One time, One meeting:「出会い×濃密な時間」サステナブルな目線の原点


再生可能エネルギーの先進地・欧州で、先駆的企業Enecoの買収に携わった橋本雄大さんは、Enecoが吹かせてきた“風”を力強い“気流”に変えようとしている。経済・社会・環境の三価値同時実現を目指す橋本さんの背中を押す、出会いと言葉がある。
分散型太陽光発電事業、水素エネルギー実証事業、3月に買収完了のEneco——。2010年の入社以来かかわってきたのは、いずれもサステナブル(持続可能)な社会を構築するための仕事でした。10年先、20年先、30年先を見据えた事業で、チャレンジの連続でした。中でも私の価値観を大きく変えたのは、2018年4月から1年間滞在したオランダで、Eneco買収を担当したことでした。
オランダで最初に驚いたのは、サステナブルな社会づくりに対する人々の参加意識の高さです。消費者が電力会社を選ぶ電力自由化が進む中、多くの人は電気代が高かったとしても風力や太陽光などの再生可能なグリーン電力を購入していました。車のように目に見える違いがあれば価格差も納得できますが、電力に目に見える違いはありません。それなのに、です。目の前の価格の安さではなく、長期間で見たグリーン電力の重要性を一人ひとりがきちんと考えていました。
1年間、寝る間を惜しんで必死にオランダ語の書類と格闘しました。オランダ人の現地アドバイザーたちとはEnecoの成長性の議論を重ねました。この出会いと濃密な時間、そしてオランダの人たちの長期的な視点で物事を見る意識が、ビジネスに対する私の考え方の幅を広げてくれました。「お前もオランダが分かってきたな」と言われた時は、やっと同じ目線になれたかなと感じた瞬間でした。
諦めずに、粘り強く買収交渉を続けることができたのは、入社3年目に担当した分散型太陽光発電事業で上司に言われた言葉が、背中を押してくれていたからです。
「前例のない事業の立ち上げは大変だ。だが、自分自身が成長するチャンスでもある。誰よりも勉強して第一人者になれ」
苦労して新しいことに取り組むからこそ第一人者になれるという発想。当時若手ながら必死に勉強し、全国の事業パートナーの施設を訪ね、疑問や不安を解消する説明を心がけました。「直接話を聞いてよく分かった。喜んで協力するよ」と言ってもらったことは自信になりました。
私たちは今、AIやIoTを活用したエネルギーマネジメントを駆使し、Enecoをハブとして色々な事業を結びつけてプラットフォームへと発展させる構想を描いています。常に一歩先の未来を思い描きながら。これからも挑戦を続けていきます。