栄、そして世界の温室効果ガス排出のネットゼロ化に必要な様々な鉱物や物質が含まれています。 150年以上にわたる採掘と加工の経験をもとに事業を進め、 気候変動を戦略の中核に据え、エネルギー転換を可能にする商品への投資と、事業およびバリューチェーンの脱炭素化に取り組んでいます。
プライメタルズテクノロジーズ
プライメタルズテクノロジーズは本社を英国・ロンドンに置き、金属鉄鋼産業におけるエンジニアリング、プラント建設、およびライフサイクルサービスの提供を行うパイオニアかつ世界的リーダーです。電機、オートメーション、デジタライゼーション、及び環境の総合ソリューションを含めた技術、製品、サービスの一式を提供しており、原材料から完成品まで鉄鋼のあらゆる分野を網羅するだけでなく、非鉄分野でも最新の圧延ソリューションをお届けします。三菱重工グループの100%出資によるグループ会社で、従業員数は全世界で約7,000人です。
三菱商事
三菱商事は、世界中に広がる連結対象会社と協働しながらビジネスを展開しています。 地球環境エネルギー、マテリアルソリューション、金属資源、社会インフラ、モビリティ、食品産業、S.L.C.、電力ソリューションの8グループ体制で、幅広い産業を事業領域としており、 貿易のみならず、パートナーと共に、世界中の現場で開発や生産・製造などの役割も自ら担っています。
三菱商事のマテリアリティ(重要課題)






ニュースリリースに関するお問い合わせ先
三菱商事株式会社 広報部 報道チームTEL:03-3210-2171