三菱商事

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2014年7月2日

世界初 船舶向けLNG燃料供給事業に本格参入
~三菱商事、GDF スエズ、日本郵船3社による事業化の推進~

当社は、仏GDF スエズ、日本郵船株式会社と、船舶を対象とした国際的な環境規制強化への対応策として、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、以下LNG)を燃料とする船舶へのLNG燃料供給事業に関する共同スタディーを世界規模で推進する枠組みに本年5月13日に合意いたしました。
 
この一環として、6月30日にベルギーの主要港Zeebruggeにおいて船舶向けLNG燃料供給事業(以下、本事業)を開始する基本合意を締結致しました。今後、3社は、船舶向けLNG燃料販売JV及びLNG燃料供給船保有JVの設立を経て、2016年からのUnited European Car Carriers(本社ノルウェー・オスロ、以下UECC)社が建造するLNG燃料を使用する自動車運搬船向けを始めとする本事業の開始を目指します。
 
本事業は、大型のLNG燃料供給専用船(LNG積載容量:5,100㎥)を利用する、本格的な事業としては世界で初めての試みです。3社は、まず本事業の構築を欧州市場で行い、将来的にはシェールガス革命で天然ガス埋蔵量が大幅に増加している米国、世界最大の船舶用燃料市場で今後も高い経済成長が見込まれるアジアへ事業を展開する方針です。
 
グローバルな航行海域を有する大型船舶に対する排出ガス規制については、国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)が、窒素酸化物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)、粒子状物質(PM)の排出制限を、段階的に厳しくすることを定めており、特にSOxについては、指定排出規制海域(ECA)において船舶燃料の硫黄分濃度を2015年より、現在の規制値の10分の1にあたる0.1wt%への低減を義務付けられています。
 
LNGを燃料として用いた場合の船舶の排出ガスは、従来の重油を始めとする石油系舶用燃料使用時と比較し、 SOxとPMはほぼゼロで、NOxは最大80パーセント、またCO2も約30パーセント削減と大幅な効果が見込まれており、船舶用燃料としての利用は既に実証済みで、北欧を中心にLNGを燃料とする船舶が運航されています。
 
船舶向けLNG燃料を本格的に導入するための課題は、供給インフラの整備が挙げられますが、現在の石油系燃料が全てLNG燃料で代替された場合の市場規模は年間1億9千万トンと推定され、現在の年間2億4千万トンのLNG需要の約8割に当たります。また、船舶向けLNG燃料の需要は2030年には年間6千5百万トンになるとの予想(Cambridge Energy Research Associates)もあります。
 
三菱商事は、自社LNGポートフォリオを活かした安定供給体制を整備し、 更にGDFスエズは欧州市場を中心に40年以上に渡るLNGの取り扱い経験を、また日本郵船はLNG船の運航実績に基づく知見を活かすことによって、グローバルな環境負荷の低減に取り組んで参ります。
【ストラクチャー図】
【Zeebrugge港】
【LNG燃料供給船のイメージ図】
【用語の解説】
・ 航行船舶の排出ガス規制:国際海事機関(International Maritime Organization略称IMO)によって提案され、指定排出規制海域(ECA)では、2015年にSOxの規制値が現在の1.0wt%Sから0.1wt%Sに引き下げられる見込み。 一般海域では、2020年もしくは2025年に基準値が現在の3.5wt%Sから0.5wt%Sに下げられる見込み(2018年に決定見込)。
・ ECA:前述排出ガス規制の適用海域。欧州バルト海域、北米領海域(含むプエルトルコ準州)
 
<GDFスエズ社の概要>
(1) 本店所在地 :フランス・パリ
(2) 事業内容:電気・ガス事業、ガストレーディング、ガス輸送、発電事業等を展開。LNG引取実績も豊富。
(3) 代表者:Chairman and CEO Gérard Mestrallet
(4) 設立:2008年7月22日
(5) 従業員数:約147,200人(2013年12月末時点)
 
<日本郵船株式会社の概要>
(1) 本店所在地:東京都千代田区丸の内二丁目3番2号
(2) 事業内容:国際的な海上運送業を主とした総合物流事業および客船事業、ターミナル関連事業、海運周辺事業、不動産業、その他の事業
(3) 代表者:代表取締役社長 工藤 泰三
(4) 設立:1885年9月29日
(5) 従業員数:55,661名(2014年3月末時点)
(6) Website:http://www.nyk.com/
 
<三菱商事株式会社の概要>
(1) 本店所在地:東京都千代田区丸の内二丁目3番1号
(2)    事業内容:地球環境・インフラ事業、新産業金融事業、エネルギー事業、金属、機械、化学品、生活産業の7グループに、ビジネスサービス部門を加えた体制にて、幅広い産業を事業領域として多角的なビジネスを展開
(3) 代表者:代表取締役社長 小林 健
(4) 設立:1950年4月1日
(5) 従業員数:68,383名(連結ベース、2014年3月末時点)
 

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