三菱商事

プレスルーム

2020年4月1日
三菱商事株式会社

2020年度新入社員への社長メッセージについて

本日、当社は127名(スタッフ(総合職))の新入社員を迎えました。
 
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、社員の安全を最大限考慮した結果、当初予定していた対面式での入社式を取り止め、オンライン上でのライブ形式の入社式を実施致しました。
 
社長の垣内 威彦より新入社員に対するメッセージがありましたので、以下の通り内容をご案内申し上げます。
 
 
(4月1日新入社員向けメッセージ)
 
(はじめに)
皆さん、三菱商事への入社おめでとうございます。
 
新型コロナウイルスの感染拡大という非常事態においても、127名の新たな仲間を無事迎えることができたことに、心から感謝しています。
同時に、皆さんにとって一生に一度の門出となる日に、モニター越しの簡単な挨拶しかできず、大変心苦しく思っています。
 
入社初日にあたり、皆さんにお伝えしたいことを手紙にしたためましたので、是非読んで頂きたいと思います。また、皆さんが出社できる状況になれば、皆さんと直接お会いし、顔を見ながらお話しできる場を設けることにします。
 
三菱商事は創業以来、社員が会社を切り盛りし、会社の行く末を社員自ら切り開いてきました。正に社員が財産であり、社員の成長が会社の発展と一体化している会社です。従って、皆さんのこれからの成長に大いに期待しています。経営としては、皆さんが成長し得る場を提供するので、将来の三菱商事を力強く牽引する存在になってもらいたいと思います。
 
2月末から在宅勤務体制に移行していますが、社員とその御家族の安全を最優先にしつつ、事業継続との両立を追求しています。暫くは先行き不透明な環境が続くことは避けられませんが、皆さんの社会人としての大事な一歩を力強く踏み出してもらいたいと思います。
 
 
(外部環境認識と変化への対応力)
幸いなことに、わが社は足元の混乱や不安に対し、すぐに右往左往する状況にはありませんが、わが社を取り巻く外部環境認識について簡単にふれたいと思います。
 
世界の二大大国である米国と中国の間では、経済・軍事・デジタル分野に加え、イデオロギーも含めた覇権争いが継続しており、米中間の構造的な摩擦は長期化すると考えます。新型コロナウイルスの世界的蔓延が更なる混乱を引き起こしており、2008年のリーマンショックや2011年の東日本大震災が引き起こした影響を上回る深刻な危機が訪れています。今後の世界情勢を見通すにあたっては、地政学的リスクを様々な角度から分析し、複数のシナリオをもって柔軟に対応していく必要があります。
 
また産業界においては、「デジタル・ディスラプション」の現象が多数起こっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)により、淘汰される企業と進化する企業とに二極化されます。これは産業革命そのものであり、産業内の新たな秩序が形成され、パワーバランスが大きく変化する可能性を意味します。
DXによる産業構造の変革は、地域や業界・分野にかかわらず、複数産業分野に跨って今後も継続するとみており、この潮流は不可逆的です。
わが社としては、こういった変化に対応するため、昨年4月に新たにデジタル戦略部と事業構想室を立上げました。そして、12月にはNTTとの産業DXに係る提携と、世界No.1の位置情報サービス会社HERE Technologiesへの共同出資を発表しました。
今年度は、この産業DXを実行に移すため、4月1日付で営業グループを超えた「全社DXタスクフォース」を組成します。個別商品に限定した目線で物事を考えるだけでなく、あらゆる産業に接地面を有する三菱商事だからこそ、産業レベルでのDXによる新たなプラットフォームを構築できると確信しています。
先ずは、食品流通を中心とした分野でタスクフォースを立ち上げていますが、これ以外にも社内では様々な業界・分野におけるDXの可能性を検討しています。皆さんが、配属された先でも既存の枠組みに捉われることなく積極的に議論し、そこから新たな事業構想を描き、それを実行に繋げていってほしいと思います。
 
 
(三菱商事社員に求められる資質)
ここで、新入社員の方々に毎年お話ししている、意識してほしい4つのことをお伝えします。
 
1つ目は「高い倫理観」です。今後、皆さんの社会人人生において、実際の事業会社の経営にあたるケースも出てきますし、中には未来の三菱商事の社長や経営幹部に就く方もいるかもしれません。会社の経営にあたっては、コンプライアンスの遵守は言うまでもなく、自らが誠実であり、尊敬される人格者であることが求められます。
 
2つ目は「真贋を見極める目」です。世の中はメディア・SNSなどから発信される情報で溢れています。一つ一つの情報に惑わされることなく、その本質を見極め、判断し、活用できる人になってほしいと思います。その為には、ありとあらゆることに自分の考え・仮説をもち、それを自らの言葉で発信することが重要です。
 
