One time, One meeting:「今」に向き合うコミュニケーションで未来の笑顔をつくりたい

One time, One meeting From 三菱商事 (MITBANA出向) 金井宏樹 One time, One meeting From 三菱商事 (MITBANA出向) 金井宏樹

シンガポールの設計エンジニアリング会社と三菱商事が合弁で設立したMITBANAで、東南アジア諸国の不動産・都市開発に携わる金井宏樹さん。彼が都市づくりを通じて目指す価値とは。現地の人々との出会いを何より大切にしている、彼の仕事の原点とは?

「今」に向き合うコミュニケーションで未来の笑顔をつくりたい 「今」に向き合うコミュニケーションで未来の笑顔をつくりたい

私はシンガポールを拠点にインドネシアやフィリピン、ベトナム、ミャンマーなど近隣国の都市開発に携わっています。東南アジアは車社会のため、多くの都市が渋滞や排ガスによる大気汚染に悩まされています。そんな社会問題を、都市開発を通じて解決したい。その思いが、日々の仕事の原動力になっています。

「相手の国や地域への敬意をもち、仕事をさせていただいているという意識を忘れないこと」。私は仕事をするうえで、多くの先輩から言われてきたこの言葉を常に肝に銘じています。その原点となったのが、最初の海外赴任地だったミャンマーです。この国のことをあまり知らなかった私は、とにかく現地の方から謙虚に学ばせていただこうと心に決めました。現地に早くなじみたい一心で、毎日民族衣装のロンジーという長いスカートを着て出社しました。その姿のお陰か、現地の人にたくさん声を掛けてもらえるようになりました。そして急速な経済発展の中で高層ビルや現代的なショッピングモールの建設が進む一方、都市の交通インフラ整備が追い付かず、渋滞による通勤時間の増加など住環境の悪化に悩まされていることなどをじかに聞くようになりました。相手と同じ目線に立つことで得られた新しい気づきと、自身のビジネスをつなげて考えることができた瞬間です。

現在、ジャカルタ郊外で100ヘクタール超の大規模都市開発を進めています。地域住民が悩んでいた渋滞や排ガスによる大気汚染を低減するための、インドネシア初の公共交通機関中心の都市開発への取り組みです。さらにここではAIやIoT、モビリティーなど最先端技術を使ったスマートシティーとしての実証実験も行う予定です。これから本格的に開発が進んでいきますが、その地に根付いて暮らす人と直接会い、本音をじっくり伺うことを起点にしていきたいと考えています。

しかし今はコロナ禍で、残念ながら現地に直接赴くことが難しくなってしまいました。その代わり、各国に駐在し様々な事業を担当している三菱商事の社員がフォローしてくれていて、一人ではたどり着けない新しい情報がもたらされるなど、あらためて世界中に張り巡らされたネットワークの強みを感じています。

私はその国の発展の一助となり、将来にわたってかたちを残すことができる都市開発の仕事に大きな魅力を感じています。これからも10年後、20年後、その地がどう魅力的に変わっているのか、そしてその時の人々の笑顔を想像しながら、日々の仕事に取り組んでいきます。