3つ目は「チームプレーの精神」です。会社は一人ではなく組織単位で行動するものです。本日皆さんの配属先が発表されましたが、そこでの先輩や仲間たちと、これからの会社生活で圧倒的な時間を共有することになります。チームのメンバーと喜びも悲しみも共有することを体感してもらいたいと思います。
 
4つ目は「強い心」です。学生というフィールドを脱し、社会人生活の中では、これまで以上に厳しい局面や環境が訪れることもあるでしょう。是非近くの上司や同僚に相談し、それを乗り越える強い心を涵養して下さい。
 
ビジネスパーソンとして成長していく過程で、皆さんにも、「ここ一番の大勝負」というタイミングが来ます。その様な時には、それまでに蓄積してきた皆さんの全人格が問われます。いくら論理的でも、どれだけ正しいことを言っても、最後は一人一人の信用・信頼が全てであるということを忘れずにいて下さい。
 
 
(三菱商事が考える社員の成長)
皆さんの配属先についてお話しします。
今、わが社を支える「収益の柱」と呼ばれるコア事業はすべて、最初はほんの小さな「成長の芽」でした。ところがそれらが急速に、或いは時間をかけて成長し、現在の三菱商事のポートフォリオのコアを形作っています。配属された部署が大きな事業をやっているのか、それともまだ成長途上にあるのか、それが配属先の良し悪しを決めるものではありません。従って、配属された先で先ずその事業のプロになること、それが最初のミッションであり、その後は様々なキャリア形成の展開があり得ますので、是非真摯に取り組んでもらいたいと思います。
 
当然ながら、初期配属がコーポレートスタッフ部門か営業グループか、将来経営を担う立場を目指すという観点から、その違いは全くありません。欧米では、人事・総務・法務・財務・経理で学んだ人が経営者になることは、ごく当たり前のことです。三菱商事でもそのようなキャリアで経営者を目指して挑んでいく、自分の専門性を磨き上げることは将来経営者になる近道だ、という理解で全く問題ありません。従って、当面は配属された部局で自らの強みを作っていくという思いで頑張って頂ければと思います。
 
わが社に入ってきた皆さんは、学生時代と比べ、正解や模範解答のない課題に向き合うことが圧倒的に多くなるでしょう。自分なりの結論を出すには、上司や同僚、顧客の話に耳を傾け、アンテナ高く情報を仕入れて、とことんまで粘り強く考え抜いてほしいと思います。常に学び続け、経験を蓄積していくことで、深い洞察力に基づく持論を展開できるようになって下さい。
 
それぞれの価値観や判断基準によって、意見が分かれることもあるでしょう。そんな時は、徹底的に議論を重ねて下さい。本気で考え抜いた意見であれば、臆することなく自信をもって、上司や先輩に堂々と話して下さい。無用の忖度は誰も期待していませんし、皆さんが真剣に考えた意見であれば、周りも必ず耳を傾けてくれます。但し、ひとたび結論が出ればノーサイド、全員が一丸となって目標に向かって邁進する、こういったプロセスを重ねていくことが、皆さんの成長に繋がると確信しています。
 
組織としての結論が自分の意見と異なる時には、我慢することも必要になります。この我慢を伴う行為も、より高度な思想的、認識的な成熟、即ち、皆さんの成長をもたらすと思います。我慢をしろと申し上げたいのではなく、我慢を伴う行為は人間的な成熟に資するものであり、それなりの我慢を経験した人間だからこその人格・人間性が、周囲から信頼を得ることに繋がっていきます。
こういった形で、これまでも、また、これからも、わが社の組織を運営し、わが社社員の成長を実現していきたいと考えています。
 
 
(結び)
新年度にあたり全社員向けに出したメッセージも是非読んでほしいと思います。その中では、真のグローバリゼーションについて私なりの考えを伝えています。その上で、配属先の先輩達と議論をしてみて下さい。先輩達が、社内外の環境をどの様に捉えているか、その中で三菱商事が果たすべき役割をどの様に考えているかを知る良い機会になると思います。
 
最後に、わが社には三綱領という一貫した企業理念があります。その考え方は、最初の研修で学んでもらいますが、今日から三菱商事の一員となる皆さんの行動規範にして下さい。
 
2020年4月1日
垣内 威彦
 
※参考情報: 2020年度新卒採用実績
 
スタッフ(総合職)
文系
理系
院卒
学部卒
院卒
学部卒
5(2)
90(28)
23(6)
9(2)
小計
95(30)
32(8)
合計
127(38)
 
※( )は女性数

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三菱商事株式会社 広報部 報道チーム
TEL:03-3210-2171 / FAX:03-5252-7705
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